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黒い鳥さんと一緒。  作者: 蛇真谷 駿一
学校で一緒。
52/144

彼のなぐさめと目に入ってきた光景の疑問の話。

 最後ちょっと三人称です。

「おい、せっかく友達になったんだ。お前ん家遊びに行きたいんだが」

「何回目だ! それ言うの! 答えはかわんねぇよ、やだよ!」



 現在、ちょうど午前中の授業が終わり昼休み突入。


 藤森の馬鹿は朝から授業が終わるたび冒頭の台詞を連呼してきた。

 顔にははっきりどんな子と同棲してるのか知りたい! と書いてある。


「いいからさっさと購買にでも行って来い!」

「……くぅ! お前は彼女に作ってもらった弁当があるんだもんな」

「違う。作ったのは俺だ。いいからさっさと行け。お前と話すの疲れるから、ゆっくり行ってこい」

「何てひどい奴なんだ……」

 そう言い残し、藤森は購買に向かった。


「ふぅ…………やっと一息つけ……ないのか」


 藤森がいなくなった瞬間、クラスのほとんどが俺に何かを訴えかけるような目を向けてきた。

 いや、何が言いたいのかはわかっているんだが、何故俺に目を向ける。


 そんなことを考えている間もクラス中の空気が俺に早く何とかしろといってくる。


 飯田愛実の機嫌をなおせと。


 クラスのムードメーカーでもある飯田が、なにやら落ち込んでいるのはほとんどの連中が気づいていたらしく、皆なんとなく騒ぎづらい状況に陥っていた。

 耳を澄ませば、ボソッと「神尾早く」なんて声も聞こえてくる。


 ――だから何故俺っ!?


「…………はぁ、仕方ない……のか?」

 そう呟き、飯田の席に向かうことにした。



「……飯田」

 机に突っ伏していた飯田を呼びかけると、ビクッと体を揺らし、ゆっくりと起き上がった。


 そして必死に目を合わせないようにしながら話し始めた。

「う、うん、おはよう、瞬君……」

「もう昼休みだ」

「あう……こんにちは、瞬君……」

「学校でその挨拶を聞いたのは初めてだ」


 そこまで言うと、飯田はゆっくりと視線を上げ、

「あの、瞬君……昨日は本当にごめんなさい」


「……いいよ、もうしなければ」

「うん、ありがとう」


 弱弱しく微笑む飯田から目をそらし、俺は言う。

「いいからさっさといつもの能天気にもどれ」

「また言った! 能天気って! ひどい!」

「ソーデスネ」

「またもやそれ!」


 とりあえず元に戻っていくと思うので「これでいいか?」と周りを見渡すと、クラスの連中はなんともいえない目をしてこちらを見ていた。


 その中にいつ戻ってきたのか、藤森がいたので近寄って、

「この目線はなんだ?」

 と尋ねる。

「いや、飯田さんが元気ない原因お前かよ! って皆思ってんだわ」

「あいつが勝手に凹んだだけで、それを俺のせいにされても……。大体たいして強く言ったわけでもなし」

「今回、何があったか知らんが、そろそろ自覚を持ったほうがいいだろうに……」

「?」

 いまいち藤森の言っているがわからん。


「ま、とりあえずはまだいい。飯にしようぜ」

「? ああ」







 昼食のため、鞄から弁当を取り出し、席に着く俺はふと、窓に目を向けた。


 その行動にたいした意味はなかったが、

「…………………………」


 その目に映ったのは驚きだった。



 頭を抱え、目を瞑りながら、考える。

 ――――ふぅ、疲れて、るんだな。


 コンコンコン


「…………………………」

「おい、どうした? 神尾?」

 俺の様子が変わったことを心配し、藤森が声をかけるが、もうそれすら耳に入ってはいなかった。


 コンコンコン


 意を決し、もう一度窓の方に目を向ける。


 もちろん先ほど見た光景となんら変わりなく、


「神尾? ……ってうわ!! 窓んとこに、何かを嘴にくわえたカラスがいる!?」


「…………………………」





 朝作った弁当をぶら下げ、こちらを見つめる黒い鳥さんがそこにいた。







 お嬢さん、何してるんですか?

 感想等、お待ちしております!

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