やさしい味と力 後編
「では、どうぞ召し上がってください。」
「ありがとうございます。では、いだだきます。」
「いだだきます。」
「あっ、釜飯だ!」
「すみません…わがままを言ってしまいまして…」
「いえいえ、こちらは献立に悩んでいてところに注文がきたのでよかったです。」
「そうですか…いや、申し訳ないです…」
「釜飯♪釜飯♪釜飯♪」
「お礼言えよ…」
「ありがとうございます♪」
「ちゃんと言えよ!おい!」
「あははは、素直でよろしい。きっと真っ直ぐに育ちますよ。」
「そうですか?…」
長老様の言う通りになるかな?…あんなお調子者で…
「あっ、そうそう。執金剛神について知ってますかな?」
「あっ、はい、知ってます。」
「なに?それ。おいしいもの?」
「お前は黙っとけ!」
「よろしいですかな?」
「あっ、はい、すみません。」
「あの方の力について知っていますかな?」
「あっ、はい。祈ったら、衣が蜂となって平将門をさしたとか聞いたことがあります。」
「うむ、たしかにそうですな。それでこれらの勾玉に執金剛神の力を移してくれないかな?」
「やり方は浄土宗になりますがよろしいですか?」
「あぁ、かまわない。とにかく、移していただきたい。」
「分かりました。ただそれをするには時間と労力を費やしますので、もし、事件が解決したならば、その日の内にやらせていただきます。」
「なるほど、では、頼みますよ。」
「はい、分かりました。必ずやるとお約束します。」
そして、土曜日。
「オーライ、オーライ、オーライ、オーライ、オーライ、ストップ!」
宮内庁専用トラックがあるんだ…
「どこにセットしますかね?」
「小さい電気錠の扉付近に1つと体育館裏側にもう片方お願いします。」
これでまずセット完了。これで異世界の力がこの学校で存分に使える。でも…単独で力を発動させる方法を教えてもらっていないな…うん?紙?
本尊の梵字を口にして説法合掌する。別に手は刀印でもかまわない。
へぇ、分かり申した。
「おーい!卓也!これもらった?」
「あぁ、俺ももらった。」
「で、これをどこでやるの?」
「サンミホールの前だ。ここでやるバカがどこにいる!」
「さぁ、行こうっと」
「スマン!悪かった!言い過ぎた!」
「なーなななななーなな♪」
「スマン!スマンって!」
「卓也君!」
「なんだ?」
「頑張ってください!」
「あぁ、すぐ終わるから大丈夫だ。」
「咲、頑張ってね!」
「うん、大丈夫!すぐ終わるよ!」
「じゃあ、行こうか!」
「うん!」
「いってらっしゃーい!」
「いってきまーす!」
普段、中学棟の8階は高校棟に通り抜けできないため、7階から高校棟に通り抜けをして8階のサンミホールに向かおうとしたが…
「ねぇ、8階の連絡通路は使えないの?」
「あぁ、使えない。あそこは体育館で鍵は先生が持ってる。というか向こうでモードを切り替える」「なんで、力使わないの?いけるじゃん」
「力尽きた時に面倒なことになるからやらない。」
「ふーん…そうかな?じゃあ、やってみるね、一回」
「やめとけ!」
「なんで!?」
「ここでヘマしたら俺らが追い出されるかもしれんぞ!」
「まさか…そんなわけ…」
「あるんだ!俺自身も守らなければならないし、お前も守らなければいけない!こんな時にそんなことをやったらどうなる?!!」
「…でも何か分かるかもしれないじゃん!」
「何がわかるんだ?それで!」
「分からない…でも探す!」
「……はぁ…分かった…その代わり、後で来いよ…」
「うん!」
というわけで二手に分かれてやる戦法に変更…だが、その戦法でいこうとしていることを分かっているんだろうか?…まぁ、そこは信じて待つしかないだが…
「ここか…とりあえず…先生に連絡だな…」
「こちら中学棟職員の大谷です。」
「もしもし、石原です。今からサンミホールに突入します。拘束の準備をお願いします。」
「分かりました。健闘を祈ります。」
よし、突入しよう!
「守りたまえ、我が教主、キリーク!」
突入!あれ?開かねぇな………あっ!もしかして…鍵かけてんじゃねぇか?…しまった…あいつを呼ぶの忘れてた…でも…あいつは8階を無理やり開けるのに止まってるしな……
「石原!」
「あっ!大谷先生」
「これ!鍵!」
「ありがとうございます!よし、開けるぞ。」
えっ!?鍵が腐っていく…
「えっ!?どういうこと!?」
鍵が腐っていくっていったい…何が中で起こってんだ?
「どないしよう…」
「本当にそれです…」
あいつがいればな…
「案外、楽に解除できたね♪あはは♪はぁはぁはぁはぁ」
大丈夫じゃねぇだろ!エネルギー消耗しすぎだろ!
「エネルギー補給材なんかない?…」
「あるけど、はい。」
「ありがとう…」
「どうだ?…」
「あまり…効果ないね…」
「そりゃ、そうだろ!」
「まぁ、一旦休むね。」
「いや、ちょっと待て。」
「なんで?」
「ここが開かないんだ…だからここを開けてほしい。」
「えっ!?あたし、力尽きるよ!それでもいい…あっ!」
「どうした!?」
「解除するの言葉で分かった!一字金輪仏頂尊の梵字で解除できる!」
「あっ!それだ!」
「知ってるの?」
「あぁ、真言もそれ1つでどんな呪術でも無効にすることにできる。でも、知っているのは真言宗と天台宗の僧侶とその関係者のみ。」
「今は、インターネットに公開されはじめているよ。」
「えっ!?大丈夫!?それ」
「うん、大丈夫。だってみんな、怖すぎて使わないやつだし」
インターネットに公開されはじめていることは初耳だ。でも、それだったら全てそれで治まるはずじゃないのか?
「後、注意だけど、一回使うと他の呪術が無効になるから気をつけてね。」
えーーーーーー…!!!めんどくさ……
「分かった…鍵穴に手を当てるぞ。」
「うん……」
「ボロン、ボロン、ボロン、ボロンボロンボロンボロンボロンボロンボロンボロンボロンボロンボロン…」
「あっ!開いたよ!ようし、突入!」
「なんで入ってきたの!?」
「生徒会則、補足9条により補導、事情聴収します。」
「そんなことを受けるか!遊べよ、遊べよ、餓鬼道の者達。」
「水くれ~…」
「食べ物くれ~…」
「これって!もしかして!」
「呪術者が聴衆の身体に餓鬼道の霊を乗らせることをしているんだ…」
「いつも通りにやってみる?往生引導。」
「いや、さんばらのほうがいい。まず、与えてみよう、霊が欲しがってるし。」
「食べ物を!?数足りないよ!」
「あっ、そうか…じゃあ…お香を焚こう。」
「どうやって!?持ってないよ!線香!」
「いや、焼香セットがあるから大丈夫だ。」
「電子の!?」
「あぁ、これは特注だ。持ち運びしやすいし、電源きれば火災の心配もない。」
「へー…」
「じゃあ、祈祷の始まりと同じように。」
「はい。」
「ノーマクサラバタタギャタバロウキテイオンサンバラサンバラウンノーマクサラバタタギャタバロウキテイオンサンバラサンバラウンノーマクサラバタタギャタバロウキテイオンサンバラサンバラウンノーマクサラバタタギャタバロウキテイオンサンバラサンバラウンノーマクサラバタタギャタバロウキテイオンサンバラサンバラウンノーマクサラバタタギャタバロウキテイオンサンバラサンバラウンノーマクサラバタタギャタバロウキテイオンサンバラサンバラウン」
「う~水~…」
「食い物~…」
「食べ物が増えていってる!」
「線香は亡者の食い物になるから、それが俺達も食っている物に変換される。」
「あれ?ここで何してたんだ?」
「やっぱり、アイツか…」
「何が?」
「分からないのか?」
「分からない…」
「委員長が実は、仏教の技を知った魔術師だと言うことを…」
「……」
「ややこしい二人が…」
「そっちの方がですよ…何しろ、こっちの技を盗みだしたのですから…」
「さぁて、私はこれから何をするのでしょうか?」
「さぁ?こちらは知りません。」
「そうですか…じゃあ…こちらはやりたい放題ですね…存分、やらせていただきます!」
「あっ、ちょっと待ってください。」
「何ですか!?」
「一応忠告で、あなたが最初に感得した仏を知っていますから。」
「えっ…」
「何で向こう黙っちゃったの!?」
「最初に感得した仏を知られたら、術の力の魂を最初に感得した仏がよく出る宗旨の御魂抜きを通して抜かれてしまう。ただ、間違った判断をすると御魂抜きをしようとしたその人の術の魂が抜かれてしまう…慎重に見極めなければな…」
「でも、餓鬼道の者をいくらでも呼び出せますから!これで力尽きてもらいましょう!…」
「覚えてるか?地蔵菩薩で引導渡しする方法。」
「うーん…とにかく、やってみる!」
「分かった、持ち出しのおりんはあるか?」
「うん!ある!」
「じゃあ、同時にやろう。」
「うん!」(チーン…チーン…チーン…)
「オンカカカビサンマエイソワカオンカカカビサンマエイソワカオンカカカビサンマエイソワカオンカカカビサンマエイソワカオンカカカビサンマエイソワカオンカカカビサンマエイソワカオンカカカビサンマエイソワカ」
「我が師の地蔵菩薩、餓鬼道におわす者をこの今繋がれし紐によって浄土へ導きたまえ。」
「その願い、ただいま聞き入れた。今、ここにより餓鬼道の者、我によって救われんとす。」
「オンカカカビサンマエイソワカオンカカカビサンマエイソワカオンカカカビサンマエイソワカ」
「あれ?呼び出せない!」
「全員往生です。」
「ふざけないでください!」
「事実じゃないですか。後、あなたは常随魔が最終兵器ですよね?」
「くっ……おのれ…」
「乗り移ったな…」
「何のんびり言ってるの!?」
「ふざけやがってー!!!オラァーーー!!!!」
「オンダキニサバハラギャテイソワカノウマクサマンダバサラダンカン!」(グサッ!)
「おのれ…おのれ…」
「聖天は欲望の固まりが元ですよ…残念です。最後までいきませんでしたね。ゲームオーバーです。どうぞお帰りを。オンアソハカオンアソハカオンアソハカ…」
「ウアアアーーーーー!!!!!!」(バタン)
「……………私、今まで何を?……ただ、あなた達は許さない…だって、私達の敵だし、私の身をぼろぼろにしたから…」
「触らぬ神はたたりなしと同じじゃないですか…いじればいじるほどあなたの身は滅び続けますよ…」「でも、まだ手はありますよ…副委員長!副委員長!」
「お前ら…委員長様に何をした!!許さんからな…許さんからな!!…」
洗脳されてるな、コイツ…って、なぜ委員長は俺達がやったと記憶しているんだ?うーん…あっ、もしかして…コイツが新たな情報を送信しているのか?…
「フッ…ザコどもが…そんなことも今になって…アイツは俺様の操り人形だ…」
なんだと!?そんなバカな…
「ザコども、消えろ!!!」
「オンバサラクシャアランジャウンソワカ!!」(ドーーン!)
「何で岩!?」
「蔵王権現は岩から生まれた。」
「あっ!そっか!だからか!」
「お前ら~…よくもやりやがったな!!」
「分かった!そこからこうするんだよね?」
「ウオオオオオオ!!!!」
「オンアソハカオンアソハカオンアソハカ!!」
「ウアアアーーーーー!!!!」(バタン)
「俺はいったい…何を?」
「よし、撤収!!」
「うん!」
「………あれ?みんな倒れてる…」
こうして、二重構造の事件は解決した。
「最後…おいしいとこを…」
「えへへへへ♪」
「でも、ナイスだったぞ。あの術、まだ慣れてないからすぐ解けてしまうんだ。手際よかったな!次、一からひとりで相手できるか?」
「まさか…でも、卓也ならいけそう♪」
「おい!こっちを倒してどうする!」
「えへへへへへ♪」
「次、試戦してみるか?」
「えっ、いいの!?」
「あぁ、ただ寺じゃ危ないから寺が持ってる山でやろう。」
「いつ?」
「時間空いたらな。」
「えーー!…明日がいい!」
「無理だ。」
「えーー、やーだー!」
「ダメだ!」
「えーー!やーだーやーだーやだやだー!!」
「無理だって言ってんだろ!!」
「ガブッ」
「ギャーーーーーーーーーーーー!!!!」




