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黒い鳥さんと一緒。  作者: 蛇真谷 駿一
学校で一緒。
80/144

お嬢様のツッコミ疲れと今後の彼の憂鬱の話。

 案内された場所に腰掛け、東城さんに興味の眼差しを向ける矢島さんに、俺は言う。



「実は、かくかくしかじかと言う事になってます」

「またそれですの!? いい加減にしなさい、神尾くん!」



「なるほど、大体わかった」

「わかりましたの!? 何故ですの!? 一体どこで理解しましたの!」


 うーん、いい感じにツッコミ頑張ってるなぁ、東城さん。

 俺も矢島さんも笑いをかみ殺す。


「それにしてもさすが矢島さん。即座に被せてくるとは」

「うん、まあね。何となくだけど。でも紹介より先に、からかうことを優先してくるとはね……」



「わたくしも初対面でからかわれるとは思いませんでしたのっ!!」



 俺と矢島さんの会話に全力でツッコむ東城さん。

 すでに若干息が切れはじめてるので、本題に入るか。



「矢島さん。こちらはクラスメートの東城ゆりかさん。矢島さんに会いたいってことなんで連れてきました」

「僕に? 理由は?」


「その辺は東城さんに聞いてください」


 矢島さんが東城さんの方を向く。

 東城さんは本編に入った事を悟り、静かに深呼吸して、話し出した。



「本日訪ねたのは、矢島獣医に聞きたいことがあってですの。でもその前に知っていてもらいたいのが……

わたくしも夜羽さんのことを、知っていますの(・・・・・・・)


 ……まあ、そのことを知ってもらわないと話は出来ない、か。


 矢島さんもすぐにその言葉の意味を察し、軽く目を見開いてこっちを見てくる。


 俺はその視線に苦笑いで返し、話の補足をする。


「……色々ありまして、まあ、偏に東城さんの観察力の賜物、ですかね。あ、でも東城さんに話したのは夜羽も納得してのことですんで」


「……うん、君らが話すことを選択してのことなら、僕からは特に言うことはないよ。……それで、東城さん……だったね? その上で聞きたいこととは?」


 矢島さんが真剣な表情で東城さんを見る。


 東城さんはその真剣な視線に応えるように、口を開いた。



「ええ……聞きたいことはただ一つ……」


 矢島さんが息をのむ。



「神尾くんが夜羽さんにしたプロポーズまがいの行為についての真偽を確かめたいですの!!!」



「…………へ?」

 矢島さんの真剣な表情が、ポカンとした表情に変わる。


 ちなみに俺は、一瞬その緊迫した空気に呑まれそうになったが、学校での会話を思い出し、この会話を真剣に聞くのをやめていた。


 東城さんは俺や矢島さんの様子にかまわず、話を進める。


「神尾くんの話だと、聞きようによってはプロポーズに聞こえるとのことですけれど、実際はどうなんですの? 神尾くんも夜羽さんも内容については教えてくれませんでしたし」



「……………………」


 矢島さんはしばらく、黙って東城さんの話を聞いていたが、その後チラリと俺の方を見て……ニヤリと笑った。



 ……あんまり良い予感がしない。


 もちろん、そんな俺の不安は的中する。



「そうだねー……僕に話せることなら、教えてあげてもいい」

「本当ですの!?」「ちょい、矢島さん……」


 俺の声は無視され、矢島さんは東城さんとの会話を続ける。


「本当だとも。ただかわりに、東城さんからは神尾君の学校での話を聞かせてもらおうかな?」

「なるほど、情報の交換ですのね。いいですのよ」


 あー……何か本人の許可なしにいろいろ話が進んでる……。

 そろそろ止めないと、

「ああ、神尾くん。もう帰ってもよろしいですのよ? 後は矢島獣医と二人でお話いたしますので」


 ……止めないと、

「神尾君、そろそろ帰らないと夜羽ちゃんに怒られるよ」




 …………もう、面倒くさい……お好きにどうぞ。



 別に矢島さんに学校でのこと聞かれるのは問題ないし、ここでの話も特に聞かれて困るものじゃないからいいんだけど、何か釈然としない。



 なので部屋を出る直前、かなり念を込めて言う。



「ハゲてしまえ」



 ……うん、矢島さんのテンションが、がた落ちしたから良しとしよう。





 しかしまあ、今後は逆に東城さんにからかわれることも増えるだろうな……。




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