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黒い鳥さんと一緒。  作者: 蛇真谷 駿一
学校で一緒。
47/144

独りの男が巻き込まれる尾行の話。

 視点変わりますが、前回の続きですの。

 最近気づいた。



 僕は運が悪いんだ。


「あ、志戸塚君?」

「――っ! ………………」


 …………おかしいな、僕は何か神様に嫌われるような事をしただろうか。


 僕はただ好きな作家の新刊が出たから買いに外に出ただけだったような……。

 そういえば、前にも似たような事があった。


 諦めようか。

 諦めは肝心だ。

 ――いや、まだ間に合うか?


 ゆっくり静かに逃げよ

 ガシッ!

 ……捕まった……。


 確かに神なんて信じて無いから信仰心とかはゼロだけど、それにしたっていくらなんでも酷すぎないだろうか。




 捕まったまま何故か飯田愛実にファミレスに引きずり込まれる。

 ずっと笑顔のまま無言なのだが、捕獲された理由は教えてもらえないのだろうか?


 しかしそんな事を問う前にかなり予想外のものが目に入った。


「いらっしゃいませですのー」

「え!?」「!? ……」


 ……委員長?

 クラス委員長あろう者が校則を破っていいのだろうか。

 しかも生徒会にも所属してると記憶していたんだけど。


「え!? ええ!? どうしてゆりかちゃんが!?」

 隣の飯田愛美も驚いているから、委員長に会いに来たわけじゃなさそうだ。


「あら? 今度は飯田さんと……志戸塚くんですの!? どんな組み合わせですの!? むしろこっちがどうして!? ですの!!」


 それは僕も知りたいです。

「志戸塚くん、自分の事なのに理解してませんの……?」


「え? 友達だからだよ?」

 ………………ふぅ…………。


「ここまで意思疎通が出来てない二人組は初めて見ましたの!!」

「? よくわからないけど、ゆりかちゃんはどうして?」

「アルバイトですの」


 学校はバイト禁止だったと……ああ、無理やり許可を取ったのか。

「無理やりじゃありませんの!!! しっかり理由を話して理解してもらいましたの!!!」


「ふぇ!? 急にどうしたの!?」

「志戸塚くんが失礼な事を言うからですの!」

「えぇ!? 志戸塚君何にも言って無いよ!?」

「顔を見ればわかりますの!」

「えぇー!?」


 そんな馬鹿な。

「わたくし馬鹿じゃありませんの!」


 …………どうやら本当にわかるようだ。


 まあ、深く考えなくていいや。言葉を話す必要ないから意思疎通が楽になった。

「ものぐさ過ぎますの!」


 だってめんどくさい。

「もっとしっかりしなさいですの!!」


「……はたから見ると一人で喋ってるようにしか見えないよ……」


 とにかく話を進めよう。僕はどうしてここに連れ込まれたのだろう。

「連れ込まれたって……って、そんなのは自分で聞きなさいですの!」

 さっきも言ったでしょ? めんどくさい。通訳お願いしまーす。

「……あんまり話したこと無かったからわからなかったですけど、志戸塚くん意外と感情豊かで饒舌ですのね……まあ、いいですの。聞いてあげますの。……飯田さん?」


「………………」

「……飯田さん?」

「あ! ゴメン……。ゆりかちゃんの『志戸塚君が感情豊かで饒舌』発言にびっくりしちゃって」

「…………こんな事言ってますのよ?」

 否定はしないよ。……てか改めてそう聞くと、僕が感情豊かとか饒舌とかって言うのは異常だね。


「……それはとりあえず一旦置いておきますの。話が進みませんの」

「あ、うん」 そうしてください。


「それで、飯田さんは何で志戸塚くんを連れてこのお店に? アルバイトとは言え店員が言うのもなんですけど、入り口で長めに話してても新しいお客さんが来ないくらいに暇なこのお店に」

 ほんとに言っちゃいけない事を……。向こうで店長っぽい人泣いてるよ?

「でも、この時間にガラガラって問題ですの……」


「店長さんみたいな人泣いてるからやめたげて!? ゆりかちゃん! ……えと、志戸塚くんを連れてきた理由だっけ? いや、ファミレスに一人で入りづらいなって」

「二人して同じ事を言わなくてもいいですのに……。でも入りづらいなら帰れば……ああ、そういうことですの……」

 ? どういうこと?

「先ほど神尾くんが女の子を連れて来店されましたの」

 神尾瞬が? 女の子? ……ああ、そういうことか……。


「え!? 何で二人ともそんな目で見るの!?」


「その一方的なかつ個人的な理由で志戸塚くんが連れて来られたと思うと……」

 まあ、苦労をわかってくれる人がいるだけいいよ。


「うぅ……その、ゴメンね? 志戸塚君……無理やりつき合わせちゃって……」


 もういいよ……ここまで来たら諦めてる。


 そう心の中で思い、委員長を見る。

 ………………。


「…………え!? ここもわたくしが通訳しなければいけませんの!?」

 よろ。


「本当にあなたという人は……あ、えっと、コホン。もういいそうですの。ここまで来たら諦めていると」


「志戸塚君……ありがとう! よし! ゆりかちゃん! 案内よろしくお願いします!」

「ええ、こちらですの」

 …………あっさり神尾瞬の席近くに案内してくれるんだ……。





 案内された席に着き、神尾瞬の方を見ると、確かに見た事の無い女の子が一緒に座っていた。


「んー瞬君と夜羽ちゃんが一緒に外食……親戚って言ってたから、普通って言えば普通だけど……」

「? ……夜羽ちゃん?」

「あ、やっと喋ったね? 志戸塚君。あの子は夜羽ちゃん。何か夏休み中にあずかる事になった遠い親戚だって」


 ああ……なんか聞き流せって独り言でそれっぽい事、話してたな。

 夏休み中面倒くさがってられなかったって。

 あの子の事なのか。


 まあ、なるほど。

 神尾瞬が夏休み明けて、少し雰囲気が変わったように見えたのはあの子が関係してたということか。






 ん……てか、そういう情報わかってるなら尾行は必要なくないか?

 これ、何のための尾行?

 うん、やっぱり東城さんは会話文で使うの楽しいです。

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