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黒い鳥さんと一緒。  作者: 蛇真谷 駿一
学校で一緒。
73/144

一方、少女とその周辺の話。


 学校が終わった後、掃除のために私は残っていた。

 そして唸っていた。


 一応掃除も終わって、後は帰るだけなんだけど。

「うぅ……気になる……」

 藤森君のおかげで、妙な勘違いは解けたけど、その後待ち合わせの約束をしてた気も……。


「んな、気にすることじゃないと思うけど? 何か知り合い紹介するだの言ってたし」

「知り合い……? んー、でも何か家に行くとかも聞こえたし……」


「神尾が人を招き入れるとは思えんけどね。てか、俺なんか家の場所すら知らないし。……飯田さんはあいつん家は入ったことあるの?」

「え? あー、何回か。でもあんまりいい顔されなかったから……。」


「いや! 落ち込むこと無いって。あいつの家に案内されただけでも信頼はされてるってわかるし、今回も待ち合わせしたって事は、家に招くつもりは無いってことだろ?」


「そう……かな?」

 うーん、そう言われるとそう思えてくる。


「そうだよ! それにどうしても気になるなら明日委員長に聞いてみればいいさ」

「そう、だね……うん、そうする!」


 そして、私と藤森君は二人で笑いあう。



「それはそうとさ、飯田さん」

「んん?」


「どうして、彼を捕まえてるの?」

 そう言って藤森君は私が掴んでいる人物を指差す。


「………………………………」


 特に抵抗するでもなく、ただ黙ってる志戸塚君を。


「え? いや、志戸塚君にも相談に乗ってもらおうかなって思ったから」


 今日は志戸塚君も掃除当番。

 いつもは掃除後にそそくさと帰ってしまうのを止めて、捕まえておいたのだ。


「えっと、俺は志戸塚とあんまり……って言うかまったく話したことは無いんだけど……見る限りすごく嫌そうな顔してるけど」


「そんな事無いよ! 私たち友達だし、ね? 志戸塚君?」

「………………………………」


「…………人間、諦めの境地に至るとこういう顔するのか……」


 藤森君がよくわからないことを言ってるけど、まあいいや。


 すると、志戸塚君がやっと声を発した。

「……………………相談、とやらは解決したと見える。ならもう帰して……」

「うぉ!? お、俺……志戸塚の声初めて聞いたかも」


「えぇ!? ついでだから三人で一緒に帰ろうと思ってたのに」



「…………人間、絶望の淵に立つとこういう顔するのか……」


 む、藤森君がまたよくわからないことを言ってる。


「…………いや、急いで帰らなければいけない用がある」


「そうなんだ……なら仕方ないね? あ、ゴメンね、引き止めて」

「……………………いいよ……どうでも……」


 志戸塚君は早足で帰っていった。

「行っちゃった……。ほんとに急いでたんだ……悪い事したな……」


 なにも考えずに引き止めてたけど、志戸塚君にも予定はあるよね……。

 今度から気をつけなくちゃ。


 ちなみに私が反省してる間、

「うーん、志戸塚も結構、面白い性格してるなぁ。苦労人っぽいし。よし、今度から話しかけよう」

 藤森君は妙な決意を固めていた。




「それじゃあ、藤森君一緒に帰る?」

「いーよ」


 その後は二人で他愛も無い話をしながら歩いていたら、ちょっと遅い時間になってしまった。


「お、俺はこっちだ。飯田さんはそっち?」

「うん」


「そろそろ暗くなるけど、一人で大丈夫か?」

「大丈夫だよ。近いし」


「そっか、じゃあ……って、あれ神尾か?」

 藤森君が別れの言葉を言おうとしたところで、近くをスーパーの袋を持った瞬君が歩いていった。


 まあ、瞬君はこっちに気づいてなかったみたいだけど。


「ほんとだ。ゆりかちゃんとのお話終わったのかな?」

「じゃないか? にしても買い物の量、多っ!!」


「あ、多分纏め買いじゃないかな? それに二人暮らしだしね」

「あ、そうか。一人分で考えてた……って、ん!? 飯田さんは二人暮らしって知ってるんだ」


 藤森君が驚いた表情で見てきた。

 私にしたら藤森君がその事を知ってるのにびっくりだよ。


「藤森君こそ、夜羽ちゃんの事知ってるの?」

「夜羽ちゃん? いや、名前までは知らないけど、一人増えたって事だけは。……飯田さんは……あ、家に行った事もあるからか」


「うん。その子は神尾くんの遠い親戚で、夜羽ちゃんって言うんだけど、いい子だよ?」

「へぇ、今度紹介してもらお」


 無理だと思うけど……。


「それにしても、買い溜めには少なかった気もしたなぁ。……もしかして、家で委員長にご馳走する分だったりして?」



「え……?」



「…………いや! 冗談だよ!?」


「あ、うん。わかってるけど……」



 まさか、ね……?

 志戸塚君は夏休み以降いろんな人らに目を付けられてます。


 これからも彼の受難はあまり語られず、続くでしょう……(笑



 ちなみに、まだ飯田さんのターンではありません……。

 もうちょっと先です。

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