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黒い鳥さんと一緒。  作者: 蛇真谷 駿一
学校で一緒。
48/144

彼と彼女の帰宅とついでに尾行組との会話の話。

 とりあえず、よくわからない行動の飯田と、絶対に巻き込まれたであろうかわいそうな志戸塚は忘れて、さっさと食べて帰る事にした。


「ん、おいしい」

 夜羽も料理が運ばれてきてからは、機嫌も直っていたので問題ないだろう。


 それにしても、確かにおいしい。

 チェーン店と言うのも意外と侮れない。


 でもお客さんは少ない。


 よくわからんな。





「さて、食べ終わったことだし、帰るか?」

「ん、帰る。見られているのはあんまりいい気分じゃないし」

「……だよなー。帰るとき止めるよう言っとくか」


 志戸塚はともかく飯田はチラチラとこちらを見ていた。

 夜羽は気にして無いと思っていたが、まあ無理か。


 会計のためにレジに向かう俺と夜羽。

 後ろの方でバタバタしている気配を感じる。



 会計を済ませ、店を出ようとするとき、

「ありがとうございましたですのー」

 と言いながら、東城さんが現れた。


 ――ほんとに挨拶と案内しかやらせてもらってないのか。

 その言葉が口から出そうになったが、店に迷惑がかかりそうなので止めておいた。


「じゃあ、バイトがんばってー」

 と投げやりな応援を残して店を出ようとするが、


「もちろんですの。それと、明日ちゃんと教えてもらえるんですのね?」


 店を出る前に夜羽を見ながら、しっかりと確認を取るゆりかに苦笑いをする。


「……へいへい」

「わかってるならいいですの」


 ――明日の事を考えると憂鬱になるな……。

「む、シュン行こ?」

 夜羽は面倒くさそうな顔をする俺に言った。

「ああ、そうだな」



「ま、この場で聞かれて時間とられるよりはマシか」

 そう呟き、俺と夜羽は店を出る。






 店を出た後、すぐに家には帰らず、少しの間店の横で待ってみると、

「ゆりかちゃん、また明日ね!? 志戸塚君今日は巻き込んじゃってゴメンね!? もう付き合わなくて大丈夫! 私はもう行くね!? このままじゃ見失っちゃ「……何をだ?」ふぇぇ!?」

 急いだ様子の飯田が出てきた。


 ほんとに尾行してたのかい。


「え!? えぇぇぇぇぇ!? 瞬君!? 夜羽ちゃん!? どうしてここに!?」

 まさかこんなところにいると思ってなかったのだろう飯田はひどく混乱していた。


 その後をゆっくりと出てきた志戸塚は、大体予想がついていたんだろう。別段驚いている様子はなかった。


 その志戸塚と目が合ったので、

「………………」

 ――お疲れ。

 とりあえず何も言わず、目で労いの言葉を向ける。


「……………………」

 すると、恨みのこもった目でこちらを見る志戸塚。


 どうやら志戸塚が巻き込まれた原因の元を辿れば俺に繋がるらしい。

 ――なんかすまん。




 そんな無言のやり取りを繰り広げていると、

「あ、あれぇ? ふ、二人ともきぐーだね?」

 飯田が誤魔化そうと必死で言ってきた。

 目が泳ぎっぱなしだぞ。


「で? 何を見失うって?」

「へ? あ! え、えーっと……?」


「………………」

 今度はどう誤魔化すつもりか観察しようとしたが、


「見られるの嫌だから止めてほしい」

 と、夜羽がはっきりと告げた。


「う……。ごめんなさい!! 瞬君と夜羽ちゃんが歩いてるのが見えて、ついなんとなく……」

「何がついなんとなく、だ。意味の無い事をするな。そして志戸塚を巻き込むな」

「はい……ごめんなさい。志戸塚君もごめんなさい……」

「もうすんなよ」

「はい……」


 そのままトボトボと家に帰っていった飯田。

 うん、たまにはいい薬だろう。


「さて、夜羽。帰るか」

「ん……? こっちは紹介しない?」

「ああ…………」


 志戸塚か。正直紹介してもしなくてもどっちでもいいような気はしたが、一応、目でどうするか確認する。


「………………」

 ……一応紹介してくれ、か。


「わかった。夜羽、こいつは同じクラスの……友達、か? まあいい、志戸塚竜刃だ。志戸塚、こっちは遠い親戚で今うちであずかってる、夜羽だ」


 志戸塚はこちらを見て、今度は声に出し尋ねてきた。

「……苗字は?」

「…………神尾」

 答えないのも変なので、渋々答える瞬。


 夜羽はすぐに挨拶をした。

「ん、夜羽。よろしくタツハ」


 当然志戸塚も名前の呼び捨てだ。


 志戸塚は名前で呼ばれるとは思わなかったのか少し目を見開きながら自己紹介をした。

「……志戸塚竜刃。よろしく、神尾夜羽」



 互いの紹介も終わったところで、俺が言う。

「んじゃ、志戸塚また明日学校でな。今日はお疲れ」

「…………それはお互いに。……じゃ」

「タツハ、また」

「…………また」



 それぞれが若干疲労しながら帰宅する。




 そんな中、彼女がポツリと呟いた。


「………………ガッコウ」


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