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黒い鳥さんと一緒。  作者: 蛇真谷 駿一
学校で一緒。
59/144

ある休みの日の午後の話。2


 俺は矢島さんの言葉で、混乱していた。


 今、矢島さん、なんて言った?

 ……プロポーズ?

 そんなまさか。


 俺は前に夜羽に言った言葉を思い出す。



『……こう言えばいいか? 今日まで夜羽と一緒に過ごすのが当たり前になりすぎた。だから夜羽が居なくなるのは、寂しい。……俺と一緒にいてくれないか?』


 …………言ってる、ように聞こえる……。

 確かにこれならプロポーズに聞こえるかもしれない。


 ってか、むしろそうにしか聞こえない……!


「ぉぉぉぉ……!」

 は、恥ずかしい……。

 恐らくあの時の夜羽も気づいてはいないだろうが、俺はとんでもないことを言っていた。


 しかもそれが今回、矢島さんにも知られてしまっている。

 道理で来たときから妙にニヤニヤしてると……。



 とりあえず、弁解が必要だ。

「矢島さんわかって「ん、シュン。プロポーズって何?」……おぅ」

 矢島さんに何かを言う前に、夜羽に遮られてしまった。


 しかもその質問は、このタイミングでは爆弾にしかならないものだ。


「夜羽ちゃん。プロポーズと言うのはッモガッ……!!」

 矢島さんが勝手に答えようとするのを口を押さえて止める。


「よ、夜羽。と、とりあえずそれは置いておこう。今度話すから」

「……ん、わかった」

 よし、わかってくれた。


 後は帰ってから適当に誤魔化そう。


 ……出来れば。


「あーびっくりした。まあ、神尾君。皆まで言わずともわかってるよ。君の性格上無自覚で言ったんだろうね」

 矢島さんはいつの間にか俺の拘束をはずし、座っていた。


「…………わかってるならいいんです」

「まあ、とりあえず言っておくけど、自覚無しとは言え、女の子に軽々しくそういうこと言っちゃだめだよ。発言には責任が付き物だからね?」


「責任……ですか……。――っ!! と、取れと!?」

 責任の意味を考えると、そういう結論にたどり着き、また顔が熱くなる。


「いや、そうとは言ってないよ。ただ、もうちょっと考えて行動したらってこと」

「はあ……」

 ……考えずに動いたことはあんまり無いんだけどな。


 でも確かに最近は、思い立ったことをすぐに行動に移してる気もする。

 実際藤森にも、俺が変わった、と言われたぐらいだ。


 いつからだろうか……。


 そこまで考えたところで、ふと夜羽が目に入る。



「そっか……夜羽が来てからか」

「ん……? ワタシが、何?」


 っと、つい声に出してしまった。


「や、なんでもないよ。矢島さんの言うとおりですね。もうちょっと考えて行動してみます」

「そうだね。そうしてほうがいいかも」



 ――でも……。




「でも、考えない行動も後悔はしてませんから」


「……そうか。だったらいいんだ」


 そして俺と矢島さんの二人で笑いあう。


 夜羽は俺たちを見て、ポカンとしていた。

 が、すぐにムッとした顔になり、


「シュンもイチロウもワタシを話に入れない。退屈」

 と拗ねてしまった。


 そんな様子に、俺はクスリと笑い、夜羽に謝る。

「悪い、そんなつもりはなかったんだって」

「……ん、ちゃんと謝って」

「ごめんなさい」

「ん、帰りにケーキを買うなら許す」


 甘いもので簡単に許してくれる夜羽に苦笑いをする。

「……わかったよ」

「ん、許す」

「ありがと」



 その後は帰るまで、最近あった出来事を話した。


 ちなみにその時、矢島さんから夜羽に、俺の個人情報が流れてることを知り、再度矢島さんを拘束したことは言うまでも無い。




 そして帰り際。

 俺は矢島さんに引き寄せられ、

「……考えない行動も後悔して無いなら、プロポーズみたいなセリフの件も後悔して無いって事だね?」

 と、ニヤニヤ顔で言われた。


「――――っ!!!!!」

 今日の俺は赤面しすぎだ……。




「それじゃあまたね、神尾君、夜羽ちゃん」

「……はい、また」

「ん、また」




 そして二人で家路につく。

 瞬君やっとあの時の言葉を理解しましたー。


 感想お待ちしてます!


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