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004:創世神様

 神様は娯楽に飢えている。

 不老不死に近い肉体を持っているが為に、気が遠くなるほど長い時間をどうやって過ごすのか神にとって最大の課題と言えよう。

 その為、神様は退屈を嫌う。刺激を求めている点だけ考慮すれば、勤労生活に疲弊したサラリーマンみたいな考えだな、と思う所である。まあ、刺激を追求するために行われるスケールの大きさは比ではないのだけどな。

 俺が所属している転生派遣課を創立させた神様、創世神は文字通り世界を作り出す力を持っておられる。その力を万弁に活用して、ありとあらゆる世界を作って観察していたのが当初の趣味であったらしい。

 偉大な御方なのだが、なんだけど……。


「ルビアたんルートキタァー! セーブ、セーブと」


 その偉大な御方、創世神オリジン・ユートピア――長いので以下省略――様は現在、エロゲーに勤しんでおられた。幾ら御身のお力を使って防音施設にしているからと言って、巨大スクリーンを使って大音量でプレイしないでいただきたい。


「相変わらずですね、オリジン様」

「ん? ……あ、セバスチャン。どったの? 今日はお休みだったと思うけど?」

「今日送られた資料についてお聞きしたい所があって参上したのですが……。また、エロゲーを買いに行かれたのですか?」


 傍らにはエロゲーの箱が大量に積み上げられていた。以前来た時は見た事がないタイトルがほとんどであったので、恐らくはこっそり人間世界に降りて大量に購入なされたのであろう。


「……まさか、そのお姿で行かれたのではないのでしょうね?」


 今のオリジン様はどこを見ても幼い男の子にしか見えない。

 見た目、小学生の姿で十八禁ゲームソフトを購入しに行った姿を思い浮かべて、顔を真っ青にさせるのだが――。


「大丈夫大丈夫。ボクがそんなバカな事をすると思ったかい? ちゃんと肉体変化させて行ったよ。……この姿でね」


 と言って、オリジン様のお姿が豹変する。

 先ほどまで小学低学年生ぐらいの男の子であったのに、今はスーツを着こなすOLさんの姿に変化された。

 オリジン様ぐらいのお力を持つ神様ならば己の肉体すらも自由に変化する事は可能なのだが――。


「あの……。なんで、女性の姿に変化なされたのですか? しかも、以前やったと思われるエロゲーキャラの姿なんかに」

「自由に変化出来るなら、好きなキャラに変化したいじゃない。ほら、胸もこんなに大きくなったことだし」

「だからと言って、エロゲーを買いに行くのに女性に変化するのはどうなんですか。かなり注目を浴びた事でしょうね」

「そうね。みんな、私の美貌にメロメロになっちゃったのかしらね」


 いや、それは絶対に違うから。何気に役に入りきるな。

 彼氏と一緒にエロゲーを買いに来る女性はいなくもないが、女性単身でエロゲーをご購入される人なんていないはず。更にエロゲーに出てくるキャラと酷似していると分かったら、絶対に注目を浴びる事だろうな。

 ……何人かオカズにしたんだろうな。俺もこの肉体になっていなければ、同じことをしたと思うし。


「それで、聞きたい事ってなに?」

「そうでした。H2025Ma04-22-02番、神威優の資料なんですが……。調べたところ、この男は罪状持ちでした」


 普通、転生の権利を得られるのは転生をさせても問題のない者が選ばれる。

 中には欲望に塗れて非道に走る者達もいるが、そう言った者達は能力を制限させる等と言ったペナルティを課す事で対処する事も出来る。

 だが、管理できる神様は有限。幾ら道楽の為とは言え、そんな事に時間を注込みたくはないと考えた創世神は罪状持ちの人間は規則的に転生させないと定めていたのであった。


「なんですって!?」

「罪状は結婚詐欺及び婦女暴行ですね。多くの女性を騙して貢がせるだけ貢がせて、いざ婚約が決まった途端に行方を暗ませる。男の風上にも置けないクソ野郎ですね。その後に、十数件の強姦によって警察沙汰に及んでいますね」

「そう……。よく知らせてくれたわ。この件は私が預かる事に致します」

「はい、よろしくお願いいたします」

「知らしてくれてありがとね。けど、ここ最近はこう言ったミスが多くなったわね。今度、転生管理課のみんなの様子を見に行ってくれない? 少しぐらいの要望なら応えると言っておいて」

「承りました。オリジン様もエロゲーはほどほどになさってくださいね」

「分かっていますって! あ、なんなら一緒にやる?」

「……まだ、最後の案件を抱えておりますので、今回は遠慮させていただきます」


 今回じゃなくて、今回もだけどな。

 これ以上、この場に留まっていると一緒にエロゲーをさせられるかもしれないので早々とこの場から去る事にする。


「……さて、二件目も何とかなったし、後は最後の一件か」


 唯一まともであった案件を書き込んだ資料を取りだし、時刻がお昼近くになっている事を確認する。

 この時間ならば寝坊助エリーゼ様も起きている時間でしょう。戦い以外脳がない女神様だから、きっと今日も人間界でご購入なされたカップラーメンを食されることだろう。

 栄養面とか考えなくてもいい肉体なのだが、精神面的に来るものがあるだろう色々と。

 転生担当の女神様のケアをするのも俺の役割故、今日の昼食は料理の腕を振るう事にするか。

 ……レトルトカレーだけどな。

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