表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒い鳥さんと一緒。  作者: 蛇真谷 駿一
学校で一緒。
78/144

学校内約束連発の話。

本編再開!

 次の日、学校で東城さんの誤解を解くのにものすごく時間がかかった。


 それこそ学校にいる時間、全て使って。


 そしてようやく話を全て伝える事が出来た。

「――…………ってことですので、妙な勘ぐりはしないで頂きたいんですが」

「ふむ……あなたの言い分はわかりましたの。ですが、あなたの言葉だけでは信用に足りませんの」


「……どうしろと?」

 俺が疑問をあらわにすると、東城さんはニッコリと笑い、言った。



「わたくしを矢島獣医に会わせてほしいんですの」



 そうきたか……別に拒否する理由も無いから、いいけど。


「わかった、じゃあ放課後現地集合で。場所はわかってるんだろ?」

「ええ、約束ですのよ?」


 そして俺は自分の席に戻っていく。

「ふぅ…………」


 机に突っ伏していると、すぐに声をかけられた。


「えっと、瞬君……?」


「ああ、飯田か。なんだ?」

 顔を上げると、何故か困惑気味の飯田が立っていた。


「うん、今日もゆりかちゃんと、その……遊ぶの……?」

「遊ぶって言うか、連れ回される、かな。矢島さんに会いたいんだと」


 俺が何気なくそう言うと、飯田は酷く驚いた顔をした。


「えぇ!? ど、どうして、ゆりかちゃんをあそこに!?」

「どうして、って言われても……。昨日飯のときの話の流れで」


「めし……? ご、ごはんゆりかちゃんと食べたの!?」

「いや、夜羽もな」



「そう、なんだ…………ね、ねぇ? 今日、私も一緒に矢島さんのとこに行ってもいい……?」



 なんだ、また唐突な……っていつものことか。


 とは言え今日は多分、夜羽のことを話にいくだろうから、飯田を連れてくのはやめといた方がいいかもな……。


「あー、悪い。今日は二人で行ってくる。あんまり人数多いと、矢島さんにも迷惑だろうし」



 俺がそう言うと、飯田は、一瞬だけつらそうな顔をした。


 だがすぐに笑顔になり、早口で言った。

「そう……だよね! ゴメンね? 変なこと言って」

「? 何言って」

「それじゃあね!」


 飯田の言いたいことがわからず、聞こうとしたが、俺が言い終わる前に飯田は、背を向けようとした。


「ちょい待てぃやぁ!!」

 しかしそれはやけにテンション高く、阻止された。


「うぇあ!? ふ、藤森君!」


 うるさいなぁ。

 ……しかし、藤森。お前は神出鬼没だな。

 さっきまで教室にいなかったろ。


「話は聞かせてもらった!」

「何時から聞いてた」


「んなことはどうでもいい。てか、お前らはあれだ、どっちも言葉が足りてない!」


「なんて?」「ふぇ?」


 ポカンとしている俺と飯田をおいて、藤森は話を進める。


「まず神尾。話の流れから察するに、今日は委員長と二人でどこかに行く。そして飯田さんは連れてけないと」


「……大体合ってるけど、マジで何時から聞いてた」


 そんな俺の突っ込みも無視される。

「んじゃ、聞くが。それは何故だ?」

「ん……? まあ、色々あって」


「色々……!」

 なにやら飯田がさらに暗くなった。


「まあ、話したくないこともあるだろうからその色々は聞かん。だがこれだけは聞いておこう。……お前、委員長と付き合ってんの?」



「…………はい?」

 何か話がおかしな方向に。


「どうなんだ?」

「いや、どうしてそうなった」


 またいつもの訳のわからんことかと思い、俺が尋ねると、藤森は割りと真面目な表情で答えてきた。


「どうしてもこうしても、今の会話はそう聞こえんだって。お前と委員長が付き合ってて、二人でデートが決まってて、飯田さんを断った。飯田さんは、二人の邪魔をすべきじゃないと判断したから、変なこと言ったと謝った。今のはいくらなんでも言葉が足りなすぎるぞ。説明できることはちゃんと説明はしろい」



「…………ああ、付き合ってない。てか、矢島さんとこに連れてくのも、なんていうか……弱みを握られた的な感じか」


 それを聞いた飯田がパッと顔を上げた。


「え!? じゃ、じゃあ私も矢島さんのとこ行っていいの?」

「駄目なわけないだろ。つか行かなかったら、逆に怒られんじゃね? 春川さんあたりに」


 そういうと、飯田は大きくため息をついて、安心した表情を見せる。

「よかったー……瞬君とゆりかちゃんが一緒にあそこに遊びに行ってるとき、私も行っちゃったら気まずくなるような気がしたから、もうあそこに行けないかと思った」


「よくわからんがよかったな。つか今日以降は飯田が東城さんと一緒に行けばいいんじゃね?」


「うん! そうする!」


 飯田は不安が取れたからか、満面の笑みで自分の席に戻ろうとした。


「ちょい待てぃやぁ!!」

 しかしそれはまたも、やけにテンション高く、阻止された。


 ……今度は何だよ、うるさいなぁ。


「飯田さんちょっと待ってなさい」

「え、え、え? ええ?」


 飯田愛美混乱中。

 ……気持ちはわかる。


「神尾。お前の言葉足らずのせいで飯田さんが変に不安にさせられてしまったぞ? その埋め合わせも何もなしに終わりにするつもりかい?」


「……何言ってる?」


 藤森は相変わらず人の話を聞かない。


「男なら『お詫びに言うこと一つだけ何でも聞くよ』ぐらい言ったらどうだ!!!」


 ……こいつは何を言ってるんだろう。


 パッと助けを求めるように飯田を見ると、


「……………………」


 若干期待をしてるような目でこっちを見ていた。

 ……お前もこいつ側か!


「……ふぅ、わかったよ。出来ることであれば、一つ言うこと聞く。……これでいいか?」


「ほんとに!!? 約束だよ!!」

「…………ああ」

 飯田がものすごく喜んでる。

 ……何を命令するつもりなのやら。


 面倒くさいことになったなぁ……。


 まあ、たいした事は言わんだろ。




 つか、後ろで面白そうにガッツポーズしてる藤森腹立つ。

はたしてこれは飯田さんのターンに繋がるのでしょうか。


感想お待ちしてます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ