来客、何で!?の話。
遅くなりました。
俺が家に付くと、まだ夜羽は帰ってきてなかった。
――お茶の一杯くらいは貰う余裕はあったか……。
とりあえず夕食の準備をしていると、すぐに夜羽も帰ってきた。
「ただいま」
「おかえり」
「ん、シュン。早く帰ってきてた」
「どこぞのお姫様からのご命令だからなー」
「む? オヒメサマ……?」
「…………ごめん、なんでもない」
軽く茶化したつもりだったが、夜羽に通じるわけもなく、普通に聞き返されてしまった。
「よしっと。後はこのまま置いとけば終わりだ」
すると、タイミングよく電話が鳴った。――ちょっと前だったら出れなかったしな。
ルルルルルルルッ! ガチャッ!
「あ、はい、もしもし」
『もしもし、高嶺ですけど、神尾君ね? 今大丈夫?』
おっと、これはまた意外な相手……と言うかそもそもよく考えたら、家の電話が掛かってきたのも久しぶりだ。
「あー、そうですね。大丈夫です」
『なんか大丈夫そうには聞こえないんだけど……』
「いえ、料理中ではありますが、後は煮えるのは待つだけですから。あ、夜羽、皿出しといてくれ」
……おっと、電話中なのにいつものノリで夜羽に話しかけてしまった。
「……すみませんね、立て込んでて」
『……そう、ごめんなさいね? ……掛け直しましょうか?』
「いえ、そこまでして頂くわけには……」
せっかくわざわざ用があって電話してきたのに、失礼だろう。
なんて考えていると、
ピンポーン!
インターホンが聞こえた。
「ん、誰だ? こんな時間に……あ、すみません」
とりあえず謝ってから掛け直そうと思っていると、
「って夜羽、ちょっと待て……い、行っちゃった…………」
一目散に夜羽が行ってしまった。
飯田にも言ったが、世の中物騒なんだから、無闇にドアを開けてほしくないんだが……。
『神尾君、大丈夫?』
「いや、本当にすみません! 何かこの時間に誰か訪ねてきて、夜羽が何も確認もせずに玄関まで行っちゃって……あ、戻ってきた……」
ついなんとなく、状況の説明をしてしまっていた俺の元に、夜羽が言ってきた。
「ん、シュンお客さん来たから入れた」
「え? 客来たから入れたって? ああ、そうか……って、誰!?」
「む……ん、今来る」
「い、今来るって……」
意味がわからず、玄関先のほうを見ると、先ほどまで聞いていたはずの声が聞こえた。
「えっと……こんばんわ……」
「はぁ!? 何で!?」
何で飯田が。
『えっと、もしもし?』
やべ、電話の事忘れてた。
「…………すみません、一旦こっちが片づいてから、掛け直します……」
高嶺母の電話は申し訳ないが、一旦置いておく。
………………ただ、真面目な話といっていたが……なんだろうか。
いや、まずはこっちを終わらせましょ。
とりあえず鍋の火を止め、事情を聞く事にします。
「さて、飯田愛美さん。あなたはどういった理由をもって今この場にいるのでしょうか……?」
「あーの…………その、これ」
そう言って、飯田は手作りのおかずが入ったタッパを差し出した。
「これは……?」
「あの、うちのおかーさんが、瞬君に勉強を教えてもらってるって言ったら、お礼に持って行きなさいって」
「なるほど。わざわざありがとう」
「ううん! お世話になってるのは私だし! そ、それじゃあ、遅くにゴメンね? 夜羽ちゃんもゴメンね?」
「ん、マナミ待って」
と、夜羽が飯田を呼び止めた。
「……え? え、え、え!? よ、夜羽ちゃん!? 私のこと名前で!」
飯田は、夜羽に呼び止められるとは思っていなかったのか、だいぶ動揺していた。
…………にしても動揺しすぎ。
さて、それにしても夜羽。
わざわざ呼び止めて何を言うのやら。
「えっと、な、なに? 夜羽ちゃん……」
「ん、マナミも一緒にご飯食べる」
「…………………………え?」
……あー、前にもこんなことあったな。
とりあえず飯田のご両親が何て言うのかはわからんが、もう一人分の食事準備もしておくか……。
……その前に飯田の意識を取り戻しておくか……。
夜羽ちゃん、愛実ちゃんとお話希望でーす。
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