彼の帰宅で感じる変化の話。
買い物から帰ってきたんだが。
「……………………」「……………………」
何故か二人とも無言だった。
おかしいな、なんとなくドア開けた瞬間は、話し声が聞こえてたと思ったんだが……。
夜羽のほうは俯いていて、少し見える顔は真っ赤に染まっているように感じる。
な、なにがあった……。
対する東城さんは俺が帰ってきた瞬間から、ジト目で睨み続けている。
な、何なんだ一体……。
…………うむ、とりあえずは。
「えっと、ただいま」
すると夜羽が勢いよくこちらを向き、
「お、おおおおおおおおおおかえり!!」
と、異常にテンパりながら返してきた。
「お、おお。じゃ、ま、早速作るとするか……その前に東城さんちょっといいか?」
状況を知るために、未だジト目で睨んでくる東城さんを呼ぶ。
「……一体どういう状況だ。俺が買い物に言ってる最中になにがあった……?」
「……さあ? 知りませんの。自分で考えればよろしいんじゃありませんの?」
しかし帰ってきたのは冷たい言葉だった。
「いやいやいや、知らないわけ無いじゃん。てか、何でそんなに不機嫌……!?」
「不機嫌じゃありませんの。本当に大した事はありませんのよ? ただ少しお話して、聞かれたことにお答えしただけですの」
「聞かれたこと? って……?」
「もういいですの? わたくしおなかが減りましたのっ! 不味ければ承知しませんのよ!?」
東城さんは俺の疑問に答えてくれることなく、元いた場所に戻り、夜羽と雑談しだした。
――えぇぇぇ……な、なんなんだ!?
食事が出来上がったので、早速食卓を囲む。
……そういえば、ここで三人以上で食事すんのは、本当に久しぶりだな……。
まあ、今の、妙な空気じゃなかったら、もっとよかったんだけど。
「えーっと、どう、でしょうか? 東城さん?」
「…………………………美味しいですの」
「それはよかった」
俺の料理の感想を、そっぽを向きながら答えた東城さんだが、その後も箸は進んでいるようなので、安心した。
そして、チラリと夜羽を見ると、
「…………………………」
一応、美味しそうに頬張ってはいるが、どうも意識して俺のほうを向かないようにしているっぽい。
ほんとに、なんだろうか。
…………あれ? てか、前にも何か似たようなことあった……気も……?
「神尾くん、今日はご馳走様でしたの。夜羽さんも誘ってくれてありがとうですの」
「いや、気にしないで」「ん……!」
食事の後、多少は機嫌を直してくれた東城さん。
だが、夜羽のほうはまだ、妙に戸惑い気味。
東城さんも、機嫌は直してくれたが、どういう話を夜羽としたかは、教えてはくれてない。
「それではわたくしもう行きますの」
「ああ、じゃあまた、学校で」
俺が何気なくそう言うと、夜羽はちらりと俺を見て、言った。
「ユリカ、また来て」
「え?」
その言葉に東城さんはニヤリと笑い、
「ええ、もちろんですの。と言うことで神尾くん? では、また」
……ああ、学校で、じゃなくて、ここでってことか。
これは事前打ち合わせありだな……。
「はいはい……」
どうも今日は東城さんに負けっぱなしみたいだ。
東城さんはドアに手をかけ、
「あ、そうですの神尾くん」
たが、思い出したかのように俺に向きなおした。
「ん?」
そして、
「自分の発言には責任を持ったほうがよろしいですの」
と最後に言い残し、帰っていった。
……ん、そのセリフは最近どっかで聞いた……。
『発言には責任が付き物だからね?』
……あ。
『聞かれたことにお答えしただけですの』
『ん、わかった。シュンに聞かない』
……ああ。
『俺以外もだめだぞ? 高嶺に高嶺のお母さん、ヤジマ動物病院の人たち……後は飯田もだめだからな』
……ああぁぁ!
「よ、よよよよ夜羽さんっ!? つ、つかぬことお伺いいたしますが、東城さんに、何かお聞きに!?」
俺がそう言うと夜羽は真っ赤な顔で、
「…………ん、シュンはユリカに聞いちゃだめって言わなかった」
そう言い、自分の部屋に走っていった。
「…………さ、さて、どう、しよう」
………………うん、まず落ち着こう。
東城さんがどういう風に話したかわからないんだし。
そしてちゃんと落ち着いて、冷静になってから、夜羽と話そう。
瞬君、自力で状況を把握いたしました。
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