序章―扉に手を―
完全創作です。
結構暗めのストーリーや残酷なシーンがあるかも知れません。
ご注意を。
小さくて届かない幻想の空。
もし、誰かがこの空の下にいればここをどう思うのだろう。
夢を見るのか?絶望を見るのか?
問い続ける事で答えを知れるなら…。
ボクは君達に答えを問い続ける事にしよう。
◆◆◆◆
僕はユートン・エディ。「本の虫」で知られてる中学3年生だ。
ある日、僕は図書館に向かっていた。
その日は本で調べ学習をしようとしていたのだ。内容は大した事じゃない。
でも何かとつけて僕は図書館に入る。もう図書館は僕のもう一つの家みたいなものだ。
この廊下の先に「いかにも」な感じの扉の向こうには僕の好きな図書館がある。
扉がこうも豪華なのはきっとこの図書館が古いからなのだろう。
なにせこの図書館は教科書にも載っている位古いのだ。
この微妙に黴臭い感じがなんとも僕には愛おしい。
その扉の向こうにはいつもの通り無愛想な管理人と黙々と本を読む人たちだけがいる。
僕も黙々と本を読む人たちの一人なんだろうけど。
今日は歴史だ。御伽話にもなっているほど有名な事件だ。
有名すぎると言う事か、内容は深いものを要求された。
僕はどうせなら歴史書と御伽話を両方見てみたいと思う。
しかし流石にそこまで暇も無いので手っ取り早く見つけたいと思う。
「…とどれだ、どれだ…」
中々見つからないものだ。腰を落として本を探すのは結構きつい。
この年でこんな事は言いたくないが、本を抱えて探すのは腰が痛い。
「ん?これはなんだ?」
ふと謎の本を見つける。赤茶のボケた色が古さがとても良い感じだ。凄く興味深い。
自分の持っていた本を降ろしてその本を抜く。本の姿が全て出ると謎の安堵感がある。
「ほうほう…なんだこれ」
名前も無い。題名も無い。こんな立派な本なのに文字らしい文字が見つからない。
開こうとするがご丁寧に鍵つきである。誰かの日記かよ。
とにかく正体不明である。訳がわからない。
しかし逆に興味がわく。これは本の意味を成していない本だ。だから本の意味を成すようにしてやろう。
と言っても僕が出来るわけも無し。無愛想な管理人に頼るに限る。
「あのーすみません!もしもしこの本…あれ?いない?」
本棚から出てあの本を机に置き管理机に向かう。と同時に異様な事に気付く。
ふと周りを見ると誰もいない。音がしないのは慣れているはずなのに、体が震えるのを感じた。
「おーい!誰かいませんか!」
図書館の御法度まで破って大声で言ったのに何も反応が無かった。
どうして誰もいないんだろう?なんで…
周りを懸命に見回す。
と、机の上の本に目が留まる。
「はぁ…なんでなんだ…?」
仕方ないので本でも弄りつつ誰か来る事を待とうかな。
そんな事を考えて本に手を掛ける。
「あれ?鍵が…」
何故か外せなかった鍵が外れていた。と言うより鍵が無くなっていた。
願い叶ったりなんだろうが不気味以外の何者でも無い。
…でもそれ位しかする事無いな。
そうも思い、再び本に手を掛け、そのページを開く…
ペラペラ…
パラパラ…
… … … … …
「真っ白じゃん」
表紙はあるが拍子抜けだ。期待させておいて何も無いとか新手の嫌がらせの本なんだな、そうなんだな。
そんな考えに悩みつつ一応最後のページまでめくる。
「…ん?これは扉か?」
最後には古い石の門が描かれていた。正に扉絵。
そしてその門の下に小さな文字で
『君を待っている』
と書かれている。
誰かが…僕を呼んでいる。
僕はどうしようもない恐怖感と興味に襲われた。そして石の門をみると微妙に開いていた。
誰か…来る!?
徐々に扉が開く。しかしある所でそれは止まってしまった。
そして小さな文字は姿を変え、こう書かれていた。
『こっちにおいでユートン・エディ』
目を疑いたくなった。でも『誰かが』僕を『呼んでいる』。
怖いはずなのに僕は本に手を伸ばす。震えながら門の絵に手を掛ける…。
…キィィイィ
まるで本物を開ける様な音と共に光が本から溢れ出す。
視界が白くなったと思うと思うと声が聞こえた。
「ようこそ…Losing Lieへ。『旅人よ』」
子供のどすの聞いた声を最後に僕の意識の糸はそこで切れてしまった。
これは気が向いた時に投稿しますです。
なので何時出るかは期待しないでくださいね!