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1.始まり
あの時代を一緒に過ごした仲間たちへ
そして、アイデアをくれた原作者へ
もしあの時代の仲間たちが、この小説を読むことがあったなら
きっとみんなが笑うだろう
新しく読者になってくれたあなたへ
これは私の記憶と、自己満足の塊
でも、それで楽しんでもらえたら、うれしい
「ここを…この里を、出なさい。」
それが、遺言だった。
「あなたは、ここにいるべきではないわ…。」
わかっていたこと、だった。
わかりきったことでも、親に言われるのは辛かった。
「さあ…行きなさい…。」
最後まで見届けることなく、彼はそこを出ていく。
「一緒に来るか?」
雨が降る街の路地裏で。
迷っていた彼女に、最初にかけられた言葉。
物珍しい目では見られるものの、誰一人として、声をかけてくる人はいなかった。
「いいの?」
わかっている、自分がどんな存在か。
わかっているからこそ、周囲の視線がつらかった。
「気にするな。」
頭の上にかけられる、タオル。
彼女はそれに顔を埋めて、こくこくと頷いた。