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黒い鳥さんと一緒。  作者: 蛇真谷 駿一
夏休みで一緒。
34/144

それぞれの心の中の話。

 少し真面目な話で。

 もうすぐ怪我が治るという朗報を聞かされ、始めこそ二人で喜びはしたが、その後なんとなく空気はギクシャクしていた。


 どちらも、治ったの事を考えていたからだ。



「……あ、鳥肉ねぇや。夜羽、俺は買い物行ってくるから、先に帰っててくれ」

「ん、わかった」

 妙な空気のまま、瞬は鍵を預け、バラバラに行動を開始する。






 瞬は夜羽と離れた後、ふと足を止めた。


 頭に浮かぶのは、やはり今後のこと。

 はじめから、なんとなく一緒に生活をはじめ、いつの間にか一緒が普通になっていた。


 まるで家族が生きていた頃みたいな感覚を持ってもいた。


 それでも、別れは来るとわかっていた。


 夜羽には夜羽の生活はあるのだ。

 夜羽が時折、窓の外を眺めていることも、外から別のカラスの鳴き声が聞こえるたび、複雑そうな顔をしていたのも知っている。


 やはり、元の生活の戻りたいと思うこともあるのだろう。



 夜羽がどういう選択をするのかはわからないが、それはどんな形であれ受け入れなければならない。



 ――――だとしても……。

「…………寂しくなる、な」



 それは、かつて瞬が家族を失ったときも言う事のなかった言葉。









 夜羽は家で寝転がり、考えた。


 瞬と同じく、今後のことを。


 それは、前にも考えたこと。

 そしてそのときは結論が出なかったこと。

 しかし、もうすぐ決めなければならない。


 そのために思い出す。


 自らの怪我の原因を。


 あの時、逃げ延びたのは自分だけ?

 周りは皆、死んでしまった?

 縄張りだった場所はどうなった?


 確認しに行くべきでは?


 もし仲間は無事で、縄張りも無事だったなら?


 自分はそこに戻るのだろうか。



 でも、シュンの家に安心感があるのも事実。

 シュンと一緒にいるのは嫌じゃない。

 むしろ楽しく感じてると思う。


 なら、ニンゲンはどうか?


 ニンゲンとして過ごしてきて、いいニンゲンがたくさんいるのもわかった。

 ニンゲンとも仲良くなることが出来た。


 でもワタシはニンゲンじゃない。


 いつまでもニンゲンの振りをしていると迷惑になる。


 ワタシはここを離れるべきではないのか?

 シュンとは離れなくてはならないのではないか?



 ――――だとしたら……。

「…………寂しい……」



 それは、夜羽が今まで生きてきて一度も使うことのなかった言葉。 









 買い物を終え、戻ってきた瞬と他愛もない話をする夜羽。



 決断の日が近いことを理解しながらも、彼も彼女もいつも通りの日常を続ける。

 えっと、シリアス風にしてみたんですが……なってましたか? シリアス。


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