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黒い鳥さんと一緒。  作者: 蛇真谷 駿一
夏休みで一緒。
32/144

ところで……気になる疑問。番外編?の話。

 矢島さんに全てを話し、現在夜羽は検査中で、看護師さんに連れて行かれた。

 もちろんカラスの姿で、だ。


「ところで神尾君。彼女と生活しているとは聞いたけど、実際夜羽ちゃんは人間としてどれぐらいの常識があるの?」

「あー、人間としてはほぼ皆無でした。一緒に暮らすようになってから徐々に教えていきましたんで。特に最初は大変でした。何か服を着るのが嫌いみたいだったんで」

「なるほどねー。それで、お風呂とかはどうしてるの?」


 瞬の動きが一瞬固まる。


「…………神尾君、まさか」

「いえ! 変な勘違いはしないでください! 体を洗うときはカラスの戻ってもらって洗ってます」


「じゃあ、何で今動揺したんだい?」

「う……それは……」







 瞬はあのときを思い返す。


 体を洗うとき、怪我のこともあり、カラスの姿で瞬が洗っていた。

 夜羽も元々水浴びは好きだったようで、文句も言わずに大人しくしていたのだが、ある日。


「シュン。いつもその部屋に入っては少し濡れてホカホカになって出てくるけど、何してる?」

「風呂だよ、お風呂。人間も体を洗うからね」

「ん、ニンゲンの水浴びか」

「あー、そんなとこかな?」


 適当な返事が良くなかったのだろう。



 次の日。


「ああ疲れた。何もしてないけど」

 いつものように風呂に入る瞬。

 しかし、いつもじゃ考えられないことが起こる。


「シュンー。ワタシも水浴びする」


 夜羽乱入。


 もちろん服など着てるはずもない。

「よ、よよよよ夜羽さんっ!!? なっなにをされてるんで!!!?」

「む? ワタシもニンゲンの姿で水浴び」


 激しく動揺しながらも、対処する瞬。

「い、いったん出なさい、てか、出てください!」

「ん? わかった」

 言われたとおり、風呂場から出る夜羽。


「そのまま、服を着て待っててくれ!」

「む? 何で? 水浴びでは服要らない。シュンも着てない」

「いいから!」


「むー……」

 渋々といった声とともに、服を着る音も聞こえる。


「そして、ちょっと別の部屋で待っててくれまいか!?」

「……ん」


 夜羽が脱衣所を出たのを確認すると、瞬は即座に風呂をあがり、体と頭を拭き、脱衣所を出る。

 出た先には、納得の行っていない顔をした夜羽が待っていた。


「ん、シュン。何で水浴びはだめ?」

「…………いろいろ教えなきゃならんことはいろいろあるが、とりあえず……」

「とりあえず?」



「俺が風呂に入っているときは入ってこないでくれまいか!!!!!」



 その後、いつもはカラスの姿で、怪我に気をつけながら体を拭いていおり、人間の姿で水浴びするとうまく体を洗うことが出来ないため、水が傷に響くということを説明し、最悪傷が治るまでは人間の姿で水浴びは禁止した。


 その際に「ニンゲンの姿でもシュンが気をつけて洗ってくれればいい」と言われたが、適当な理由をつけ、一蹴した。







 あれから何度か、水浴びはまだかお風呂はまだかと聞かれることもあったが、聞かなかったことにしていた。


「と、特に意味はないです」

「…………顔を真っ赤にしながら言われてもあんまり説得力はないんだけどね」

 うかつにも風呂場でのことを思い出してしまった事により、瞬の顔は茹蛸状態だった。

「うっ! でも、ほんとに何もしてないですから」


「まあ、疑っているわけじゃないけど。夜羽ちゃんも、あと数日もしたら完全に治ったといってもいいだろうね。大体、君の始業式あたりじゃないかな?」


「それならいいんです」

 その言葉に瞬はほっと胸をなでおろす。


 しかし、それもつかの間。

 いつから聞いてたのか、夜羽からとんでもない爆弾が落とされる。




「シュン! 聞いた!? あと少しで治る! 治ったら一緒にお風呂!!」


 矢島さん、そんな目で見ないでください。

 誤解ですよー……。



 その誤解を解くのに結構時間がかかった。

 もうちょっと前、初期のほうにやる予定だったやつです。

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