信じる心 中編
子分を全員消滅させたのは分かったが、親分がそこで子分の消滅のひどさぶりを見ていたことにびっくりした。それにしても、さっきの呪文が言われてもよく居残れるもんだ。あの呪文は一瞬にして悪霊を消滅させる最短手段で効率的な手段だったはずだ。しかし、効果がなかった。次の手段としては長くて非効率なものになってしまう。それが…
「阿弥陀如来根本陀羅尼」
「いや、待て。お前、それだと次の手段になるが、一気に体力が消耗してしまう。」
「どうしましょうか?」
「うーん…」
「こっちに任せろ!」
誰だよ⁉
「お前の席の前の席の関原だ!分からないのか⁉」
分かるけど、いきなり出てくるなよ…
「さあ、俺に任せろ!」
大丈夫か⁉こいつ。
「あしろきはろうれて救いたまえ」
「おらあー!!」
「ギャアーーーーーー!!」(シュン)
やっぱり、こういう系はダメだな…素人がやると
「私に代わらせてくださいませんか?」
またか…素人じゃないだろ…えっ⁉
「永坂アリスです。」
たしか…こいつ…日本聖公会の牧師の娘だったな…
「私が責任持ってお手伝いします❗」
素人じゃないことは分かったが、キリスト教のパワーは通じるのか?何しろ決まり文句は基本的にないからな…どんな効果
があるんだ?
マリアアリス 1400hp
えっ⁉
「主よ、私達の口を開いてください。」
「う…なんだ…これは❗」
敵ポイント 3900→2000hp
えっ⁉マジか…このままでいけそうだな。ってなんでこんなに弱くなったのいつから⁉
「子分がいなくなって敵のhpが減ったことにはありがたいですがまだ2000も…」
こいつ…若干弱気なんか?…
「卓也君、どうしましょう?」
「お前な…」
「卓也…」
「なんだ。」
「動…け…な…い……」
「おい!?どうした❗」
「卓也君………」
「お前ら!?おい!!永坂!こいつら」
「私、無理です!…これに精一杯で…」
ボスを取り押さえてもらえたことはありがたいが、まさか…二人が倒れるってな…ピンチの崖っぷちに立たされているんだが…あっ、そういえば板チョコがあった❗よし、これを二人に…えっ⁉動いてない⁉嘘だろ…薬師如来の呼び出し方は知ってるけど、あれは死と隣り合わせの時は使えない…どうしよう…
「おい…おい、おい!!…」
「もう、私…これ以上…耐えられません…」
「ちょっと、待って。こうか?キタラグハッタヤソワカキタラグハッタヤソワカキタラグハッタヤソワカナモアミタバヤタダチェダヤダディヤタアミリトアミリタシタンパピアミリタビキランディアミリタビキランダチェミニチェチェナズダジャリスバパ!!」
「ありがとうございます!一旦ボスは置いといて、二人どうしましょうか?」
「なんか、病を直す万能技はないか?」
「えーと…あっ❗」
「あったのか?」
「はい!!やってみます❗」
「頼むな。」
「すー…ふー…主よお憐れみをお与えください。」
「主よ慈しみをお与えください。」
「主よお憐れみをお与えください。」
学校でもやるような祈りか…
「あれ、卓也…なんであたし達、寝てたの?」
あっ❗
「起きました!!」
「よっしゃ…!!」
まさか…そんな単純が…
「祈りは単純でいいんです。問題は祈りにどれだけ心をこめるかということです。ただ単に祈っているということは神様を信じていないのと同じことなのです。どんなに難しい祈りだろうが簡単な祈りだろうが叶うかどうかは心にかかってくるのです。」
「神様は都合のいい」
「そんなことはありません❗日本の神様はみんなそうです。だけれどキリスト教の神様は違います❗神様は友であり父親の存在でいつもそばにいてくださいます。そう聖書に書いてあります。だから、私は神様の存在を信じることができます。また、聖書には求めよされば与えられん、叩けよされば開かれんと書いています。神様に求めないと神様を信じていることになりません。神様は求めたら与えるとおっしゃってくださっているのです。」
「何をだ?」
「分かりません。祈るその時々です。ところで阿弥陀様ってどんな存在ですか?」
「阿弥陀様は極楽の主で南無阿弥陀仏と唱えれば救ってくださる。」
「なんか、神様と似ていますね。」
「どこが?」
「ちゃんと救われるヒントをおっしゃっているところ。」
あ…そうか…そうか!!これが救われる道にいる自分か!!だからあの方は…
「あの方は…」
「どうしたんですか?」
「法然様は阿弥陀様が救われるヒントを与えてくださっているから信じなさいとおっしゃっていたのか!」「その話はどこの話ですか?」
「浄土宗を開いた法然様の遺言書である一枚起請文の話だ。そこにただ往生極楽の為には南無阿弥陀仏と申して疑いなく往生するぞと思ううちにこもり候うなりと書いてるんだ。その意味は今まで、俺には分かってた。でも、なぜキリスト教の信者は目に見えない神の存在を信じるのか分からなかった。だけど、お前のおかげで分かった。そうか❗向こうから与えてくださること知らされてるから信じてもとめるんだ❗浄土宗と同じだ❗前もって教えてくださっているからそれに気づきなさいとおっしゃっているのか!」
「分かりました?」
「ああ、わかった。」
「ありがとうございます。とても嬉しいです…」
「でも…苦労しませんでした?分かるまで。」
「いや、おかげで勉強になった。ありがとう。」
「さあ、どうするの?」
「みんな、聞いてくれないか?」
「えっ、どうしたの、急に?」
「いい作戦を思いついた。」
「えっ⁉嘘⁉」
「まず、心を1つに統一しよう。」
「それだけ⁉」
「あぁ、ただな、求めているということは神を信じている証拠だと永坂から教えてくれた。お前らが死んで生き返る時に永坂が憐れみの祈りを唱えた。ただ、それだけなのにお前らは生き返った。その時に永坂は祈りは求める心がない以上願いは叶わないと言ってくれた。だから、求める心で祈る必要があると分かったんだ。だから、求めるものが同じ4人が心を統一させる必要があると思ったんだ。」
「分かった、じゃあ、信じるよ。」
「あぁ、信じてくれよ。ただ、勝つには技が必要だ。だから、それも」
「忘れずにでしょ?バランス第一って言いたいんだよね?」
こいつ…
「あぁ、そうだ。そういうことだ。」
「じゃあ、早速やろうよ。」
「あぁ!」
「でも、その前にしておきたいことがあります。」
「何だ?」
「皆さん、手を合わせてください。」
感謝か…
「天におられるお父様、御名をあがめ、賛美します。今まで私達を御守りくださり、ありがとうございます。あなたは私達に恵みを等しくお与えくださいます。しかし、私達は憎み争いをして、誰が一番か決めてきたりしました。神様、どうか私達に人は平等であり、一人一人が全て輝いていることをこの御前でお示しください。この事をイエス・キリストの御名によってお願いします。」
「アーメン」
「主の祈り。天におられる私達の父よ。御名が聖とされますように。御国が来ますように。御心が天におこなわれるように地にもおこなわれますように。私達の罪をお許しください。私達も人を許します。私達を誘惑に陥らず悪からお救いください。国と力と栄光は永遠にあなたのものです。」
「アーメン」
「主イエス・キリストの恵み、神の愛、精霊の交わりが私達と共に豊かにありますように。」
「アーメン」
「私達の祈りは小さく取るに足らないものです。しかし、その願いのためにかなうまで求め続けます。だから、決して諦めません。絶対諦めません。物より見えない物を求め続けます。なぜなら、神様が求めることを求めたからです。神様を求めていることを伝える仕事、それが聖職者の仕事であり、僧侶の仕事であり、神職の仕事です。私達は神様の願いと求めることをみんなに伝え、それに答えます。だから、日々自覚してそれぞれに歩み神の子、仏の子として生きていきます。」
「それを約束します。必ず守ります。だから、求められていることが叶うようにここで再び戦うことを決意します。」
「「皆さん、心を一つにしましょう。」
「はい、一つにしましょう。」
「南無阿弥陀仏」
「アーメン」
「南無大明神」
「願い叶えたまえ!!」