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黒い鳥さんと一緒。  作者: 蛇真谷 駿一
学校で一緒。
51/144

委員長に巻き込まれる独りの男の話。

 お気に入りキャラ二人の会話です。

 ここ最近の出来事を思い出し、考える。


 最近、他人との接触が増えている気がする。


 今までは話しかけてくるものもほとんどいなく、いたとしても神尾瞬と飯田愛美が稀に、程度だった。

 つまりその『稀』を除けば、平和そのものだった。


 しかし、夏休みあけてから……いや、夏休み最中からか。

 そのあたりから、人と関わる事が増え始めているんだ。



 何故、今それを思い出しているかと言うと、


「聞いてくださいですの!! 志戸塚くん!!!」

 現在進行形で絡まれているからだ。


 先ほどまで、近くで声がしていたので、誰かと話していたと思われる委員長。


 その話が終わったのか、わざわざ僕の席に来て、いきなり大声で言ってきた。

 だから、隣の席にいた男子生徒がものすごく驚いた顔をしている。


 ……よく考えれば当たり前だ。人との関わりを拒絶したがる僕に、人気者のクラス委員長が話しかけているんだ。

 それは驚きもするだろう。



 ……で? 何? 僕の睡眠を邪魔するだけの価値のある話?

「なんかちょっと怒っているようですのね……まあ、いいですの。コホン。聞いてほしいのは神尾くんのことですの! 藤森くんと一緒になってわたくしをからかうんですの!!」


 へぇ……。

「何ですの! その気の無い相づちは!! からかうなんてひどいとは思いませんの!?」


 別に。

「即答ですのーっ!! もうちょっとわたくしの身になり、考えて返事なさいですの!!」

 ん…………うん、別に。

「考えても同じ結論ですの!?」


 興味は無いし、僕をからかおうなんて勇気のある奴はいないから、身になって考えるとか……無理!!

「なんで志戸塚くんをからかうのは勇気がいることですの?」


 人と関わるのさえ面倒くさがり、話しかけても返事は無い。無表情で、学校にいるときはほとんど机に突っ伏し眠っている。そんな相手を誰がすき好んで相手するんだい?

「……そう言われるとそうですわね。実際、今わたくしがずっと話しかけているというのに、未だ声すら出さないですし」


 その通り。

 今、僕は一言も発していない。

 周りから見たら、ただ委員長が一人で僕に話しかけているようにしか見えていないだろう。



 実際、隣の席の生徒は不思議そうな顔をこちらに向けている。


 この委員長は何故か僕の考えている事を目を見て読み取るのだ。楽でしょうがない。

「やっぱりものぐさですの! わたくし以外はどうやって会話するつもりなんですの!?」


 神尾瞬も僕に似たタイプだから、彼もある程度は目で会話が出来るよ。そもそも、誰かと会話しようなんて考えていないさね。

「……もういいですの。それより話を戻しますのよ。身になって考える事が出来なくとも、もうちょっとなんかございませんの!?」

 別にな…………ごめんなさい。それで? どんな風にからかわれたんですか?


 ものすごく睨まれ、若干殺気も感じたので、仕方なく話を聞くことにした。

「う……その、名前を……」

 を?


 東城ゆりかは声を小さくして、

「恥ずかしいあだ名で、呼ばれたんですの。ゆっぴーって……」

 と言った。


 ……………………で?


「で? じゃありませんの!! このわたくしをそうやって辱めたんですの!!」

 

 かなりきわどい発言を大きめの声で言ったもんだから、またも隣の彼は目を見開いてこっちを凝視してきた。


 そんなことも気づいていない様子の委員長はさらに続ける。

「わたくしもう恥ずかしくて恥ずかしくて!」


 ……ただのあだ名でしょ?

「あなたも神尾くんと同じことを言うんですの!? あだ名でも恥ずかしいものは恥ずかしいですの!」

 知らないし……顔見る感じでは満更でもないって風に見えるけど。


「んなっ!! か、勘違いですの!! それは志戸塚くんの勘違いですのよ!!!」

 …………まあ、いいけどね? どうでも。てか、もうメンドイ……。


 ……眠る。



「ちょっ!! 寝ないでくださいの!! 話はまだ終わってませんのー!!!」







 その後、完全に眠りについた僕に、委員長はしばらくの間、怒鳴り続けてたらしい。

 いずれ番外編みたいなので、隣の生徒視点の話をやりたいです。

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