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黒い鳥さんと一緒。  作者: 蛇真谷 駿一
学校で一緒。
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彼の驚きと小さな……の話。

 矢島さんと東城さんに追い出されて、ふらふらと家に帰ろうとすると、前から二人組みが歩いてきた。

 逆行でよくわからないが、手をつないでいるように見えるので、恐らくどこかの恋人同士なんだろう。


 ……まったく、人目を気にしていちゃついてくださいっての。


 そんなことを考えながら、横を通りすぎようと思っていたのだが、近づいてみると、歩いてきたのは見知った者だった。



「あれ、夜羽……? と志戸塚……って志戸塚!? 何故?」


 最初に夜羽を確認して、隣は誰かと見てみると、予想外もいいところ。

 志戸塚だった。


 ど、どんな組み合わせだ……?



 恐らく頭の上に疑問符が浮かんでいるであろう俺に、夜羽が笑顔で言ってきた。


「ん、シュン迎えに来た」

「お!? お、おお……それはいいんだが、何ゆえ……」


 俺が志戸塚に視線で尋ねようとしたが、その前に夜羽が答える。

「ん、タツハはカツアゲに話しかけられてて困ってたから、連れてきた」


「カツアゲに話しかけられるって……まあ、言いたい事はわかるが」


 もう一度志戸塚に視線を送る。

 ――どういうことだ?


 志戸塚もダルそうに返してくる。

 ――藤森宗一に話しかけられて迷惑してるのを見て勘違いされた。


 あー、大体わかった……てか、あの馬鹿に話しかけられるとか志戸塚も相変わらずだなぁ。


 俺が軽く志戸塚に同情していると、夜羽からの視線を感じた。


 じー、と効果音まで付きそうなくらいにこちらを見てくる夜羽。



 ………………ふむ。


「あー、人助けか。すごいな」

 そう言って軽く頭をなでると、


「……ん!」

 満足そうな返事が返ってきた。

 ……一応、これでよかったのか……?




「……………………いちゃつくなら人目を気にして」

 しばらく夜羽をなでていると、志戸塚から声がかかった。


「いや、いちゃつくって……てか珍しいな、お前が話しかけるって。しかも校外で」

「……勘違いとはいえ、神尾夜羽に助けられたのは助けられた。……その礼をかねて、神尾瞬に言っておくことがある」


 礼をかねてって、なんだそりゃ。

 ……それにしても、今日はほんと珍しくしゃべるな……。


「言っておくことって?」

「…………礼として、忠告。それと……謝罪を」


 後半は何やら目をそらしながら言っていた。

 なんか面倒くさそうな予感が。


「……僕は明日から事情で二週間ほど山奥の親戚の家に行かなくてはならなくなった。携帯も通じない」

「二週間! 大丈夫なのか? 確か二週間後ってテストだろ。いくらお前でも」


「…………そのあたりは問題ない。いつもどおりの点数を取ることぐらいはできる。一応テスト前には戻れるし」

 ん……まあ、こいつなら、そうなのか……。


「じゃあ、忠告と謝罪って……?」

「……僕がいないことで……恐らく君に迷惑がかかることになると思う。……先に謝る。申し訳ない」


「はい? ど、どういうこと……?」

「………………明日、わかる」


 そういい残し、志戸塚は踵を返した。


 ちょっ! もうちょい詳しく! なんか面倒くさそう今の話!


 俺がそういう前に夜羽が先に口を開いた。

「ん、タツハ。またね」


「………………………………また。神尾夜羽。今日は…………ありがとう」

「ん、どういたしまして」


「……神尾瞬も、また。二週間後学校で」

「え? あ、ああ。また…………じゃなくて!」


 あわてて声をかけたが、時すでに遅し、志戸塚は狭い路地に入っていった。






 志戸塚と別れ、帰る途中、なんとなく気になっていたことを聞いてみた。


「……それにしても、夜羽。何か志戸塚と仲良さげだったな?」

「ん、タツハは多分いいニンゲン」


「…………そうか」


 俺の頭に夜羽と志戸塚が手を繋ぐ風景が蘇ってきた。


 ……………………。


 恐らく夜羽は志戸塚を案内するためにそうしただけ何だろうし、志戸塚は志戸塚で振り払うのが面倒だっただけなんだろうけど……。


 ……………………なんか、妙に胸がざわついた。


 どうしてかはわからないが、俺はなんとなく夜羽の手をとって歩いていた。


 夜羽は驚いた顔をしていたけど、気にしない。


 こうやっていることで、胸のざわつきが少し落ち着いたからだ。




 これがどういう感情なのか。


 そんな事を気にとめることなく、俺は夜羽と手を繋いだまま家に帰った。


 その感情の名前は、この話のタイトルにもある『……』に入る言葉です。

 何が入れるかは……ご自由にどうぞ。


 てか何気に瞬君がこうなったのは、初……?


 それと、この話で章をきることにしました。

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