飼い主家母の考えの話。
遅めですが、明けましておめでとうございます。
今年も宜しくお願いいたします。
夜羽ちゃんの相談を聞き、何ともいえない表情をしている我が娘は置いといて、私は話を進める。
「それで夜羽ちゃん。今日は彼はどうしたの? 電話で誘ったけど断られちゃったわ」
避けられてるようで納得いかないわぁ。
「む、シュン? シュンは……マナミの家でテストベンキョウ」
「テスト? また微妙な時期にテストがあるのね」
普通はもう少し先だったと思ったけど……まさか……嘘ついたのかしら?
そう思っていると、複雑そうな顔をしていた蛍がパッと表情を変えて、答えをだした。
「え? あ! それってもしかして噂の修学前テスト!? うわぁ、やっぱりみんな真剣に取り組むんだぁ……私も早くいきたいな……」
……あぁ、そういえば彼の行ってるのは、あの学校だったわね。
確かにあったわ、そういう行事も。
…………この子、どうしてあんな学校に憧れてるのかしら……行きたいと望んで勉強頑張るなら、応援はしてあげるけど……先が不安だわ……。
「と、とにかく、夕方くらいにはいるわよね? 少し話したいことがあるから」
「ん、シュンに今日は早く帰ってきてって言ったら、早く帰ってくるって言ってくれたから、いる」
「そ、そう……」
な、なんか、新婚さんの会話を聞いてるみたいだわ。
その後、蛍と夜羽ちゃんさ他愛もないような会話をして過ごしていた。
時折蛍が、何かを聞こうか悩んではやめているのも見えた。
まったく、決断力も判断力も行動力もあるくせに、いざ物事を目の前にしたり、本番になると弱いんだから。
「そ、それじゃあ、またね。夜羽ちゃん」
「ん、ホタル、また。……シアンも」
「ワンッ!」
結局、何も聞けなかったのね、あの子。
まあ、元々夜羽ちゃんには直接確認しないで、神尾君に話を聞くってことになってたからいいのだけど。
そう思っていたら、フラフラと涙目で蛍が歩いてきた。
「おかぁーさぁん……やっぱり夜羽ちゃんに直接聞けなかったよぉ……」
「いや、あなた。元々直接聞かないって話だったの忘れたの?」
「ふへ? あ、そうだった。……よかったぁ、無理して聞かなくて……」
ふぅ……この子は全く……。
「とりあえずそのことは私に任せておきなさいな」
「う、ん……わかった」
……ん、もうそろそろ頃合いかしらね。
これ以上遅くなっても迷惑だろうし。
少し時間をおいた後、私はゆっくりと電話をとった。
ルルルルルルルッ! ガチャッ!
『あ、はい、もしもし』
「もしもし、高嶺ですけど、神尾君ね? 今大丈夫?」
『あー、そうですね。大丈夫です』
「なんか大丈夫そうには聞こえないんだけど……」
『いえ、料理中ではありますが、後は煮えるのは待つだけですから。あ、夜羽、皿出しといてくれ。……すみませんね、立て込んでて』
神尾君……もう完全に主夫ね。
「……そう、ごめんなさいね? ……掛け直しましょうか?」
『いえ、そこまでして頂くわけには……』
と、彼がそこまで言ったところで、電話越しにインターホンを鳴らす音が聞こえた。
お客様かしら……?
『ん、誰だ? こんな時間に……あ、すみません、って夜羽、ちょっと待て……い、行っちゃった…………』
どうやら、本格的に立て込んできたようね。
「神尾君、大丈夫?」
『いや、本当にすみません! 何かこの時間に誰か訪ねてきて、夜羽が何も確認もせずに玄関まで行っちゃって……あ、戻ってきた…………え? 客来たから入れたって? ああ、そうか……って、誰!? …………い、今来るって……はぁ!? 何で!?』
……立て込みすぎじゃないかしら。
「えっと、もしもし?」
『…………すみません、一旦こっちが片づいてから、掛け直します……』
「え? ええ……問題ないわ。なんか大変そうだし」
『…………本当にすみません……』
「いいのよ。それに、少し真面目な話だから、時間ももらいたかったし」
『え……? …………わかりました。では、また後で』
ふぅ、彼も苦労してるのね。
……でも、それだけに、
「出来るだけ大人が手助けをしてあげなくちゃね」
そう呟いた後、私も私で、夕食の準備を始める。
次回更新ですが、正直未明です。
正直時間をうまく作れるか不安でして。
……ま、間違っても百話記念の話が浮かばないからの時間稼ぎじゃ、あ、ありませ、んよ……?
とりあえず、少しずつ時間を見つけ、ストックを作ってから、投稿再開したいと思います。
では、感想もお待ちしています!