2.死後の世界
家はとても寒かった。
だけど暖房はつけない。電気もつけない。
誰だろう帰ったときから知らない女の人がいた。
私は彼女をじっと見ていた。
彼女も私を見ていた。少し驚いてるようだった。
彼女が人間ではないことくらい一目で分かる。
話し掛けようか迷っていたら彼女から話しかけてきた。
「この世界に飽きてるの?」
なんでさっきから思ってないことを聞かれるのだろう…。
もしかしたら私の真相心理はそう考えてるのかもしれない。
でも私はここで飽きてると言ったらどうなるのか気になった。
「うん。飽きてる。」
そう答えたものの私は嘘をついたことが少ない。だからばれてたらどうしようとか考えてると心臓が壊れそうなくらいドキドキしていた。
「ほんとに?」
彼女は少し納得してなさそうに聞いた。
「ごめんなさい。ほんとは思ってるつもりはない。でもこの世界は偽物だと思う。」
「ホントに?」
彼女は嬉しそうに聞いた。
心なしか私も嬉しかった。
「じゃあ私の世界に一回来てみない?」
私は一瞬ビックリした。
彼女の居る世界は死後の世界らしい。
私は行くことにした。
でもこんなにタイミングのいいことがあるだろうか?
死後の世界にはいろんな島があるらしい。
「記憶島」前世の記憶がない霊の島
「子供島」親よりも先に死んだ未成年の霊の島
これらを合わせて約20個あるらしい。
彼女が居るのは「孤独島」。
ここには前世で家族が居ない。もしくは家族というものを覚えてない霊の島。
今から行く島は「孤独島」だろう。
「あ、私の名前はうい!よろしくね。」
「私は石場七。よろしくね。」
「死後の世界には名字とか無いの?」
「うん。そうだよ。でも前世の記憶がある人はそのまま使うことが多いかな。」
しばらく地元の見慣れてる道を歩いていた。
いつの間にか気づいたら知らない道に来ていた。
10分くらい歩いただろうか。もう結構歩いてる。
いつ着くのかと思ってるとういが「あそこの島だよ」と言った。
島はどこか寂しそうにポツンと浮かんでいた。
灯りなんて1つも見えない。
つり橋を渡った先には外から見たよりも広く、ロンドンの街並みのようだった。
さっき私が見た島ではないようだった。
レンガのおしゃれな家が沢山並んでいた。
ういの家に連れていってくれるらしい。
ここに居る人は基本一人暮らしらしい。
2分くらい歩き、彼女の家に着いた。人間世界とほとんど変わらなかった。
私が驚いたのが私の家と全く間取りが同じだということだった。
「ここに座っといて。」
そうソファーに案内された。
ういがコーヒーを入れてきてくれた。
人間世界よりも美味しい気がした。
「なんか聞きたいことある?」
「なんで私の家にいたの?」
私は正直気になった。間取りも一緒だし。
「間取り一緒なことに気づいてるんでしょ?人間世界のあなたの家は死後の世界では私の家の場所なの。」
「そうだとしても普通は私には見えないでしょ?」
「空間の歪みができたんだよ。それに私が空間の歪みによって人間世界に行っただけ。まあ簡単に言うと死後の世界は人間世界の延長みたいなものかな?
」
空間の歪みは前に読んだ本で見たことある気もする。
でも現実でおきるとは誰も思わないだろう。
あ、これは絶対聞かないと!!
「死後の世界は本当の世界?」
ういは少しは悩んでいた。
「本来昔は人間世界が本当の世界だったけどここにいるのは元人間世界の住人なの。」
「じゃあ人間世界が本当の世界なの?」
「いや。多分違う。人間世界で一度死んでここに来てるだから人間世界ができてからここに来た人はもう何回も生き死んでを繰り返してる。つまり人間世界も死後の世界も本当ではないね。」
もちろん死後の世界の記憶はない。
まだまだ話したいことはあったけど明日は学校だから帰り道を教えてもらって帰ることにした。
帰るときになんか視線を感じたけど、気にしなかった。
またどこかで会えるといいな…。
あ、家が同じなんだ。
なんだか嬉しかった。