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黒い鳥さんと一緒。  作者: 蛇真谷 駿一
修学旅行前で一緒。
94/144

番外の話。――クリスマスの話。2-B

同時投稿予定ですので、Aのほうもよろしくお願いします!

 ふむ……。


「いや、やめとく」

「えっ!? えー、瞬君来ないの?」


「理由をお伺いしてもよろしいですの?」


 飯田が戸惑い、東城さんがジト目で見ながら聞いてくる。


 ……いや、東城さん? 俺が来ない可能性も視野に入れてたんだろー?




「理由は……じゃあ黙秘で」

「えぇ!? 答えないの!?」

「……単に面倒くさいからじゃありませんの?」

 それもあるが……。


「……別に、今日中に宿題を終わらせたいとか、冷蔵庫の中の物を片づけるとか、色々あるから」


「えー……」

「納得はできませんの」


「とにかく、行かないわ。んじゃ、先帰るな。よいお年を」


「あっ、ちょっとー」「よいお年を……って、神尾くん、今年中にわたくしたちと会わない予定で話してませんの!?」


 何も聞こえません。買い物が俺を待っていますので。




 さて、うまいこと二人を巻くことができた。


 というか、俺が先に帰った後、なんか藤森が、追いかけようとする二人に話しかけて、とどまらせてた。


 何を言って、二人を止めたのかは知らんが、珍しく役に立ったな、藤森よ。






 よし、買い物はある程度済んだな。

 大物は昨日のうちに買ってあるし。


 ……買ったはいいけど、二人で食いきれるか……? ……多分大丈夫かな。




 あー、色々買い物してたらだいぶ遅くなったな。

 夜羽には遅くなると言ってあるから良いけど。



「さて、買い忘れは無いかな………………ある…………」


 ヤバい、一番重要なのを買い忘れてた。


 まずいな、ここからだと店までだいぶ離れてるし、そもそもまだあるんだろうか……?



「……ふぅ、悩んでても仕方ないか。急いで買いに「こんばんはー」おわっ!?」


 とりあえず買い忘れを走って買いに行こうとしたら、妙に間延びした声に遮られた。


「あ、アイス屋の店員さん?」

「はいー、どうですか? アイスお一つー」


 こ、この寒い中勧めてきますか……。


「い、いえ、結構です……」

「ですよねー。皆さんそうですー。ふむー、そろそろアイス以外の商品も出さなきゃまずいですねー?」


 この時期にアイスだけ売り続けてたのがおかしい……てか、アイス以外ってことは、アイスはまだ売るんですか。


「こだわりですのでー」

「そうですか……ああ、また何か心読まれた。俺の周り読心属性が高すぎる……」


「他の皆さんは表情で読んでいるだけですよー?」

「…………あなたは?」


「ふふふふふー……」

「怖っ!」



 っと、店員さんとじゃれあってる場合じゃない。

 急がないと。


「あ、すみません、俺ちょっと急いでますので」

「わかっていて止めているのですー。あなたが向かってる場所には、すでに目的のものはありませんー。ちなみに他のお店でも同じでしょうねー」


 ……色々突っ込まなければいけないのはわかっていたが、与えられた情報にその気力を奪われた。


「そう、ですか……ありがとうございました……」

「こらこらー、だめですよー。教えてあげたんですから、協力プリーズですー」


「そうですね……」

 最悪この際アイスでも夜羽はよろこぶだろうしな……。


「ふむー、あなたに協力してほしいのは、アイスと並ぶ新商品の販売についての意見ですー」

「はあ」


「ですから、新商品のこれ、買ってくださいー。そして今度、味の感想を聞かせてくださいー」

「………………え?」


 そう言われ、俺は店員さんに箱を一つ押し売りされた。






「ただいま」

「ん、シュン。おかえり。遅かった」


「ああ、悪い。買い物が長引いてな。今から飯作るから」

「ん、大丈夫」



 軽く夜羽の頭を撫でつつ、ばたばたとキッチンに向かう。



 冷蔵庫のものを取り出し、早々に準備をはじめ……。





「出来たぞ」

「ん…………む、シュン……なんか豪華」


 夜羽が気づいたとおり、テーブルにはかなりの品数の料理を並べていた。


「ああ、クリスマスだからな」

「……? クリスマスって?」


「んー、まあ細かい説明は面倒だから省く。まあ、前にやったハロウィンみたいなもんだ」

「む、お菓子もらえるの?」


「いや、そこじゃない。……とにかく特別な日って覚えとけ。合言葉は『メリークリスマス』だな」

「メリー、クリスマス」


 説明も何もしてないからキョトンとしてるけど、概要なんてのは今知らなくても別にいいだろ。



「んじゃ、改めて……メリークリスマス」

「ん、メリークリスマス」



 そしてちょっとしたパーティーの始まり。


「む、シュン……これは、大きいから揚げ?」

「いや、ローストチキン。から揚げとは味が違うけど、これはこれでうまいぞ?」


「む! シュン! ケーキもある!」

「ああ、クリスマスにはケーキは付きもんだ。手に入らないかと思ってたら、予想外に入手できた。多分……いや、絶対うまいぞ、これ」



 東城さんたちのお誘いを断ったのは、面倒だったのも、単に前日に買った食材を無駄にしたくなかったのも、色々理由はあるけど、一番の理由は違う。



 夜羽が俺に笑いかける。

「ん、シュン。クリスマス楽しい」



 俺が誘いを断った理由は――――クリスマスを『家族』と過ごしたかったんだ……。



「そうか、そりゃ良かった」


 俺はそう言って、夜羽の頭に帽子をかぶせる。赤い、サンタ帽子を。


 夜羽は不思議そうにしているが、特に何も言ってこなかった。


 夏休みにやって来た、カラスと言うサンタは、俺の元に、夜羽と言う家族をプレゼントしてくれた。

Aに比べれば少々短め。


何にせよ、夜羽が楽しんでくれることには変わりないお話でした!

ちなみに藤森が飯田さんと東城さんに言った事は「同居人と二人っきりで過ごしたいんじゃね?」という、意外と正解を言ってました。


感想お待ちしてます!


そして人気投票締め切りまで後一話です!

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