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届け!祈り!!  作者: 稲荷こん
今と導く人
13/17

やさしい味と力 中編

「ちょっと、嬉しいことがありまして…」

「それはおめでたいことで。赤飯でも用意しましょうか?」

「いえいえ、そんなたいしたことはないんで。では…」

何とかギリギリセーフかな?…

「どうしたの!?」

「おい聞いたか?…隣に東大寺の僧侶がいるって!」

「ウソ!?本当に?」

「あぁ、そうらしいな。」

「早速、聞いてみる?」

「いや、待て。」

「えー!?…動かないと…」

「あっ!ちょっと待て!!」

全く…こいつは…仕方ない…後ろからついていくとするか…

「おい!お前、どこいくんだ!」

「いや、別に。ロッカーに行くだけですけど…」

「おい、最近、お前、調子乗ってんじゃねぇか?おい!」

「はい!?僕は、普通にやっています!」

「おい!こいつ、調子乗ってんぞ!しばこうぜ!!」

「おー!!」

「何をなさるんですか!?」

「ちょっと、待って!!」

「おい、何だ!こいつ!」

「こないだの転校生じゃねぇか?」

「あの…どなたでしょうか?」

「ちょっと来て!!」

「おい、どこに行くんだ!!」

よし、ナイス咲

「何ですか!?いきなり」

「あなたに話があるの。来てくれる?」

「あっ…はい…」

ついていくとするか…

「二人は一体、どのような方で…」

「宗教委員の一員で浄土宗僧侶です。」

「えっ!?浄土宗の僧侶ですか?髪の毛ありますけど…」

「あぁ、父親が許してくれたので髪の毛がそのままあります。」

「あぁ…そうなんですか…ところで僕に何の用件で来たのですか?」

「今週の土曜日、サンミホールで、宗教関係者の学校追放集会が行われるらしいです。そこで、取り押さえをしなければならないのですが…参加人数が大人数だと予想されています。これだと奥の手を使う必要があります。」

「そこであなたのお寺にある陽剣と陰剣が必要なんです。貸していただけませんか?」

「うーん…それは…ちょっと…無理かもしれません…何しろ長老の手元にあるものですから…」

「そうなんですか…ところで今日の話し合いを知っていますか?」

「あっ、はい!もちろん!何しろ…私のことでもありますから…」

「じゃあ、また、後で」

とにかく、緊急性の高いことだ。宗教委員がいなくなれば学校もろともやられるかもしれん。でも…あの二つの剣があればすぐにことは進んで阻止できる…頼む!!

「あのう…そこで何をされていますか?」

またか!

「まぁ…叶ってほしいことがありまして…」

「そうですか…どんなことで?」

「それは願主が秘密にしてほしいということで言えません。」

「そうですか…それにしても、最近、あなた、おかしいですよ。」

「あっ、そうですか…分かりました。直しますね…」

感情が表に出過ぎているみたいだ。そして、放課後…

「全員、集まりました?卓也さん。」

「あぁ、そうだな。」

「遅れてすみません!」

「あっ!来た!」

「あの方はいったい…」

「東大寺の僧侶だ。」

「えっ!?ウソ!?」

「本当だ。聞いてみろ。」

「起立!これより宗教委員緊急招集会を始めます!礼!」

「着席!」

「宗教委員である我々の身に災いが降りかかる危機に直面している。」

「それは、宗教関係者学校追放運動の一環として実施される追放集会です。これを私達で阻止しなければならないのです。」

「しかし、集会の参加人数は大人数になる予想です。もし、暴れたら、我々の力では止められません。」「そこで石原二人と春日原、永坂で奥の手を使いたいと考えている。それには陽剣と陰剣の二つの剣が必要になってくる。誰か、この二つの剣について知っているか?」

「はい!」

「はい、お名前は?」

「三年C組の前坂まえさかです。僕が所属する華厳宗けごんしゅう東大寺にその二つの剣はあります。しかし、長老が持っていて、使用が許されるか分かりません。」

「なるほど…」

「最後、見た時はいつでしたか?」

「確か…聖武天皇忌の時でした。あの二つの剣は聖武天皇が奉納したもので、昔は東大寺の大仏殿の本尊のそばにありました。近年、発見されてから長老の手元に置くようになりました。」

「そんな、重要な物だったとはな…」

「どうしたんですか?先輩。」

「まぁな…その二つの剣を奉納したのが聖武天皇だと聞いたからびっくりしたんだ。これは、宮内庁が絡んでくるんじゃないかと思ったんだ。」

「まぁ…そういうことですね…」

「下手をするともし、二つの剣に何かがあったら国が絡んでくるかもしれんということだな?」

「はい…一応、長老は宮内庁の非常勤職員なんですが、長老が国から許可を取る作業をしなければならないので、そうなかなか許可がおりるかは分かりません。」

「そうか…じゃあ、他の作戦はないか?」

「……………………」

「やっぱりないか?」

「はい、先輩の作戦が一番いいのではないでしょうか?」

「うーん…でも…許可がおりるか分からないんだぞ。」

「言う前からあきらめてどうするんですか!!もしかしたら、いけるかもしれないじゃないですか!」

「直談判するんか?」

「はい!そうです!みんなで一緒に東大寺に行きましょう!」

「みんなはどう思う?」

「直談判が一番いいです。」

「直談判の方が気持ちがこもっていいのではないでしょうか?」

「咲達はどう思う?」

「あたしは、直談判がいいと思う。」

「孝と永坂はどう思う?」

「咲さんには賛成です。」

「咲には賛成です。」

「前坂は?」

「僕もそう思います。長老は直接、人に伝えることは本当の気持ちを表すっておっしゃっていましたから。」

「よし、直談判で東大寺に行くとするか。みんな、いいな?」

「でも、平日ですよ?」

「大丈夫だ。夜に行けばいい。」

「夕飯はどうします?」

「みんなで東大寺周辺で取ろう。」

「そうしましょう。ところで、署名とか宗教委員でやります?卓也君。」

「あぁ、やろう。何しろあの二つの剣を使わなければ、委員は守れないからな。」

「みんな、協力してくれるな?」

「はい!喜んで!!」

「じゃあ、作戦開始だ!頑張るぞ!!」

「おーーーーー!!!」

それから、色々委員の先生に助けてもらいながら、東大寺にその日に行くことになった。

「地下なの?」

「駅がか?」

「うん。」

あっ…そうか…こいつ…橿原に来てから初めて奈良に行くのか…

「あぁ、そうだ。ここらへんは開発が制限されている。そのため、駅を作る土地がないから地下に作っているんだ。」

「へー…だからか…」

「まもなく、奈良、奈良です。左側の扉が開きます。ご注意ください。」

「行き方、知っているの?」

「当たり前だ。10回東大寺に行ったことがあるから道順を知ってる。」

「どうやって行くの?」

「まず、降りろ!何で乗ったままなんだ!」

「えっ、なんとなく。」

「なんとなくじゃないだろ!みんな、行ってるぞ!」

「えっ!?ウソ!?」

「えっ!?ウソ!?じゃないだろ!早くしろ!」

「はいー!!」

「あっ!大谷先生すみません!あいつがなかなか来ないもんで!」

「どうしたん?咲さんに何かあったん?」

「あいつ、ボヤボヤしててなかなか動かなかったんですよ!」

「あっ、来たで。」

「みなさん…どうも…」

「何があったんだ!?」

「ドアに身がはさまった…」

「早く、降りなくてドアが閉まる瞬間に降りるからだろ!!」

「エヘヘヘへへ♪」

こいつ…MかSか分からん…なんだよこいつは?…

「これで全員そろったようやね。ほんなら行こうか。」

「はい。先生…?」

「どうしたん?」

「そっち、バス乗り場方面ですけど…」

「えっ?そうなん?どっちなん?」

「行基噴水広場の方なのでこっちです…」

「あっ、そうか!♪」

先生、行き方、分かってなかった…

「行基噴水って行基の銅像がある噴水!?」

「そう、これも奈良の名物」

「他は?」

「大仏だな。」

「だよね…」

「どうしたんだ?」

「美味しいものないかなって思っただけ…」

「それなら釜飯はどうだ?」

「そんなものがあるの!?」

「あぁ、ただそれを教えるのは後な」

「はーい♪」

「とりあえず、東大寺で一頑張りだな!」

「うん!」「あー…あれが南大門か…」

「あぁ、そうだな。」

「案外、でかいね…」

「出たっ、初めて来た人が口にすること。」

「言うの!?私みたいな人が?」

「あぁ、言う言う。あるあるだな。」

「ところで、直談判する場所はどこ?」

「さぁ…?あっ!看板!」


来訪者へ

天皇殿へお進みください。天皇殿は次で左折←


「天皇殿か…天皇はどの?」

「聖武天皇のことだ。行くぞ。」

「うん…」

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