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黒い鳥さんと一緒。  作者: 蛇真谷 駿一
学校で一緒。
38/144

彼の学校の話。

 と言うことで、少しストックがたまってきたんで再開します。

 始業式の朝、制服に身を包んだ瞬が夜羽に説明をしていた。


「てなわけで、今日から学校が始まる。昨日教えたとおり、朝から出掛けて夕方ぐらいには帰ってくるから」

「ん、わかった」

「昼ごはんはレンジに入ってるから、お腹がすいたら温めて食べるように。絶対に今レンジに入ってるもの以外入れるなよ?」

「ん、もう卵が爆発するのは見たくない」

「鍵は置いておくから、散歩するなら鍵をかけてな? でもこの時期に一人で昼間、夜羽ぐらいの年頃の子がウロウロしてたら怪しまれるからほどほどにな?」

「ん」


「後は「シュン。大丈夫。今言ったことは全部昨日も聞いた。心配ない」……そうだな。それじゃ、行ってくるから」

 さらに注意を続けようとする俺を夜羽が止めた。


「ん、いってらっしゃい」

「いってきます」


 笑顔で挨拶を交わし、俺は学校へ向かう。




 教室に入り、自分の席に付くと即座に数人の同級生が集まってきた。

『宿題見せてくれ!!』

「断る」

『ひどい!!』

 俺がそう答えるのは予想通りだったのだろう。

 数人が自分の席に戻っていった。


「相変わらずそういうことの関しては冷たいのー。神尾」

 その中で一人残ったのは、藤森ふじもり 宗一しゅういちクラスの中では(・・・・・・・)仲がいい友達だ。


「面倒だろ。一回見せると絶対他にも見せろってやつが出てくる。つかこのクラスの連中宿題やらなすぎなんだよ」

「確かになー実際まとも(・・・)にやってくんのはお前と委員長ぐらいなもんじゃね? つかその委員長は宿題やった人間が少ないことに憤慨してらっしゃるし」


 藤森が指差す方を見ると、長い髪を大きく揺らし、宿題を見せてもらおうと必死の連中に「何故自分でやってこないんですのぉー!!」と、怒っていた。

 誰かに頼れば大丈夫みたいな精神が気に食わないとかそのあたりだろう。


 実際ただ寝てるだけの志戸塚に被害は行って無い。

 と言うか志戸塚もまともに宿題をやってきてる人間なのだが。


 ちなみに話し方について「そのしゃべり方はお嬢様キャラを作っているのか?」と尋ねて、数時間怒られた男子もいる。

 藤森だが。


 実際のところは、委員長は本当にお嬢様で、話し方はメイドさんの話し方が移ったそうだ。


「とにかく、俺は絶対に見せない。他を当たれ」

「えーけっちぃな? どうせ飯田さんにゃあ教えてあげたんだろ?」


 クラスのほとんどはありえないと思っているのだが、こいつは俺と飯田が付き合っていると勘違いをしている。


 今まで面倒だったから一度も否定しなかったことも災いしているようだ。


「教えてない」

「嘘つけー飯田さん宿題を友達に見せてたぞ? お前が教えてなけりゃ飯田さんが宿題なんか出来るわけ無いだろ?」

「やってくるわけ無いじゃなくて、出来るわけ無い……か。お前も結構言うな。とにかく俺じゃない。他の奴に教わったとさ」


 志戸塚の名前を出さずに他のやつと言ったのは、人付き合いの嫌いな志戸塚に迷惑をかけないためである。

 その志戸塚は、来たときからずっと机に突っ伏し、寝ている。

 恐らく、誰か先生に呼ばれるまで顔を上げることは無いだろう。


「おいおい! 他のやつってか! 浮気じゃね? 神尾ってば破局のピンチじゃね?」

「うるさい……」

 本格的に藤森の相手をするのが面倒になってきた。


 するとその話題の人物が駆け寄ってきた。

「瞬君おはよー!」

「……おはよう」

「おっと、俺はここらで……」

 飯田が登場したことで、藤森がニヤニヤ笑いながら離れていった。


「瞬君! 今日学校終わったら皆でカラオケとか行かない?」

「行かない」

「えー……いこーよー」

「断る」

「なんで「夏休み終わりには……テストがあるよな?」……ごめんなさい。勉強します」

 絶対に忘れていたのだろうことを思い出させ、その話を終わらせた。


「もちろん教えてくれ「断る」……ぶー」

 飯田は渋々自分の席に戻っていった。


 しかしこのまま放っておいたらすぐに、じゃあテスト後に、とか言い出しそうだったので、席を離れ一時避難することにした。


「ふう……」

 逃げた場所は志戸塚の席付近。


「………………………………何」

「いや、お前の近く人いないし」

「………………」

「別に会話しようってわけじゃない。独り言だ適当に聞き流せ」

「………………」

「この夏休み、後半からは意外といろいろあって面倒くさがってられなかった」

「………………」

「まあ、充実した夏休みになったのかもしれない」

「………………」

「にしても、よく飯田に宿題を教えたもんだ。つかメール作成絶対大変だったろ」

「………………だ?」

「あん?」


 今まで無言を通していた志戸塚が何か言葉を発した。

「いつから飯田愛美を呼び捨てに?」


 飯田に対する文句でも聞けるかと思ったら、俺に対する疑問だった。


「夏休み最中」

「…………そう……とうとう」

「ちょっと待て。とてつもなく勘違いをしている。お前は」


 志戸塚にそういうことを言われるとは思ってもみなかった俺は、反射的に突っ込みを入れた。



 結局この後チャイムがなるまで、無言の志戸塚の勘違いを解くのに時間を費やした。

 8/19 なんとなく友達の名前変えました。

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