少女の家での話。
九十五話目です!!
「む……ここか」
家で起こった、顔の赤みと動悸を押さえ、教えられた住所にやってきた。
「……しかし、マジで家から動物病院の間にあるな……」
前に、俺が矢島さんに会いに行くとき、近くの道を通ったら、必ずと言って良いほど飯田が出現したのも頷ける。
――しかしほんと、わざわざ俺が通るのが見えたからって出てこなくてもいいのに……。
とにかくインターホンを押す。
ピンポーン。
すると、ドタバタと聞こえる物音とともに、
「は、ははははい! どちら様ですか!?」
と、ドア越しに言ってきた。
いや、直接声をかけてくるなら、このインターホンの意味ないんじゃ。
……とりあえず、
「……すみません、お届けものでーす」
声色を変えてそう言ってみた。
――いや、確実に飯田は俺が来たと思ってるっぽかったから、暇つぶしに。
その俺の言葉に、飯田は少々テンションが下がった様子で答えた。
「あ……はい……今開けますー」
……ガチャッ。
「はい、勉強の時間のお届けでーす」
「はゃっ!? え!? うぇえ!? し、ししし瞬君!? あれ! 配達屋さんは!?」
「俺が声色変えただけ。てか、『お届けもの』とか言われて、顔とかも確認しないでドア開けるのやめた方がいいぞ。世の中物騒だしな」
「へ? あ、はい……ごめんなさい……て、あれ? い、今、心配された? 私」
何か妙なことに頭を悩ませ始めた飯田を遮るように言う。
「とにかく中に入れてくれ。時期的にももうそろそろ寒くなる時期だ」
「あ……うん……ど、どうぞ」
飯田は何やら少し顔を赤くしながら、俺を家に招き入れた。
俺は案内されるまま、飯田の部屋に前に。
そこで、飯田が俺に言ってきた。
「しゅ、瞬君……! あの、部屋、あんまりじろじろ見ないでね……? 恥ずかしいから」
「いや、物珍しいから確実にじろじろ見る。っていうか、何で恥ずかしい?」
「そ、そんなの…………瞬君、もしかして、まだ気づいてない……? 自分が何してるか」
「何って?」
……俺、なんかしたか?
とりあえず、一から考え…………あ、確かにやらかしてるな。
つーか前もこんな事あったな。東城さんのときに。
何も考えずに言った事が、実行されてから、やらかした事に気づく。
「…………すまん。気が回らなかった」
そうだった、飯田は結構人気の女子なんだったな。最近周りの視線が減ってたから忘れてた。――何で減ったんだろ……? まあ、それはいい。
で、その人気な女子の家に俺は軽々しく入り込んだわけだ。しかも普通に部屋に入ろうとして、あまつさえ『じろじろ見る』発言。
ああ、こりゃまずい。
「やっと、気づいてくれたんだね……」
「なんだったら、今から別な場所に行くか? 図書館でも」
「え!? ううん! 大丈夫だよ、ちょっと恥ずかしかっただけだから! ただ勉強するだけだし」
「恥ずかしいなら、別に居間とかでもいいぞ……いや、そう……だな。部屋を見る余裕も、恥ずかしさを気にする余裕もないくらいにもう勉強すれば問題ないな」
「……え? しゅ、瞬君……? そ、それはちょっと……」
「よし、じゃあ早速部屋に入って始めようじゃないか」
俺は飯田の首根っこを掴み、部屋に入る。
飯田の部屋が、動物のぬいぐるみなどがだいぶあり、結構女の子っぽい、かわいらしい部屋だった…………ような気がしたが、自分で言った通り、完全に視点を勉強に向けていたため、あんまり覚えていない。
「さて、今日はこのくらいにしておくか」
「……………………」
部屋の机に突っ伏したまま動かない飯田に言う。
若干、魂が抜けそうだな。
「んじゃ、俺は帰るぞ」
「……ぇ? もう……行っちゃうの……? 勉強……見てくれたお礼に、お茶くらい出すよ……?」
飯田が弱弱しくそう言ったが、
「悪いな。ありがたいが、早く帰ってこいとの命令だ」
俺は苦笑いでそう断った。
「…………そっか、夜羽ちゃん……いいなぁ……」
飯田がボソッと何かを言った気がしたが、疲れているのは知ってるので、気にしない事にした。
「それじゃあ、ゆっくり休んでくれ。明日からも頑張ってもらうぞー。教科書は、忘れんなよ?」
「あ、うん。明日からもよろしくね? 瞬君」
「おお」
飯田家を出た俺は、晩御飯の献立を考えながら、家に向かって歩き出す。
勉強風景を書ける自身はありませんでした……。
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百話のほうは、頑張って書きたいと思いますので、応援よろしくお願いします!!