表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天使の加護と聖痕の力  作者: 上の下のなんつーか中目黒
第1章 異世界漫遊編
8/11

第8話 専属料理人?

 ワイルドベアを倒してから、周りの様子が少し変わった。

 辺りに感じていた魔物の気配が活発に動きを見せ始めたのだ。


 「さっきの戦いに触発されたって感じか?」


 「そうかもしんねーな、でもワイルドベア以下の魔物なら俺も戦えるからな。 兄ちゃんばっかに良い格好させないぜ」


 良い格好したつもりは無いがな。

 色々試したい事が有った、それだけだ。


 「その張り切り具合をキラースパイダーを見付けるのに使ってくれ、一体何時になれば見付かるんだ?」


 「んー、わからん。 でも巣さへ見つければ一気に数が稼げる筈だぜ、奴等は一つの巣で何匹も暮らしてる筈だからな」


 ならやはりとっとと巣を見付けるしか無いか。


 そしてまた高い木を探して歩き始めた。


 その中で何回も魔物に襲われる事になる。


 ダークウルフ、マッドネスアント、ホブゴブリン、様々な魔物と戦った。

 ダンダが素早さを活かして敵を撹乱し、その隙を付いて俺が止めをさす。


 そんか戦いを何度も繰り返した。


 「へへっ、俺達のコンビプレーなかなかのもんだと思わないか?」


 「思わん。 調子に乗るな」


 「えー?酷くないか? ちょっとは役に立ってる筈だぜ」


 (……ダンダさん、この人素直じゃないで気にしないで下さい……)


 勝手に俺のキャラ設定を決めるのを止めろ。


 だが実際ダンダのお陰で戦闘が楽に終わってるのは事実だ。

 仕方が無いが、高級な飯をせびるのはやめておいてやるかな。




 それからも何度か戦闘を行い、遂にキラースパイダーの巣を発見する事が出来た。


 「これは……気持ち悪いな」


 「でっかい蜘蛛だしな。 無理な奴は見た目だけでやられちまうらしいし」


 「分からんでも無いな。 だがここまででかなり疲れてるんだ、とっとと終わらせて帰るぞ」


 「あいよっ!」<PBR

 先ずはリプカの右手を使って巣を焼くか。

 森の中で火を使うのは気が引けるが、この際仕方ないだろう。


 俺はリプカの右手を使用した。

 右手に蛇の様な痣が浮かび上がり、それらは熱を放ちはじめ、その姿を炎へと変えた。


 「ちょっと待て、炎の量が前の比じゃないぞ?」


 (……そりゃ強化されてますしね、きちんと狙わないと大火災になっちゃいますね……)


 こんな事なら事前に使っておけば良かったか?

 だがMPの無駄な消費は避けねばならんしな。


 俺は慎重にクモの巣だけを狙い力を開放した。

 炎の蛇は巣に当たるなり更に火力を増して、巣ごとキラースパイダーを全ての焼き払った。


 空中からボトボトとこんがり焼かれた十数体ものキラースパイダーの死体が落ちてくる。


 「兄ちゃん、それはエグいわ」


 俺に言うな、アイリスに言え。


 「まぁ、手間が省けて良かっただろ」


 (……流石私の力ですね、褒めて良いんですよアスカ様……)


 誰が褒めるか!


 「まぁあれだ、魔石と針を回収して帰るか」


 「だなっ、俺も疲れたから早く帰りたいぜ」


 二人で回収したので、回収作業は直ぐに終った。


 「ふぅ、これで依頼終了だな。 今日は疲れたし急いで帰るぞダンダ」


 「了解だぜ」


 それからは早かった。

 森の出口目掛けて一直線に突き進み、飛び出して来る魔物は直ぐに斬り伏せた。


 今回も相当レベルが上がったのか、最初に森に入った時よりもかなり動きが良くなっている感じがする。

 勿論ダンダもだ、森に入った時より遥かに動きは早くなり、一撃一撃の重さが増していた。


 (……アスカ様が強くなっていくのが私の楽しみですからね、本当に良い事ですよ……)


 アイリスの思惑通りに事が運んでいる気がして、余りいい気分じゃないが仕方ないだろう。

 この世界で生きていくと言う事は、強くなると言う事なのだから。


 美味い飯や良い寝床を求めなければそうじゃないのかも知れないが、そんなのは俺からしたら死んでるのと同じだ。


 欲を満たしてこその人間だからな。


 強くなると言う事は、それだけで自分の欲を満たす事に繋がるのだ。




 かなり急いだかいもあって、あっという間に街に着いた。


 「想像以上のペースだったな」


 「兄ちゃんがどんどん先に行くから付いて行くだけでヒーヒーだぜこっちは」


 「だがちゃんと付いてこれたじゃ無いか」


 「えっ?あぁ、まぁね。 俺ってばやれば出来る子だし」


 頭を掻きながら恥ずかしそうに言うな、男のお前にそんな反応など求めてはいない。


 (……まぁまぁ、良いじゃないですか。 今回はダンダさんのお陰でかなり楽できたのは事実ですし……)


 認めたくは無いが、事実なのだから仕方無いか。

 今回はダンダの働きを認めてやろう。


 「ギルドに向かうが、お前はどうする?」


 「そうだな、俺も一応行くわ」


 こうして二人でギルドへ向かう事になった。

 足早に歩き、ギルドにはさほど時間が掛からずに到着した。


 ギルドに着くなりカウンターへ向かい、直ぐに清算を始めて貰った。


 「それではアスカさん、これが今回の報酬と買取金額を合わせた2000ルクスとなっております。 こちらのワイルドベアの魔石はいかが致しますか?」


 「それも買取で頼む」


 「でしたら400ルクスで買い取らせて貰いますが宜しいですか?」


 「構わん」


 「それではワイルドベアの魔石と合わせた2400ルクスです。 ご確認下さい」


 金の確認を済まし、ギルドを後にしようとした時だ。


 「兄ちゃん、飯行こうぜ。 一回目の奢りは今日果たす」


 「そうか…そうだな。 ならとっとと美味い飯屋に連れて行け」


 「すげー上からだよな毎回」


 (……こういう人なので気にしたら負けですよ……)


 ダンダが案内する様に歩き始めたので、その後に続く様に歩いた。

 そして10分程歩き、目的の場所に着いた。


 「ここが俺のお勧めの店だぜー! 【粉物屋 お好み亭】ってんだ」


 ん?粉物屋?お好み焼きか何かか?

 いや、この世界にお好み焼きがあるとは思えないが。


 店に入るなり俺は驚いてしまう、目の前に広がっている光景はまさに日本のお好み焼き屋と一緒だったのだから。


 「完全にお好み焼き屋だろこれ」


 「そりゃ店名にもある通りお好み亭だしな」


 「そうじゃない。 お前には分からんだろうが色々有るんだよ」


 ダンダは不思議そうに首を傾げていた。

 こっちの世界の人間に言っても分からない事が有るのだから仕方ないだろう。


 「アイリス、これはどういう事だ?」


 (……お好み焼き屋さんですか? それは過去に何人もこちら側の世界に来ている人間がいるのですから有っても不思議じゃ無いかと……)


 「勇者以外の召喚って事か?」


 (……違いますよ、迷い込むと言った方が正しいですかね……)


 迷い込む?どういう事だ?

 召喚や、アイリスの様な天使に連れてこられる以外にこちらに来る方法が有るって事なのか?


 「兄ちゃんいつまでそんな所にいんだよ、早く席についてくれよ」


 「ん?あぁ、そうだな」


 「いらっしゃいませお客さん、今日は何にしますか?」


 「俺は豚玉にするぜ、兄ちゃんは?」


 「豚玉ってお前…… ふぅ、なら俺はモダン焼きを頼む」


 完全だ、完全にお好み焼き屋だ。

 しかも豚玉にモダン焼きだと?日本と全く同じじゃないか。

 少しは捻ろうとは思わなかったのか全く。


 「おい店主、この店を始めたのはあんたか?」


 「いえいえ、違いますよ。 あっしは社長に弟子入りして暖簾分けしてもらったんです」


 「社長?暖簾分け?そんな言葉まで知ってるとはな」


 「ん、もしかしてお客さんも社長と同じで異世界から来たんですかい?」


 まさか知りたかった情報を相手から言ってくれるとはな。

 妙な感じだが有難い事に変わりは無いか。


 「あぁ、俺も最近異世界からこっちに来たんだ。 それで社長ってのは何処にいるんだ?」


 「えー?!兄ちゃん異世界から来たのかよ?!」


 「五月蝿いぞ!ちょっとだけ黙っていろ」


 「やっぱりそうでしたか、異世界から来たばかりでしたら色々大変でしょう。 社長も凄く苦労したみたいですからね」


 「苦労?何故だ?」


 「そりゃー言葉も分からなければ生きていく術も持ってないんですから当たり前でしょう? 最初は身振り手振りで冒険者になって、時間をかけてこっちの世界の言葉を覚えたらしいですよ」


 言葉も分からず戦う術も無い?どういう事だ?


 (……偶然こちらの世界に迷い込んでしまった人には、能力等は一切有りませんからね。 本当にそのままのこちらの世界に来てしまうんですよ……)


 なっ?!そんな無茶苦茶な話しが有るのか?


 「それで今社長ってのは何をしてるんだ?」


 「冒険者を続けながら、お好み亭の社長も兼任してますよ。 今も何処かの街で依頼をこなしてるんじゃ無いですかね?」


 「そうか、今も冒険者なのか。 ならいつか会う日が有るかもしれないな」


 異世界に来て0から始めた人間か、少し興味が有るな。

 会う事が有ったら色々話しを聞いてみたいものだ。


 「あいよっお客さん、豚玉にモダン焼き出来上がりだよ」


 ゆらゆらと湯気を上げ、美味そうな匂いが辺りに漂っている。

 この鼻を抜ける香り、間違いなく美味い筈だ。


 「冷める前に食おうぜ兄ちゃん、熱々を食べるのが良いんだよお好み焼きは」


 「言われなくても分かっている。 それでは頂こう」


 1口噛むと、日本で食べていたお好み焼き屋のそれを遥かに超える旨さに驚いた。

 日本とは違い、使われている素材その物の旨さが格段に違うのだろう。


 「店主、最高に美味いな」


 「そうでございますか? いやー嬉しい限りです」


 「ほふっほふっ、なっ? 美味いだろ兄ちゃん」


 口に物を入れたまま喋るな、行儀悪い。


 「先ずは飲み込んでから喋れ、そんな事も出来んのかお前は」


 「あい………」


 (……また落ち込ませて、アスカ様は本当に人を傷付けるのが上手いですね……)


 そんなつもりは無い、食べ物を口に含んだまま喋るのは人として許しておけんだろ。

 礼儀を教えたまでだぞ俺は。


 (……言い方ですよ言い方、もう少し優しく言えないのですか?……)


 無理だな、俺にそんな物を求めるな。


 この世界に来てから何度目かの、アイリスのデカイ溜息を聞いた。

 仕方ないだろう、それが俺なんだから。


 「ふぅ、美味かったな。 又来るぞ」


 「美味かったぜー」


 「ありがとー御座います。 是非ともご贔屓に」


 店主と少しだけ言葉を交わし店を出た。

 たまには日本の味を思い出すのも悪くないな、又来ることにしよう。


 「それじゃーなダンダ。 後2回楽しみにしているぞ」


 「わーってるよ。 それより俺は兄ちゃんが異世界から来たって話しの方が気になるんだけど?」


 「気が向いたら話してやる、今日はもう疲れたから帰る」


 「えぇー?!めっちゃ気になるぜ畜生!! ってか約束だからなっ!絶対教えろよー」


 面倒な奴だな、別に気にする事でもないだろうに。


 (……普通気にする事だと思いますけどね……)


 気が向いたら話してやれば良いだろ、それとも秘密にしなければいけない話なのか?


 (……無闇やたらに話すのはどうかと思いますが、ダンダさんなら大丈夫だと思いますよ……)


 なら決まりだな、気が向いたら教える。

 それだけだ。


 そして宿に向け歩き始めた。


 「おかえりなさいませアスカ様、お食事は如何なさいますか?」


 「すまん、今日は外で食べて来たんだ。 明日の朝に頼む」


 「そうでございますか… それではごゆっくりお休み下さい」


 何故か分からないが、ルミールが少しだけ寂しそうな顔をしていた。

 何か有ったのだろうか?


 (……ニブチンですねアスカ様は……)


 何の話だ?今の会話の中に俺がルミールを傷付けるようなやり取りは無かった筈だが?

 分からん、本当に女は分からん生き物だ。


 まぁ良い、風呂に浸かって頭を切り替えよう。

 わざわざ俺が変な気を利かすような事でも無いだろう。


 (……利かしましょうよ!!……)


 知らん知らん、俺には何も聞こえない。


 (……全く····……)


 この日もゆっくりと風呂に浸かり、頭を空っぽにしてから眠りに着いた。


 考え事や悩み事など俺には必要の無い物なのだから。




 …………チュンチュン…チュン……チュンチュン………


 五月蝿いな、鳥と言うのは何故窓際で囀るんだ?

 明らかに睡眠を妨害しに来ているとしか思えんぞ。


 嫌々ながらに身体を起こした。

 目が覚めてしまったのだから仕方無い。


 (……あれ?今日は早いんですね……)


 「目が覚めたのだから仕方無いだろ」


 (……いえいえ、素晴らしい事だと思いますよ……)


 俺にとっては最悪だがな。


 しかしこんな早くに起きてもやる事が無いぞ。

 どうしたもんかな。


 (……街をぶらついてみると言うのはどうですか? 何か面白い物が見つかるかもしれませんよ……)


 「街をね、まぁそれも悪くないか。 取り敢えず飯だけ食べてから行くとするか」


 直ぐにルミールに食事の用意を頼み、美味しく平らげてから宿を出た。

 昨日とは違って嬉しそうな顔をしていた気がしたが、何か有ったのだろうか?


 (……ふふっ、やっぱり気になってたんですね……)


 ちょっと黙ろうか。


 宿を出て、宛も無くぶらつく。

 たまにはこんな日があっても悪くないんじゃないかと思える程、静かな中歩き続けた。


 通った事の無い通りを歩いたり、朝市の様な所で見た事の無い果物を食べたり、悪い気はしなかった。


 そして、また知らない通りに差し掛かった所だった。


 「おらぁ!!糞アマ!!テキパキ歩けや!」


 騒々しい奴等だな。

 こう言う輩目障りで適わん。


 「何見てんだコラ、俺らに何か言いたい事でもあんのか?」


 まさか少し目が合っただけでいちゃもんをつけてくるとはな。

 本当に面倒な奴等だ。


 「別に見て等いないし、お前らに興味等無い。 

とっとと失せろ」


 (……そこでその発言はどうかと思いますけどね……)


 「あぁん?誰に向かって言ってやがんだガキがコラ」


 もう無理だ、我慢ならん。


 「何か言えやゴびゃあっ……いひにゃひにゃひすよびゃよ!(いきなり何すんだよ)いひゃいっいひゃいっやめてふだはい(痛い痛い止めて下さい)」


 取り敢えずタコ殴りにしてやった。

 俺は悪くないぞ?殴って下さいと言わんばかりの態度を取ったお前が悪いのだからな。


 「許して欲しいのか?なら誠意を示したらどうだ? 目上の者に迷惑を掛けたのだから当たり前だろう?」


 (……迷惑を掛けたのはアスカ様ですし、何より目上の者じゃないですしね……)


 「何をしたら許して貰えるんですか?!」


 「そんな事は自分で考えろ、そんな事すら出来んのか」


 「なっならコイツでどうですか?」


 男は首輪で繋がれた女を差し出して来た。

 さっきまでこの男に滅茶苦茶言われていた女じゃないか。


 「いらん、何が悲しくてお前の女を貰わねばならんのだ」


 「いえいえいえっ!!これは奴隷ですよ。 さっき仕入れたばっかなんですよ」


 奴隷?仕入れた?何を言ってるんだコイツは。


 (……この世界には奴隷制度がありますからね、奴隷商を通じて売買が行われています。 お金が無くて売らて奴隷になる者から、犯罪を犯し奴隷に落とされる者まで様々です……)


 奴隷か……胸糞悪い話だ。

 (……まさかアスカ様に真っ当な人の心が残っているとは驚きです……)


 黙ろうか?


 「それで、その奴隷の女は本来どうなる予定何だ?」


 「いやー、どうなるかはちょっと。 顔は良いんですがね、何せ口が聞けないんですよ。 何でメイドとして売る訳にもいかないし、売春街にでも売り払っちまおうかと思ってた所だったんですよ」


 「そんな女を俺に渡そうと?」


 「え?いやっ…アハハハハ」


 全く何を考えているんだコイツは?

 だが売春街か、売られれば相当酷い目に合わされるんだろうな。


 他人を気遣うような事はしない主義なんだがな、何故かほって置いてはいけない気もする。


 まぁ良い、1度見てみるか。


 俺はホルスの眼を使用して女を見た。


 ナタリー ルティウス


 Lv5


 〈称号〉家族を奪われた者 奴隷


 HP 35/60

 MP 40/40


 AT 20

 DF 15

 AGL 30

 DEX 25

 INT 40


 EXP 0/1000


 〈能力〉 【獣人化Lv1】 


 キュール村の生き残り。

 国と国との戦争に巻き込まれ、村を滅ぼされた。

 その際喉に怪我を負い、言葉を失った。

 生きる気力も無くさまよっている所を奴隷商に捕まり、奴隷にされてしまう。

 キュール村の人間には【獣人化】と言う力が有り、力を開放すれば亜人族の様な見た目になり、身体能力が何倍にも上がる。

 そして、キュール村の住人は全て料理人の才能が有り、世界でも有名な料理人の半数はキュール村の出身である。

 勿論ナタリーの料理の腕前もプロ級である。


 料理がプロ級でだと?!


 (……気にする所はそこじゃ無いと思いますが?……)


 「それで………どう致しますか?」


 「そうだな、うん。 その女を貰おうか」


 「はっはい!でさ早速所有権の嬢度を行いますのでこちらにサインをお願い出来ますか?」


 「奴隷ってのは開放させる事は出来るのか?」


 「いえ、強力な呪いみたいなもんが掛かってるらしくて、奴隷に落ちたら一生奴隷のままですよ」


 「そうか、ほれ。 これで良いか?」


 俺はサインを済まし、男に書類を渡した。


 「ではこの女をどうぞ」


 女は俺を鋭い目付きで睨み付けていた。

 まぁそりゃそうなるわな。


 「おい女、お前はナタリーと言うのだろ?」


 ナタリーは驚きを隠せないと言った表情をしていた。


 「もしかしたら俺はお前を奴隷から開放出来るかもしれん、そして声を取り戻す事も出来るかもしれん」


 ナタリーは更に訳が分からないと言った表情をした。


 「そこでだ、お前は料理が上手いのだろ? 定期的に俺に美味い食事を作ると約束すれば助けてやらん事も無い」


 俺の言葉に首を傾げ、少し悩んでいる様な顔をしている。

 それから少し時間が経った時だった、ナタリーは大きく頷き、俺に頭を下げた。


 「ふっ、悩む必要なんて無いだろうに。 なら始めるぞ、じっとしていろよ」


 俺は【聖痕開放】を出し、その中かはキュアラスの指を選択した。


 指の周りにリングの様な痣が浮かび上がり、それは暖かい光を放ちながら指先へと移動を始める。


 それをナタリーの喉に当て、力を開放した。


 ナタリーの身体は光に包まれ、喉に付いている酷い怪我の痕がみるみる内に消えて行った。

 それと同じ様に、ナタリーを奴隷として縛り付けている首輪も弾ける様に外れた。


 「どうだ?喋れるか?」


 「わ…た…し…私の声……うっ…うっ…うわぁーん……」


 ナタリーは大声で泣き出した。

 今まで心に溜めていた全ての嫌な物を吐き出すように。


 「ふぅ、泣かれるとどうしようも無いな」


 (……まさかアスカ様が人助けをするなんて事があるなんて、ふふっ少し嬉しいです……)


 「意味も無く助けた訳じゃない、俺は美味い物が食べたかった。 それだけだ」


 (……ならわざわざ奴隷から開放する必要も無いと思いますけどぬ、全く素直じゃ無いんですから……)


 「黙れ、俺は奴隷何てものが必要じゃなかっただけだ。 専属の料理人ならウェルカムだがな」


 (……ならそう言う事にしておいてあげますね……)


 コイツ……おちょくってやがるな。


 「有難う御座います有難う御座います有難う御座います」


 急にナタリーが何度もお礼を言い始めた。

 感謝するのは良いが、何度も言われるとむず痒いから止めて欲しい。


 「お礼なぞいらん、お前は俺に美味い飯を作る為に助けられたんだぞ。 それを忘れるな」


 「はいっ、必ず貴方様を満足させる料理を作って見せます! それで私はこれからどうすれば良いですか?」


 「どうすればとは? 奴隷じゃなくなったんだから好きに生きれば良いだろう」


 「そう言う訳にはまいりません、助けて頂いたこの命、貴方様の為に使いたいのです」


 何だコイツいきなり、キャラが変わり過ぎだろう。

 もしかして俺は相当面倒な奴を助けたんじゃないのか?


 「あの……何をすれば?」


 上目遣いで不安そうに聞いてくるナタリー。

 おいアイリス、こんな時はどうすれば良いんだ?

 流石に俺もこんな奴の対応方法は分からんぞ。


 (……子犬を拾ったら最後まで面倒を見る。 それと同じで御座います……)


 楽しんでやがる、コイツ間違いなく楽しんでやがる。


 「はぁ……取り敢えず付いて来い。 そんか格好じゃまともに街の中を歩く事すら出来んからな」


 俺はナタリーの腕を引き、【服屋ナトリ】まで連れて来た。


 「ここでまともな服を揃えるぞ、俺は女物の服なんて分からんからな、適当に選べ」


 店に入ると、いきなりアトリが近付いてきた。


 「かかかか彼女連れですかお客様?!」


 「そう見えるか? 」


 「見えましぇん、見えましぇんから頭をゴリゴリするの止めて下さい」


 「コイツはナタリーだ、俺専属の料理人みたいなもんだ。 取り敢えずこのみすぼらしい格好を何とかしてやってくれ」


 「ですが貴方様、私の為にお金を使わせる何て出来ません」


 「黙れ、俺が良いと言ったら良いんだ。 分かったな」


 ナタリーは渋々と言った感じで頷いた。


 「お客様ー!アトちゃんに全てお任せ下さい!ナタリーちゃんにピッタリの服をチョイスしてあげますよー!」


 何でコイツはこんな五月蝿いんだ?

 少しは静かに出来んのか?


 (……私はアトちゃんのこの元気な感じに好感が持てますけどね……)


 そうか、それは良かったな。


 アトリはナタリーを連れ回しながら楽しそうに服を選んでいる。

 ナタリーも最初は困惑していたが、今ではアトリにつられる様に楽しそうにしていた。


 (……やっぱり優しいですよ、アスカ様は……)


 「何だいきなり、俺は優しく無い。 普通だ」


 (……これを普通だと言えるんですから、十分優しいですよ。 それ以上に我が儘で横暴ですけどね……)


 喧嘩売ってんのかお前は。


 「フハーハッハッハッハ!!お客様、ナタリーちゃんの最高のコーディネートが終わりましたよ!!」


 「どっ、どうで御座いますか?」


 少し頬を染め、恥ずかしそうにナタリーが現れた。


 トップスはタイトな作りのTシャツで胸元は大きく開いて少しだけ谷間が見えている。

 下はショートパンツで足はニーハイブーツを履いていた。


 「良く分からんが、悪くないんじゃかいか?」


 「はわわわわ、褒めて頂けるなんて嬉しいです!」


 (……男心を擽るナイスなチョイスですね……)


 お前は女だろ。


 「アトちゃんにかかればざっとこんなもんですよ」


 「で、幾らだ?」


 「んー、1000ルクスで良いですよ」


 なっ?!高いな。

 やはり男物と違い、女物は値が張るようだ。


 「ほら、これで良いか?」


 「毎度ありがとうございまーす。 又のおこしをお待ちしております!」


 「うぅ、すいません。 この様な高い物を買わせてしまって」


 「構わん、使ったのなら又稼げば良いだけだ」


 服を買い与えたのは良いが、これからナタリーをどうすれば良いんだ?


 (……本人に聞いてみては如何ですか?……)


 そうか、それもそうだな。


 「ナタリー、お前はこれからどうしたい? どうしていきたい?」


 ナタリーは下を向き、考えて始めた。


 「私は助けて頂いた恩を返したいです。 盾になれと言われれば盾になります。 身体を差し出せと言われれば差し出します。 それだけの事を貴方様はして下さったのですから」


 「そんな事は求めていない。 俺は美味い料理が食いたいだけだからな」


 「ですがっ!………でしたら私を貴方様に同行させて下さい。 貴方様の側で貴方様の力になりたいのです」


 あぁ、何て事だ。

 凄まじく面倒な事になったぞ。


 「そんな事を言っても俺は冒険者だぞ? 冒険者ってのは危険な職業だ。 お前はそれに付いて来れるのか?」


 「必ず!必ず強くなって役に立ってみせます!」


 強い眼差しで俺を見つめながら言うナタリーの言葉を、俺は拒否する事が出来なかった。


 「はぁ、分かった分かった。 なら付いて来い。 但し、一緒に来ると言うのならきちんと働いてもらうからな」


 「はいっ!頑張ります貴方様!」


 「先ず貴方様ってのは止めろ、俺はアスカだ。 アスカと呼べ」


 「それは無理で御座います。 なのでアスカ様と呼ばせて頂きますね」


 「はぁ、分かったよ。 なら早速だが、ナタリーの装備を整えるぞ。 生身で戦わせる訳にはいかないからな。」


 先ずはギルドに行って武具屋の情報を仕入れるか。

 その時にナタリーの冒険者登録も済ますとしよう。


 「先ずはギルドに向かう、付いて来い」


 「はいっアスカ様!」


 何でこんな嬉しそうなんだコイツは?


 (……ふふっ、さぁ何故でしょーね……)


 何でお前はそんか楽しそうに何だよ。




 ナタリーを連れてギルドに向かっていると、通り過ぎて行く奴等がナタリーをガン見していた。

 自分を見られている訳じゃないから別に良いんだが、ナタリーは恥ずかしそうに下を向いていた。


 (……ナタリーちゃん凄く可愛いですからね、仕方無いですね……)


 可愛いのか、そうか。

 俺には女の善し悪しが良く分からんからな。


 (……寂しい人ですね……)


 五月蝿いわコラ。


 そんなやり取りを繰り返している内にギルドに到着した。


 ギルドに着くと直ぐにカウンターへと向かった。

 ナタリーをガン見する冒険者共の視線がウザイからだ。


 「これはこれはアスカ様、お仕事ですか?」


 「今日は違う、コイツを冒険者として登録しに来た」


 「なっナタリーと申します。 宜しくお願いします」


 「こんな可愛い子を冒険者にですか?! 他に幾らでも仕事何てありますよ?」


 「俺に言うな、本人に言えよ」


 「私はアスカ様の行く所なら何処にでも付いて行きます! ですので冒険者になるんです」


 「はっはぁ、随分愛されていらっしゃるんですね」


 「愛?そんなんじゃないだろ。 そんな事よりとっとと登録を済ませてやってくれ。 俺は向こうで待ってるからな」


 ナタリーを職員にあずけ、俺は椅子に座り待つ事にした。

 あの視線の中に長時間いるのは俺には無理だからな。


 「おめーあんな可愛い子を冒険者にするとか気が狂ってるのか?!」


 今日は良く絡まれるな。


 「自分がなると言ってるんだ、俺に絡むな」


 「ヒョロヒョロのモヤシが調子に乗りやがってよー! 俺様が誰か分かってねーようだな?」


 「お前の様な雑魚は知らん、口が臭いから余り近付くな」


 (……煽りスキルが上昇してますね、まさかレベルアップでそんな所まで成長するなんて……)


 違うと思うぞ?


 俺の言葉に腹を立てた冒険者がテーブルを蹴り飛ばした。

 蹴られたテーブルは飛び上がり、そのままカウンターの方へ飛んでいった。


 「きゃっ、何ですか? 何がありましたアスカ様」


 運良くナタリーには当たらなかったが、少し場所が悪ければ当たっていたかも知れない。


 「ふぅ、もう少し考えて行動出来ないのか冒険者ってのは」


 俺の言葉を聞いても、怒りがピークに達している冒険者の耳には届かない。

 仕方ないか、余り荒事は好かないんだがな。


 俺はゆっくりと立ち上がり、力の限り冒険者の腹を殴り付けた。


 「ごふぁっ……て…めぇ…………」


 どうやら暴れていた冒険者は意識を失った様だ。

 強がっていたが、どうやら雑魚だった様だ。


 「虚勢を張るなよ、雑魚なんだから」


 取り敢えず優しく言葉を掛けておこう、後腐れの無いように。


 (……それは暴言であって、優しい言葉ではありません……)


 そうか?だがもう言ってしまったのだから仕方ないだろ。


 俺に1発殴られただけで意識を失った冒険者を見て、他の冒険者達のざわつきも次第に収まっていった。


 「流石ですアスカ様!最高にお強いです!」


 後ろを振り返ると、ナタリーが眼をキラキラさせながら立っていた。

 どうやら冒険者登録が終わってら、後ろで俺と冒険者のやり取りを眺めていたらしい。


 「終わったようだな、なら職員に武具屋を聞いて直ぐに出るぞ」


 ナタリーを釣れ、職員にお勧めの武具屋を聞いてからギルドを後にした。


 ギルドの職員が言うには、【武具屋ガンコ親父】と言うのがお勧めらしい。

 ネーミングセンスは無いが、職員が言うのだから間違いは無いのだろう。


 足早に街の中を歩くと、武具屋には直ぐに着いた。

 ギルドから5分程の位置にあるとは、今まで何で気付かなかったのだろう。


 (……防具何て必要無いって言ってたじゃないですか……)


 そう言えばそうだったな。




 店の扉を開くと、様々な武器や防具が陳列されていた。


 身の丈も有る剣や、三叉の槍、刀身がうねっている剣、一体誰がこんな物を使うんだ?


 「うぉい、客か?」


 「あぁ、コイツの武器と防具を一式揃えに来た」


 「ん?兄ちゃんは防具を着けてないみたいだが? 今はどっかに置いてんのかい?」


 「俺は防具を着けない、動きを抑制されるのが嫌だからな」


 「あぁん?馬鹿野郎かお前は!! んなもん殺してくれって言ってる様なもんじゃねーか!!」


 「誰が馬鹿野郎だ、俺が必要無いと言えば必要無いのだ」


 「んな事言ってもよ、せめてガントレットやすね当て位着けようぜ? それなら動きを抑制何てされないからよ」


 「そんな物が有るのか? なら俺にはそれをくれ」


 「意外と物分りが良いんだな、良しっ先ずは姉ちゃんからだ!ちょっと採寸するからこっちに来てくれや」


 そう言ってオッサンはナタリーの採寸を始めた。

 その間暇な俺は、陳列された様々な武器を見ていた。


 (……アスカ様の剣もそろそろ替え時では無いですかね? 1度自分に合うものを探してみては如何ですか?……)


 俺に合う剣か、確かにこの剣だと少し短いと感じ始めていた感は有る。


 この際武器も新調していくか。


 「兄ちゃん、終わったぜ」


 オッサンの声に振り返ると、タイトな作りのハーフアーマーとガントレット、そしてすね当てを装備したナタリーがいた。


 「様になったじゃないか、それなら多少の攻撃を食らっても問題無さそうだな」


 「うぅっ、服に続き防具まで………本当に有難う御座います!」


 「取り敢えずオッサン、これで幾らだ?」


 「2000ルクスって所だな、他にも買ってくれるならまけてやるぞ」


 思ったより高いな、武器の新調は次回にしておくか。


 「なら後は武器を選んでやってくれ、軽めの奴が好ましいな」


 「ならコイツでどうだ? 片刃の剣で打刀ってんだ。 重さも1キロ無い位だからな、使い安い筈だ」


 刀がこっちの世界にも有るとはな、これも俺達の世界から来た奴が広めたんだろう。


 「ナタリー、これで良いか?」


 「はいっ!きっと使いこなしてみせます」


 「ならオッサン、そいつをくれ。 合わせて幾らになる?」


 「そうだな……3000でどうだ?」


 「分かった、ならこれで。 俺の防具は次回にしておく」


 「えぇー?!そんな!アスカ様を差し置いて私だけなんて!」


 「構わん、俺はこのままでも戦えるが、ナタリーは戦えないだろ」


 「うっ……はい」


 渋々と言った感じで納得していた。

 別に俺に関してはそこまで急ぐ事も無いんでな。


 それよりも今日使った4000ルクスを早く稼ぎ直さなくては。


 「有難うなオッサン、次は俺の物を買いに又来る」


 「おうっ、待ってるぜ兄ちゃん!」


 俺がオッサンに礼を言うと、隣でナタリーが何度も頭を下げていた。


 (……取り敢えず準備は整いましたね、次は実践ですか。 取り敢えず今日は帰るのでしょう?……)


 無理する必要は無いからな、明日から頑張れば良い。


 宿に戻り、ルミールにナタリーを紹介した。

 少しだけルミールもナタリーも不快な顔をしていたが、一体何だと言うんだ?


 (……女の勘は鋭いですからね……)


 何の話だよ?


 「それでだルミール、もう1部屋取って貰う事は出来るか? ナタリーにも部屋を用意して欲しいんだ」


 「そんなっ?!アスカ様、私は床で良いですから!」


 床って何だよ床って。

 お前はいったい何処を目指しているんだ?


 「アホか、床で寝る女なんて聞いた事が無いぞ。 ルミール頼む」


 「はい、畏まりました。 直ぐにご用意致しますね」


 ルミールの言葉にナタリーが項垂れていた。

 本当に意味が分からない。


 その後互いに部屋に戻り、風呂に入ってから食事を取った。


 明日に備えて早く寝るようにナタリーに伝え、俺も部屋に戻るなり直ぐ眠りに着いた。




 次の日も珍しく早い時間に目が覚めた。

 二日も続けて早起きするなんて、俺の身体はどうしてしまったと言うんだ?


 (……体内リズムが正常になっただけでしょう……)


 今までが正常じゃなかった様な物言いだな。


 ベッドから身体を起こし、直ぐに準備を済ませる。


 そして部屋を出ると。


 「おはよう御座いますアスカ様!」


 「何故扉の前にいる?」


 「いつ起きて来られても良いように1時間前から待機していました!」


 「次やったら怒るぞ」


 「えぇー?!何故ですか?!」


 「良いから止めろ、分かったな 」


 「はい………」


 お前は何処を目指しているんだ本当に。


 その後ルミールの作る美味しい朝食を食べ、ギルドへと向かった。


 昨日使った額を取り返す為に、今日は我武者羅に依頼をこなそう。




 ギルドへの道中はまたしても通り過ぎる奴等の視線を浴びる事になった。

 ナタリーはそこまで可愛いと言うのか?

 分からんな。


 (……はぁ、全くアスカ様は····……)


 可哀想な奴を見る様な声を出すなコラ。


 そしてギルドに着いた。


 「おい、何か稼げる仕事はあるか?」


 「唐突ですねっ?!取り敢えず待ってくださいね」


 職員が依頼書の確認を始めたので、少し待つ事にした。


 「んー、これなんてどうですかね? ユータリスから北に二日程行った所にあるマリューシと言う街への届け物をする依頼です。 道中様々な魔物が出るので、運送屋さんには頼めない依頼何ですよね」


 「報酬は幾らだ?」


 「成功報酬が3000ですね、ですが道中の魔物の討伐依頼も併用して受けて頂ければ倍近くにはなると思いますよ 」


 「成功で3000、それ以外の討伐を受ければ6000か。 かなり美味いな、よしその依頼を受けよう」


 「はい、畏まりました。 それではこちらが討伐依頼の方ですね。 ブラッディーキャット10体ホブゴブリン10体ストーントータス10体となっておりますが宜しいですか?」


 「あぁ、構わん。 それとな、その道中でナタリーが受けれる依頼はあるか?」


 「ナタリーさんはランクGでしたよね。 でしたらゴブリンやコボルトも出ますのでそれを狩って頂ければ良いと思いますよ」


 「そうか、分かった。 大丈夫だよなナタリー?」


 「精一杯頑張ります!」


 「って訳で受けるぞ依頼。 二日も掛かるなら野宿出来る用意をしていかなければな」


 「野宿セットならギルドで安く買えますので、隣のカウンターでお買いになって行って下さい」


 職員に言われるがまま、隣のカウンターで野宿セットを二つ買った。

 二つで500ルクスもしやがった、結構するんだな。


 「それでは荷物を用意しますので、北門で待っていて貰っても良いですか?」 


 「分かった、行くぞナタリー」


 「はいっ、アスカ様!」


 (……食料を買い忘れ無いで下さいよ……)


 そうだった、昔のミスを繰り返してしまう所だったな。

 ナイスだアイリス。


 (……そりゃもうアスカ様の守護天使ですからね、何でもお見通しですよ……)


 アイリスに言われた通り、北門に行く途中に幾つかの食料を買った。


 そして北門に着く頃には、ギルドの職員が馬車に大きな荷物を積んで待っていた。


 「ん?馬車?」


 「はい、荷物がでか過ぎますので普通に運ぶのは無理なんですよ。 ですから今回はこの馬車を護衛してもらうのが正式な依頼みたいなものですね」


 「聞いていた話と違うがまぁ良いだろう。 早速行くぞ」


 そして俺達はマリューシへ向けて歩き始めた。

 

長くなり過ぎました(白目)

誤字が有りましたら教えて下さい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ