料理と彼女の苦戦の話。
やっちまいました。
「夜羽……緊張すんのはわかっけど、力入れすぎんな……」
「む……だい、じょうぶ……」
「ふぅ……いいから少し落ち着け。出来ないことじゃないんだ……」
「ん……でも、少し……怖い」
「大丈夫だって。とりあえず最初は俺が……な?」
「ん……わかった……シュンに、全部……任せる……」
「ああ、じゃ、いくぞ……っ!」
「…………ん、血……出てる……」
「当たり前だろ? 魚さばいてんだから」
現在、夜羽と台所で苦戦中。
昨日言われたとおり、料理を教えてるんだが、
「シュン、これ、怖い」
そう言って夜羽は思い切り力を込めて、包丁を握っていた。
事前に刃物の危険性を叩き込みすぎたか。
ちなみに今作ってるのは、鯖の味噌煮。
ほんとなら初心者なんだから、最初は火とか刃物とか使わないのにするべきなんだろうけど、俺が一番得意で、一番好物なのが、鯖の味噌煮だったから、なんとなく教えやすいと思ってこれにした。
それに俺のやり方はで、鯖を二枚におろして、それをぶった切って切れ目入れるぐらいしか刃物使わないし、火もずっとつけっぱなしにはなるけど、火がついてる時はずっとそばにいる、ってことを教えるにもちょうどいい。
とはいえ、何か二枚におろすことも出来なさそうだな……。
「じゃあ途中までやってやっから、最後は自分でやってみ?」
「ん、わかった」
そう言って、手早く二枚におろす。
「おー……」
夜羽はパチパチと拍手をしていた。
……どこで覚えた、そんなリアクション……!
「……とりあえず、この二つを半分に切るだけ」
「む、わかった」
そして夜羽は振りかぶり、「ちょっと待てっ!」
夜羽は不機嫌そうな顔でこちらを睨んだが、そんなのは関係ない。
「何をやってるんだ!?」
「む、言われたとおり、きる」
「包丁が怖いといってた奴の言葉とは思えない……」
「む?」
「夜羽さん、二回ほどやって見せたんだが、俺はあんなふうに包丁を振り上げたか?」
「……ん、ない」
「だよな。……まあ、俺も少し手本が早すぎた。ゆっくり教えるから」
「ん」
今日は夜羽の料理を食べれそうに無いな。
とりあえずこの日は、夜羽に包丁の持ち方、食材の抑え方、切るときの立ち方などを教えてる事に時間がかかりすぎた。
当然、料理の続きは俺が作った。
もちろん夜羽は不服そうだったが、空腹に負けたのか、諦めたようだ。
「むー……」
食事中、夜羽が唸ってた。
「夜羽? どうした?」
「ん、今日は何も出来なかった」
「ああ、料理の話か。頑張ってたと思うが?」
実際、初めてにしては上達は早かったと思うが。
「でも、出来てない」
そうか、最後までやりきる事が出来なったからか。
「違うな。続けてたら出来てたよ。俺が勝手に夜羽の出番を奪っただけだ」
「む……それは、違う。あれはシュンが正しい。続けてたら……夜」
「夜羽があれで正しいと思うなら、今日はこれで終わり。……ゆっくりでいいんだ」
「…………ん、わかった。……でも、次の休みもやる」
「……おー、何教えるか考えとくよ」
次はもうちょっと簡単な料理にしとくか。
はい、と言うことで、一回こういうのやってみたかったんですけど。
無理やりすぎました、か?
それともわかりやすかったですか?
感想をお待ちしてます!!
ただし料理に関してはあまり触れないで頂きたい……料理はほとんどしないもので。
のせたのは、ほぼ我流で、細かい臭み取りなどは省いてます。