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テント下で見つけたもの

~ 1時間前 ~


赤い砂漠を歩き回る。

かつて人が住んでいたなら名残があるはずだ。


例えば服とか食べ物とか。

見つけて何をするって?

良さそうなの見繕って持ってくに決まってんだろ。

どうせ置いといても使う奴もいないんだから。

大丈夫、ちゃんと有効利用するからさっ。


真空庫(しんくうこ)のおかげで、保存状態がいいな。」


かつて住居だったであろう、テントの残骸を持ち上げて、その下にある大きい黒い金庫のような物を開けて中をみる。


中には服や靴、そして食糧等、様々なものが仕舞われていた。

中のものは200年前のものだが当時とほとんど変わらない。


この金庫は、真空庫(しんくうこ)といって、空気を完全に抜いた入れ物だ。

地下の空気を抜く管とその先にある空気をためる部屋を空気が行き来するというシンプルな作りだ。

もちろん、中のものを当時の姿のまま保存するために電脳中枢(ベースエーアイ)がいろいろやっているんだけど。


(まぁ、こんなもんだよなー。あ、薬発見。……ん?)


食糧と、薬、ルーエンが着れそうな服を拝借して、立ち去ろうとしたとき、真空庫(しんくうこ)の奥に何か本が見えた。


手を伸ばしてそれを掴む。

奥に隠されるように仕舞われていたそれの表紙には、魔法陣集とかかれていた。


禁書(きんしょ)か」


特別珍しくもない禁書。

人類全盛期には、非科学的な存在の魔法に興味が行き、流行った時期があったのだ。

だがその流行りは国の偉い奴らによって禁じられた。


なんか面白くなかったんだろうな。


それから魔法に関するものは徹底的に回収されたのだ。

中にはこうして隠し持っている奴も大勢いたのだ。


あれだマニアってやつ。


大抵、電脳中枢(ベースエーアイ)にばれて回収されるんだけど、コレはずいぶん上手く隠したな。


そんなことを思っていると、ふと数日前の会話を思い出した。



『魔法ってあるんでしょうか』


『さぁな~。昔はあったって話だけどな~。噂程度だし。』


『そうですか。』


『どうしたいきなり、……魔法使いになりたいとか言い出すのかっ♪?』


『……ウイルスを送ってAI(エーアイ)を使い物にならなくしますよ?』


『すみません、俺が悪かったです。勘弁してください。』



確かこんな話をしていたっけ。


「……持ってってやろうかなー。」


魔法について興味がありそうだったし、ちょっとデカいけど、まぁいいだろ。


今日読む分には問題ないと袋に本を入れる。

その時、本がヴヴッ!とわずかに【震えた】


「うおっ!?」


驚いて本を思わず離してしまう。


な、なんだよ今の。


ジーッと本を見るが特に変わったところはない。


気のせいか?


「……驚かせんなよな。」


ふうっと息をはいて本を拾い袋に入れると、俺は他の所の探索に出た。




~ 現在 ~




「何だったんだあの震え。……やっぱ気のせいかぁ~?」


電脳中枢(ベースエーアイ)の壁にもたれて独り言をこぼしながら、あの奇妙な出来事を考えてると、足音が近づいてきた。


来たかな…。


「お帰り~。

暖まったか?」


足音の(ぬし)、ルーエンが来たのを見てそう声をかける。


「はい。大丈夫です。

この服、ありがとうございます。」


律儀に礼を言って頭を下げる。

俺は機械人形(アンドロイド)として当たり前のことをしただけなんだけどな。


「いちいち礼を言うなって、俺がお前にしてることは当然なんだからさ」


手をひらひらふって気にすんなと言う。


「ダークさんがそうでも、僕にはお礼を言うことなんです」


これだ。全く可愛い奴だなぁっ!もう!

俺ははいはいとニッと笑った。


「ま、早くメンテしてお前の飯作ろうぜ。」


用意されたメンテナンス用の台座に上がり、服を脱ぐと自分でラバーシートを剥がす。

実は案外ラバーシートは簡単に剥がせるのだ。

頭部、両手、両足、腹部の神経コードを電脳中枢(ベースエーアイ)に繋ぎながら言う。


自分でできる諸作業を済まし、ルーエンがすぐ作業できる状態にした。


「どこか怪我というか、壊れたところありますか?」


「右腕の調子が悪いかな~」


その調子の悪い右腕を曲げ伸ばししながら、不具合を報告しながら台座に寝転ぶ。


「わかりました、じゃぁシャットダウンしますよ?」


「あぁ、頼むわ」


俺が頷くとルーエンは、コードで俺と繋がっているディスプレイに触れる。


【type8 戦闘機械人形(せんとうアンドロイド) 個体名称ダーク 終了(シャットダウン)します】


そこで俺の意識は途切れた。




「あー、少し骨組みが曲がってるんですね…。」


右腕の、人間でいう骨が曲がっていたのだ。

そりゃ骨が曲がってたら調子が悪いはずです。

骨組みの鋼を取り外し、コードを鋼に繋ぐ。

ディスプレイの補正ボタンを押す。

すると瞬く間に鋼の反りが直っていく。

鋼の中に調整チップに、信号を送ると鋼が自由自在に形をかえる。


全くすごい技術です。


「よいしょっと……」


まっすぐになった鋼を右腕に戻し、くっつける。

ラバーシートを腕に被せて留める。

他にも中の機械の調整をしていく。

少しでも不具合があれば機械人形(アンドロイド)の体は強制停止してしまうこともある。

丁寧にやらなくちゃ。




【type8 戦闘機械人形(せんとうアンドロイド) 個体名称ダーク 起動します】


その電脳中枢(ベースエーアイ)の声がコードを通して聞こえてきて、メンテナンスが終わったことを知る。


「んー!」


起きて伸びをする。

体の調子はすこぶる良くなっていた。

流石の腕前だな。


「どこか不具合はありますか?」


「いんや?ぜんっぜんねぇぜ。メンテ、サンキュ♪」


むしろ新品だったときより調子いいっす。

まぁ、あの製造ライン仕事が雑だったからなぁ……。


「さて、俺のメンテも終ったし飯つくるか!

厨房、中にあんだろ。」


よいしょっと台座から降りて立ち上がる。

街で見つけてきたものを詰めた袋を掴み厨房を探しにいこうとする。

と、ルーエンが後ろから呼び止めた。


「あ、自分のご飯くらい自分で作りますよ…!」


いやいや、そうは言っても…


「お前、料理まるで出来ねぇじゃん?」


悲しいかな、このご時世ゆっくり料理を覚える暇なんて無い俺のマスターは家庭力がゼロだ。

料理に洗濯、掃除、無論裁縫も出来ない。


「う……」


図星の小さいマスターは黙るしかない。


「まぁ、ここは俺にまかせとけって。」


「…分かりました。」


しぶしぶ了承していじけたような顔をするマスター。


まだまだ子供だなぁ…


「んじゃ、つくってくるわ!

あ、その前に…ほら!」


ヒョイッと街で見つけた物をルーエンに投げる。

街の住居の真空庫(しんくうこ)にあったヤツだ。


「これって…」


四角くて、甘い香りのする物。


「そ、チョコ♪」


ガキっぽいって思われるのが嫌だからなのか、あらかさまに顔に出さないみたいだけど、ルーエンの口角が上がった。

菓子は嬉しいんだなと思う。


「それ食べて待ってろよ?」


それだけ言うと俺は厨房を探して中に入った。


飯何がいいかな……砂漠だからカレーかなやっぱり!

いや、カレーに見せかけてのビーフシチューかな。それかハヤシライスとか。


……無難にカレーでいこう!簡単だし。


「あ、ここか厨房。」


厨房らしき扉を開けると中は広く、一通りの調理器具が揃っていた。

近くのガラス棚をみると調味料も揃っている。


「さぁて、作りますか!」


俺は早速料理に取りかかった。

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