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黒い鳥さんと一緒。  作者: 蛇真谷 駿一
修学旅行前で一緒。
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番外の話。――クリスマスの話。1

季節物のクリスマス版です!


本編お待ちの方いらっしゃいましたら、申し訳ありません……。

 世間一般的にクリスマスイブの日。

 大体の学生は冬休みと言う行事が始まる直前日、つまり終業式だ。


 そしてそれはこの学校でも同じではあるが、やはりこの変わった学校。



 終業式直後のホームルームで、何か来た。



「はっはっは!! 我が名は黒サンタ! またの名をサタン・クロス様だ!! これから、苦しみの(ことわり)、すなわち『苦理』を済ます、貴様らに望まぬ魔のプレゼントをくれてやろう!」


 黒いサンタコスチュームを纏ったのは、他でもない校長。

 そして『魔のプレゼント』と称して渡されるのは、冬休みの宿題。量は夏休み時の二割増しだ。


 何でもこれは、この学校の創立者がやり始めて、その後代々、この学校の校長になった人は、毎年やっているらしい。


 …………いい加減にしろよ、この学校……そして創立者……。


 ちなみに隣にはグラサンをかけたトナカイのコスプレをした教頭もいる。

 もう意味がわからない。



 ……とりあえず、視線を逸らし、窓の外を見て、このホームルームが終わるのを待とう。

 教室内に響き渡る東城さんのツッコミの嵐が終わるのを……待とう。





 ……気がつけば、もう放課後だった。

 どうも寝てたっぽいな。


 さて、東城さんは……。


 …………………………。


 ぜぇぜぇ言いながら机に突っ伏してた。


 ――……お疲れ様です。


 俺が心の中で東城さんに労いの言葉をかけていると、藤森がニヤニヤ顔でやってきた。


「帰ってくれ」

「いきなりなんだ!?」


「いや、なんとなく。お前の顔が、おかえり願いたくなるような顔で」

「それは喧嘩を売ってるととっていいのか?」


「どうでもいいから、何か用があるなら言えばいい」


 終業式も終わったし、俺はさっさと帰りたいんだ。

 そして今日で宿題を終わらせたいんだ。


「神尾が普通の学生にあるまじき行為をしようとしているのは置いといて……よくぞ聞いてくれた!」

「宿題をするのが何故あるまじき行為なんだ……てか思考を読むな。そして話を聞きたい訳じゃない。お前が話したいだけだろ」


 俺の反論を聞こうともせず、藤森は勢いよく話し始めた。


「実はな、神尾! 俺は今日から年明けまで……ワイハーで過ごすのだ! 今日帰ってからその足で空港さ。はっはっは! 羨ましいだろう、そうだろう」


「……藤森、羨ましがられたいとか、自慢がしたいとかなら相手を間違えすぎだろ。俺の感想を言わせてもらうなら『海外とか面倒くさそう』の一点のみだぞ」


「……ぬ、い、言われてみれば」


「……それと、余計なお世話かもしれんが……『ワイハー』なんて今誰も言わないぞ。死語とかそういうレベルじゃないだろ」

「そ、それはほっとけよ!」


「…………そうだな、すまん」

「謝るな!」


 藤森の会話に付き合ってやっていると、なにやら機嫌がよさそうな飯田と、いまだお疲れの様子の東城さんも寄ってきた。


「しゅっんくーんっ!」

「帰ってくれ」


「いきなりどうして!」

「呼び方が不服だった」


「ひどっ! ま、まあ、そ、それはそうと、瞬君。今日の夜はお暇ですか?」


 ……随分とまた何の脈略も無い話だな。

「何で……?」

「うん! 実はね? 今日の夜ゆりかちゃん家でクリスマスパーティーやるの。だから瞬君と夜羽ちゃんも一緒にどうかなって」


 俺が答える前に藤森がのってきた。

「おおう!! いーね、それ! ゆっぴーの家でクリスマスぱーてー! しかもやっと神尾家の同居人に会えるのか!!」

 が、飯田がそれを止めた。


「え? さっき聞こえたけど藤森君、今日帰ったらハワイなんだよね? それじゃあ来れないよ」

「あ」


 ……藤森が固まった。

 忘れてたのかよ。


 ま、これで藤森が来ないことは確定か。さっきまで自慢してたことだしな。


 とりあえず藤森は放って、気になる事を聞いてしまおう。

「俺のイメージだと、東城さんはそういうイベントは家族と過ごしてると思ってたんだが」


 俺の言葉を聞き、東城さんが疲れた表情のまま口を開いた。

「……毎年そうしてましたけど、今年は両親共にお仕事で海外ですの。ですから今年は使用人たちとわたくしだけ。だったらお友達を招いて豪華にやろうと思っただけですの」


「そうか……。それはそうと、東城さん、疲れすぎじゃない? 大丈夫か?」

「学校側の非常識度合いが酷すぎたからですの! というか、どうしてツッコミを入れるのがわたくしだけでしたの!? 他には誰もつっこまなかったんですの!? 唯一、共に学校側と戦ってくれそうな神尾くんは寝てましたし!」


 俺の言葉でまたツッコミを入れてきたゆっぴー。

 しかも、ちょっとツッコミをサボって寝てた俺にも怒ってるっぽい。


 てか、学校側のおかしさと、それをあっさり受け入れてるこの学校の生徒に関してはもう、今更としか言いようが無いが。


「それはさておき、どれぐらいの規模でやるんだ?」

 軽く話を逸らすために話題を変える。

 実際、気になる事でもある。

 東城さんの家は確か、かなりの豪邸だったはず……だとしたら呼ぶ人数も多くなりそうな。


 なら、夜羽を連れてきたくはない。

 ……まだ、大量の人間には慣れてなさそうだし。


「さておくかどうかは、また別の話ですけど、どれくらいの人を呼ぶかは神尾くんしだいですの」


 …………話、逸らさせてくれなかった。


「で、俺しだいって?」


 東城さんは俺にだけ聞こえるような声で、

「もしあなたが来られるんでしたら、夜羽さんが知ってるメンバーしかお呼びしませんの。そのほうがよさそうですし。来るのが面倒でしたら、神尾くん以外のクラス全員ぐらいはお呼びしますのよ」

 と言ってきた。


 さすが東城さん、か。

 夜羽の事も俺の事も、よくわかってらっしゃる。



 しかし、そういうことなら…………どうすっかな。

変な学校、ひゃっほう。

はい。今回、終業式の話をやってしまいましたので、本編の冬休み編は、いきなり冬休み最中から始まる予定です。


次の更新は、ハロウィン同様、二パターン投稿予定です。


と、言う事で、九十五話は意外とあっという間かもしれませんよ……?

人気投票まだまだお待ちしてます!!


この話の続きは明日で(時間は未定)。

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