表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒い鳥さんと一緒。  作者: 蛇真谷 駿一
修学旅行前で一緒。
86/144

その後の学校でのやり取りと家での彼の問い掛けの話。

 何か最近、サブタイが長いのばっかりに……。

 飯田の勉強スケジュールを頭の中で組み立ていると、当の飯田は何やらわたわたしていた。


 何をしてるんだか……。


 若干呆れながら見ていると、

「……くっ! その休み時間の間だけでも、俺にも勉強を教えてくれ……と言いたいが、流石に割り込むことは、飯田さんに悪すぎる……ぬぅ……!」

 藤森がどう表現したらいいかわからない表情で立っていた。


「仮に言ってきたとしても断るけどな」

「何故に!? ……はっ! やはり飯田さんと二人きりが……」



「え? 普通に面倒くさい」

「酷いっ!」


「そもそも飯田に教えるのも面倒だが、そうしなきゃならんのは、お前のせいだし」

「くぅぅ……っ! 飯田さん! 飯田さんからもなんか言ってやってくれ! この友達甲斐のない極悪非道のめんどくさがりに! そしてお願いですから昼休みだけでも一緒に勉強させてください!!」


 藤森は俺に暴言を吐きながら、飯田に助けを求めた。

 てか、言ってることが無茶苦茶だ。


 だが飯田は未だ何かに動揺してる様子で、

「ふぇ!? え? えぇと……あ、諦めて……?」

 と言い放った。


 ……飯田、絶対今までの話聞いてなかったと思うんだけど、的確な切り返し。

 最後だけ聞こえてたのか?


 藤森は飯田の言葉に打ちのめされた様子で。

「あぁ! やっぱりか! だと思ってたけど! こうなりゃ最後の手段…………ゆっぴー、お助けー!!」


 結局、叫びながら東城さんの所に走り出す藤森。


 ……あの様子じゃ、教えては……くれないだろうな。




 とりあえず面倒くさいから、藤森のことは今から二週間くらい記憶から消してしまうことにし、改めて飯田とスケジュールを組んでいく。


「とりあえず何も準備してないから、明日からなー?」


「う、うん……! ふ、ふつつつか者ですがよろしくお願いしましゅ!」




「……色々言いたいことって言うか、ツッコミたいとこはあるんだが……今は面倒だから、いいや……」







 その後は、ゆっぴーの愚痴を長々と聞かされたことを除けば、平穏に一日が終わった。

 幸い、ゆっぴーがクラスの連中の体たらくに憤慨してらしたお陰で、今日は、からかわれることはなかった。


 ……しかし、明日はどうなることやら……飯田に勉強を教えることもそうだが、憂鬱すぎる。





「ただいま……」

「ん、おかえり……? シュン? どうかした?」


 あまり疲れを隠さずに帰ってきてしまったせいか、夜羽に心配されてしまった。


 俺は「なんでもないよ」と言い、夜羽の頭を撫でる。

 ――この行為、最初はかなり恥ずかしくなったけど、慣れてしまえば自然にやっていた。


 夜羽は、撫でられながらも、探るような視線を送ってきたが、何も聞いてこなかった。



 それからは、いつも通り家事などをして、結局、夜遅くまで学校での出来事を忘れてしまっていた。


 だが人間、忘れていたことは唐突に思い出す。


「……あ! 準備!!」

 そう、唐突に、夜羽の体を洗ってる今思い出した。


 夜羽も突然の大声に驚いたようで、顔をこちらに向け、

『カァ……?』

 と鳴いた。


 俺は自然にそれに答える。

「ああ、明日からの勉強のな。テストが近いんだよ」


『カァ、カァー』

「まあ、面倒くさいがな……」


 端から見たら頭のおかしい人間に見えるだろうが、最近はカラスの姿でも大体言ってることがわかる。

 ――ちなみに、今の場合だと、一回目が『準備……?』で、二回目が『そう、がんばって』って所だ。



 そのまま俺は話を続ける。

「ったく、ほんとに面倒な事になった。飯田に勉強教えるとか、かなり厳しいだろ」

『………………』


 しかし夜羽は突然鳴かなくなった。

「……? 夜羽……?」

『カー』


「早く終わらせろって? わかったけど……どうしたんだ? いきなり」

『………………』


 む、無視ですか……。





 言われたとおり早めに体を洗い終わると、夜羽はすぐに人の姿になった。

「ん、べんきょうって、イイダマナミも一緒なの?」

「ん? ああ、そうだけど……」


 別にわざわざ人の姿に変わって聞かなくてもよくないか?


「…………」


 夜羽は妙な目線を送ってくる。


 ……どうしよう、まだ一つ言わなきゃいけないことがあるんだけど……この状況では、すごく言いづらい。


「えー……っと、その勉強のこともあり、明日から少し、その……帰りが遅くなる……かも」


「………………」


「あ、いや、夕食時には間に合うように帰ってくるつもりだ」


「……………………」


 おぉう、さっきから夜羽の視線が鋭くなるばかりだ。

 な、何をそんなに怒ってらっしゃるんでしょうか。



 ……なんか前にも似たような空気になった気も……あー、前も飯田が絡むと夜羽の放つ空気が変わったような。





 ……………………飯田も気にしてたし、とりあえず聞いてみる、かな?





「……なあ、夜羽。もしかして、飯田のこと嫌いか……?」


 感想、お待ちしております!!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ