ある休みの日の午前の話。2
ん、続き。
「ここか」「む、ここなの?」
シュンについて行き、少し歩いたにホタルの家はあった。
シュンの住んでいるマンションではなく、イッケンヤだ。
「じゃ、呼び鈴鳴らすぞ」
シュンはワタシに確認を取り、玄関前まで歩いた。
ワタシもそれについていく。
ピンポーン
少しすると、ドタバタと音が聞こえ、扉が開いた。
「いらっしゃい! 夜羽ちゃん! 来てくれてうれ……し……」
元気よく扉を開いたホタルだったけど、シュンを見て、固まってしまった。
「? ホタル、来た。どうかした?」
「ふへぇ!? え!? なんで……なんで神尾さんまで!?」
「ん、一緒に来た」
ワタシが質問に答えたけど、言葉が足りなかったのか、ホタルはポカンとしていた。
シュンはそんなホタルを見て、「ああ」と呟き、気まずそうに話し出した。
「そういえば俺が一緒だって言ってなかったか。女の子同士がいいなら俺はとりあえず家に帰るけど……」
シュンがいなくなるのは残念だけど、ホタルがそういうなら、と言おうとしたけど、それはホタル本人に遮られた。
「い、いえ! そんなこと無いです! ちょっと驚いただけで……。ど、どどどどうぞ! お二人とも!」
「じゃあ、お邪魔します」「ん、おじゃまします」
シュンに教わった挨拶をしながら家に入る。
すぐにシヤンが駆け寄ってきてくれた。
「シヤン、ひさしぶり」
「ワンッ!」
「……大分懐いてるんだな」
シュンがワタシを見て、そんなことを言っていた。
当たり前。
ここまで仲良くなるのにとても苦労したものだ。
そのことをシュンに話そうとしたところで、
「あら? 蛍。お友達って女の子だけじゃなかったのね?」
知らない声が入ってきた。
「お、お母さん!?」
どうやら、ホタルの母らしい。
「あ、お邪魔してます」「! おじゃましてます」
シュンが挨拶したので、慌ててワタシも挨拶をした。
「ふふっいらっしゃいませ。それにしてもまさか男の子も一緒だったなんてね?」
「し、知らなかったんだって! と、とにかくお母さんは部屋に戻ってて!」
「いいじゃない。あなた学校には友達たくさんいるけど、なかなか家に招待することしなかったから、驚いてるのよ? そんなあなたが、まさか……ねぇ?」
「もう! いいからぁ!」
「あら、いいじゃないもう少しお話させてくれても」
「ちょっ、お母さん!」
「はいはい、わかったわよ」
「はぁ……あ! ごめん、ほったらかしにしちゃって」
「ん……? ん、大丈夫」
確かに突然ものすごい勢いで始まった会話に少し驚いたけど。
「……………………」
シュンはまだポカンとしてた。
……こういうシュンは珍しい。
同時にホタルもシュンの様子に気づき、顔を赤くしながら急いで話題を代えた。
「じゃ、じゃあ部屋に行きましょうか!」
「ん、いこう」
「え? ああ、うん」
ホタルの部屋に案内された後、ホタルは飲み物を持ってくると言って部屋を出た。
ついでなのでさっきのことをシュンに聞いてみる。
「シュン? さっきはどうしたの? 何か変だった」
「ん? ……いや、ちょっと唖然としちゃって。それとなんとなく自分の母親のことを思い出してな」
「……? シュンの母?」
「ああ、まあ別に大したことじゃないから気にすんな」
「……ん」
少し知りたい気もするけど、気にしてほしくないなら気にしない。
「お待たせしました!」
話してるうちにホタルが飲み物持って戻ってきた。
「ありがと、でもほんとに良かったのか? よく考えたら、夜羽が一緒とはいえ、休みの日に女の子の部屋に男が入るってのは……」
「大丈夫です!」
「そ、そうか」
何かシュンが押され気味だ。
……シュン、ホタルが苦手なのかな……?
「………………」
「………………」
「………………」
何故か誰も話さず黙ってしまった。
沈黙に耐えられなくなったのかホタルが言葉を発した。
「えっと! と、トランプとかやります?」
「あー……いいけど、夜羽わかんないんじゃないかな。……てか、夜羽。遊びに来たいって言ったぐらいだからなんか用があるかと思ったんだが?」
「んーん、いつでも来ていいって言ったから」
「あー……なんかすまん、高嶺」
「ううん! いいんです! 実際言ったことですし、遊びたいと思ってきてくれたわけですから」
「ん、そう」
…………それにしても……こういうときの遊びって、何するんだろ?
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