信じる心 前編
「ねえ、これ本当にいけるの?」
「わからんの一言だ。」
「はい!?」
「あ、でも、今電子黒板に何かが」
卓也、咲、孝
貴方に伝えたいことがある。それは、この戦いを勝てばよしだが、負けると地獄だということだ。初戦はまだ簡単だと思うだろう。しかし、これはゲームではない。初戦から勝つことは難しい。魔王なるやつと力の差は僅差だ。だから、覚悟の上で挑め。しかし、人間は力が相手ほどない。だから、代わりに我々の呼び出しと我々に対する祈りをすれば力を分け与える。これは、貴方の学校の未来に関わってくるからな。絶対諦めるな、よいな?
ダキニ
運営本部より
相手の攻撃力 6900hp
自陣の攻撃力 卓也 1400hp
咲 1080hp
孝 1410hp
合計 3890hp
助っ人
ダキニ天
阿弥陀如来
観音菩薩
春日権現
助っ人を通して力を補ってください。
「どうする?」
「とにかく、春日権現の呼び出しは孝にしてもらう。そして、俺はダキニ様と阿弥陀様だ。」
「あたしが観音様?」
「そうだな。」
「できるかな…?」
「お前の地元は千手観音様だろ?」
「うん…たしか…」
「千手観音の呪文は何?」
「それはね、ナムカラタンノートラヤーヤーナム…」
「ダメだ、思い出せないよ!」
「どうかしたのか?」
「うんう、何でもない」
「そうか。」
「(どうしよう…)」
運営本部より
相手が宣戦布告しました。戦闘開始しますか?
→はい
いいえ
「よしっ!!戦闘開始だ!!」
「待って!!」
「なんだ?」
「あたし、自信ない。」
「は!?」
「たしかに、さっきの呪文知ってるよ。でも、長すぎて覚えてない。全部言える自信ない…」
「お前な、人間は全部覚えられる生き物だと思うか?」
「えっ?…」
「人間は忘れる生き物だ。そんな、うまい具合に覚えられるわけがない。だから、昔の人は忘れないうちに何かに書き留めてたんだ。お経はその一つだ。」
「そうか…」
「やっぱり、お経の存在の意義が分かってなかったみたいだな…」
「じゃあ、見て言ってもいいんだね!!」
「ある程度は覚えなければダメだが、長すぎるものは別に見ても悪くない。」
「あっ、でもお経が…」
「大丈夫だ、きっと観音様がその呪文をささやいてくれる。」
「それ、本当??」
「疑いから信仰ができると思うか?」
「うんう。」
「だろ?まず、信じることが始めなければ、ささやいてもらえない。信じること第一だ。これはどの宗教でも同じだからな。信じろよ、いいな?」
「心得ました。(なんだろう、この感覚?同い年なのに威厳に満ち溢れてるようなきがする。)」
「じゃあ、押すぞ、ボタン。」
「はい!!」
運営本部より
ただいまより第一回桃院中学校高等学校戦を始めます。
選手は所定の位置にスタンバイしてください。
「闘いらしくない!!」
「ああ、確かにな。って運営本部ってどこだ!?」
「霊界です。善と悪の霊がいますが、中には真ん中の立場もいて、そのような霊が大会を取り仕切っています。」
「じゃあ、なんで悪霊のことは無視しているんだ!?運営は!」
「何より最後まで中立の立場ですから、手出ししないんですよ。」
「そいつらは何様で見てんだ!?バカにしてんのか!!」
「落ち着いてください!!そんな、ギャーギャー言っても変わりませんよ。」
「畜生…」
運営本部より
あと五分でスタートします。作戦の最終確認は今のうちにお願いします。
「さっきの試しって失敗だったの?」
「いや、そうじゃなくて、弱点なしのメッセージだと思う。」
「どうする?!」
「どうするか…孝、どうする?」
「そうですね…私だったら空振り作戦を練りますけどね…」
「なんだ?それは」
「相手が三メートル程度でしたら何回かの空振りでも体力が消耗するはずです。しかし、相手が私達と同じならばまた別です。」
「うーん…差を使ってなんかできないかな…」
「(あたしだったらどうしよう?うん?待って…)あった!!」
「どうした!?」
「あたしが変幻自在に動けば相手の処理能力が低下する!!」
「あっ!!そうだ、それだ!!」
「それ、いいですね!!」
「よし、それに決まり!!」
「卓也は、変身とかできるの?」
「まさか…できるわけないだろ。」
「一回、やってみてよ!」
「うん、分かった。それっ!!」
「あっ!!できてる!!」
「たしかにできてます!!卓也君、いけますよ!!」
「そうか?」
「はい!!」
「うん!!」
「よし、やろう!!」
「そうこなくちゃ!!」
「頑張るぞーーーーー!!」
「おーーーーーーーー!!」
「おーーーーーーーー!!!」
運営本部より
まもなく戦闘開始します。
開始30秒前
29
28
27
26
25
24
23
22
21
20秒前
19
18
17
16
15
14
13
12
11
10秒前
09
08
07
06
05秒前
04
03
02
01
戦闘開始
「セット!!アーユーレデイ?」
「OK.T」
「OK.T」
「アフターアラウンド10S」
「OK.T」
「ビフォーゴーファストT2」
「OK.T」
「アンドユー?」
「ライトターンファストT」
「OK.T」
「OK.T」
「アイルメイクアサイクロン.イフユーフィニッシュドプリーズウエイト.アイルリードユー」
「OK.T」
「OK.T」
「レッツゴー!!」
全部、英単語だが、申し訳ない。相手が作戦を盗み聞きするのを防ぐためである。しかし、ここからは…
「ノウマクサラバタタギャタバロウキテイオンサンバラサンバラウンノウマクサラバタタギャタバロウキテイオンサンバラサンバラウンノウマクサラバタタギャタバロウキテイオンサンバラサンバラウンノウマクサラバタタギャタバロウキテイオンサンバラサンバラウンノウマクサラバタタギャタバロウキテイオンサンバラサンバラウンノウマクサラバタタギャタバロウキテイオンサンバラサンバラウンノウマクサラバタタギャタバロウキテイオンサンバラサンバラウン」
「何するの!?」
「相手を気絶させた上の浄化だ。」
「なるほど…あっ!!入ってきた!!えっ、どうしよう!!」
「そんなにパニックになるな。アイツはまだ子分だから、ほら。」
「ウオーーーーーーーー!!!」(シュン)
「本当だ!!浄化されてる!!なんで!?」
「覚えてないのか?この呪文で餓鬼道に落ちた人を成仏させることができるって、父さんが言ってなかったか?」
「うん…あっ!!そっか!!」
「おいおい、しっかりしてくれよ…」
「あっ!!次!!オンアロリキャソワカオンアロリキャソワカ」
「水か…しかも清水か…なるほど。」
「ちょっと!?あたし達窒息するよ!?」
「大丈夫だ。」
「えっ、でも!!」
「俺、さっき言わなかったか!?」
「あっ!!そうだね…」
「おっ!?溺れてる(笑) 」
「目開けるよ。」
「今まで閉めてたんか!?」
「あっ、本当だ(笑) 」
「いや、でも、あれ引っかけですよ…」
「何でだ?」
「見てくださいよ、あの足!!」
「動いてない!!っていうことは!?」
「後ろ!!」
「もらった!!」
「キタラグハッタヤソワカ!!」
「……」
「固まりました。」
「どうやって、その呪文を入手したの!?」
「高野山での修行しているときに教わった。」
「宗旨違うよ!?」
「ああ、でもそれはあってもおかしくない。」
「よく、手に入りましたね!!」
「まあ、インターネットにものってるけどな」
「えーーーーー!?調べよ!」
「後にしろ。こっち先だ。」
「ここで切ろう。」
「そうだな。でもその前に」
「その前に?」
「「抜一切業得生根本陀羅尼だ!!」
「ああ!!、あれね!」
「よし、いくぞ。」
「うん!!」
「ナモアミダバヤダタチェダヤダデイヤタアミリトバアミリダシタンパピアミリダピジャランデイアミリダピジャランダチェミニチェチェナズダジャリスバパ!!」
「ウワーーーーーアーーメガーーーーーー!!」
「無念!!」(シュンシュン)
「後は、止まっているこいつをこうだ!!」
「刀で!?」
「見てみろ。」
「……」(シュン)
「あっ!!消えた、跡形なく」
「これでもう」
「いえ、もう一体残ってます!!」
「えっ!!ウソ!?」
「えっ!?違うだろ!」
「見てください、電子黒板を!!」
運営本部より
相手の残り体数 1体
「マジか!!何でだ!?」
「おそらく、力が及んでいないんでしょう。」
「じゃあ、どうすりゃいいんだ!?」
「張り合いだ。」
「えっ!?」
いつの間にか今回のラスボスが来てた。