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黒い鳥さんと一緒。  作者: 蛇真谷 駿一
学校で一緒。
63/144

彼が正す友人の勘違いの話。


 東城さんの話はそれだけだったようで、からかわれたことに若干憤慨しながら席に戻っていった。


「ふぅ……なんか、面倒くさいことになってきたな……」


 軽く息を吐きながら、呟くと、何やら大きく顔を引きつらせた藤森が近づいてきた。


「神尾……さん? 君は委員長と一体どんな話をしてたのかね……?」

「ん? なした? そんな変な顔して」

「そりゃ……ねぇ? ちょくちょく聞こえてきた話し声のせいで」

「なんだ、盗み聞きか」


「違うわ!! 会話の内容は聞こえなかったが、時折委員長の叫び声が聞こえてたんだよ!!!」

 俺が何の気なしにそういうと、ものすごい勢いで否定された。


「そうか」

「………………そもそも、なんでそんな冷静なんだ?」

「何がだ?」



「………………冷静ってことはそんな深い話じゃなかったのか……? いや、それにしてはさっき聞こえたセリフの数々は怪しすぎるが……」



 藤森はブツブツと何かを言いながら、考え込み始めてしまった。


 何を言ってるのかは聞こえないが、恐らくさっきの東城さんとの会話でも深読みし過ぎてるんだろう。


「東城さんとは別に大したこと話して無いぞ。ちょっと俺の知り合いに会わせろとかそんなん」

「……さっき聞こえたセリフでは、まったく違うことを想像させられたが」


 何を言ってるんだ、こいつは。


 ……セリフ……?

「ああ、軽く東城さんをからかって遊んだだけだ」


「からかって……遊んだ……? …………はっ! まさかさっきの、私のことは遊び、うんぬんってのは!! ……っく! よく考えればこいつがそんな遊びなんてありえるわけも無い……!」


「お前は一体なに言ってんの……?」

「うかつ! 俺!」


 もうつっこむの面倒くさくなってきたな。

 寝よ……。


「それにしても、そんなに委員長と仲良かったっけ? お前」


 寝ようとしたが、藤森に阻止された。


 いつの間にか、いつもより高いテンションの頭がおかしい奴から、通常の頭がおかしい奴に戻ったようだ。

 とは言え、テンションが通常でも、おかしい奴なのは変わりないようで、また妙なことを言い出した。


「いや、前に比べて特別仲良くなったっていう感覚は無いな。元々たまに話す程度だったし」


「……神尾が俺をどういう風に思ってるのかは置いといて、俺が見た限り、お前が誰かと、特に女子と会話が長続きしてるのは、飯田さん以外には見た事がなかったが」


 またなんか心の中を読まれた気がする。

 顔に出てたか?


 まいいや。


「飯田ともそんなに話してるつもりもなかったんだが、前と違うってんなら、お前が言うとおり、俺が変わったって事だろ」

「んー……まあ、そうだろうな。とりあえず、あんまり委員長と仲良くしすぎると、飯田と喧嘩になるから

気をつけろよ? 同棲してるって言う女の子の件もな」


「……? 飯田と喧嘩? 何で」



「何でって、付き合ってんだろ? お前ら」



 ……ああ、そういえばこいつそんな風に勘違いしてたんだっけ。

「いや、付き合って無いよ」


「はぁ!? え!? 何、別れたってこと!?」

「いや、もともと付き合って無いって」

「だって、お前否定しなかったし!」


「面倒で。肯定もして無いだろ?」


 藤森の顔が面白いように驚愕に変わった。


「おまっ、え!? じゃ、何でいつも飯田さんと一緒に」

「さあ? それは俺に聞かれても……あいつが付きまとってきただけだし。なんて言うか……懐かれたって感じ」


「それは……予想外だったわ……」

「そうかい。もういいか? 俺はちと……眠る……」


 休みの日は、あんまり休めなかったから、まだ疲れが残ってるんだなぁ……。


 寝落ちる寸前、藤森がなんか言うのを聞いたような気がした。


 が、今度は阻止されてたまるか……。





 ――おい! 寝るな! 付き合ってないのはわかったが、とりあえず教室前で委員長のセリフを聞いてた飯田さんのフォローはしろよ!!




 気の……せい……だな……。

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