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黒い鳥さんと一緒。  作者: 蛇真谷 駿一
夏休みで一緒。
26/144

彼女の朝からの一日の話。

 最近更新が遅く申し訳ございません……。


 前半三人称、後半一人称です。

「ん……朝……」

 夜羽が目覚めたのは、ある部屋のベッドの上。

 その部屋はかつて瞬の両親が使っていたという部屋。

 今は整理され、夜羽がこの家ですごし始めてから使用している。


 最初は、夜羽自身、部屋に全く慣れなかったが、今はこの部屋に居心地の良さまで感じていた。

「……おなかすいた」

 寝起きで空腹の夜羽は、のろのろと瞬の部屋に向かった。



 時計を見ると八時を少し回ったところだった。

 瞬はこの時間いつも寝ている。いつもなら大体、後四時間は起きてこない。

 もちろんそれを空腹の夜羽が許すはずもない。


「おきろ……。ごはん……」


 夜羽の起こし方はいつも同じ。


 フライングボディプレスだ。


「ごはっ!!!」

「おきた」

「……お嬢さん……何度も言っていますが、その起こし方はやめていただきたい……。軽いとはいえ、高さがあると、厳しいのです」


 夜羽の体格が小柄なこともあり、体重自体は大した事はないのだが、彼女はわざわざこの一撃のためにカラスに戻り、傷も徐々に癒え、ほんの少し飛べるようになったのをいいことに、天井ギリギリまで飛び、そしてヒト化して落下してくる。

 そのダメージは絶大である。


「おなかすいた」

「………………はい」

 しかし彼女はそんなことは気にも留めない。


 とはいえ、夜羽のおかげで、瞬の夏休み中の狂った生活リズムは正されつつあるのも確かなのだ。



「で。今日はどうするつもりなんだ?」

 朝食後に瞬が尋ねる。

「ん、昨日とおんなじごろに公園に行く。ホタル待ってる。それまでは……散歩。……シュンは?」

「俺はー……今日は家で一日を過ごすかな。どっかに出かける気分でもない」

「ん。わかった。じゅーに時に帰ってくる」

 もちろん昼食のためである。

「あいよ。いってらっさい」

「いってきます……だったか?」

「ああ、合ってるよ」







 覚えている道を歩く。

 昨日は焦りとか緊張とか興奮とかで、道がわからなくなると言うミスをしてしまった。

 しかし落ち着いて冷静でいれば、ワタシは道を間違えたりしない。

「むぅ。昨日はたまたまだ! 特別なのだ!」

 誰となく言い訳をしてしまうのは、少しずつワタシがニンゲンに慣れていくことが出来ている証拠なのかもしれない。


「しかし」

 と、ワタシは改めて昨日のことを思い出していた。


 テンインはいいニンゲンだった。

 ホタルもそうだ。ワタシを仲間――トモダチとまで呼んでくれたのだ。


 では、近くにいたニンゲンはどうだっただろうか。


 正直なところあまり覚えていない。

 ワタシも気に留めなかったし、周りのニンゲンもワタシを気にするようなことはなかったと思う。


 ――そう考えると、ワタシがおかしいように思えてきた。

 今まで、どんなときでも周りの警戒を怠るようなことはなかったはずだ。


 たとえ相手が自分に興味がなくとも、縄張りに近づく奴は、敵対をしないまでも、警戒はした。

 なら何故昨日はそれをしなかったのだろう。


 この姿だからか?

 それとも



「無意識のうちに自分の縄張りをシュンの家だと思っている?」


 ワタシはつい、声に出してしまった。

 長いこと考え事をしていたのか、気づくと時間はあと少しで十一時五十分になるところだった。

 ワタシは考えないようにと頭を振り、急いでシュンのところまで走っていった。



 昼食をとり、時間になったので、ワタシはホタルとの待ち合わせの場所に向かった。

 待ち合わせ場所にはすでにホタルとシヤンが待っていた。

「む。またせた」


 ワタシが声をかけると、ホタルが笑顔で駆け寄ってくる。

 シヤンのほうはまだ少し警戒しているが、昨日よりはましなように思える。

「んーん? 待ってないよ? さっき来たとこ」

「ん。それで、慣れるため、とは何をするのか?」


 えへへーと笑いながら、ホタルはごそごそと何かを取り出した。

「じゃじゃーん」

「? これは?」

「フリスビーだよ!」

「ふりすびー?」

「うん。シヤンはこれで遊ぶの好きなんだ!」

 そう言って、ホタルはフリスビーを遠くへ投げ飛ばした。

「!? 何を」

 と、ワタシが言い切る前にシヤンが走り出し、飛んでいたフリスビーをくわえ、戻ってきた。

 ワタシはその様子をぽかーんと眺めてしまっていた。


「ね? 夜羽ちゃんもやってみる?」


「ワ、ワタシもとりに行くのか?!」

「いやいや、違うよ。投げてみて? こうやって、こう! ね?」


「……ん。こう……か!」

 ワタシの投げたフリスビーとやらは勢いよく飛んでいった。


「あ……」

 さすがに遠くに投げすぎたかと反省しようとした。

 が、それは無用の心配であった。


 ガシッ!

 シヤンはあっさりそれをくわえ、戻ってきたのだ。

 そしてそのフリスビーをワタシに渡してきた。

「む? もう一度やれと言うのか? イヌ。いや、シヤンだったな。お前は見かけによらずすごいやつだな!」

 こうしてワタシは何度もフリスビーを投げた。

 ホタルはその間、近くで笑いながら見ていたらしい。



「それはそうと夜羽ちゃん? 何か悩んでるの?」

 何度かシヤンとフリスビーをした後、ホタルがそういえばといった感じで尋ねてきた。

「ん……何でそう思う?」

「いや、なんとなく、だけど」

 わかりやすい態度をとったつもりはなかったが、確かに悩みと言えば悩みなので、ワタシは言葉を選びつつ、相談することにした。


「……前は、周りのニンゲンのことを気にしながらすごしてきたけど、最近はあまり気にならなくなった。それが、よくわからない。このままだったら危険が近づいても気づけないかもしれない」


 言葉を選んではいたが、それでも、妙な言い回しになってしまう。

 だが、シュンが事前にワタシには何か事情があると、ホタルに思わせていたおかげか、深く突っ込まれることはなかった。


「んーそれっていつごろから、かな?」

「…………シュンの家でくらしてから」

「だったら、単純に安心できる人が近くに出来たから、じゃないかな?」

「安心……」


「そう。たぶんだけど夜羽ちゃんは今まで頼るって事をしなかったんじゃない? だからいつも周りを気にしていた。でも、安心できる人――神尾さんが近くにいることで、少しづつ頼ることを覚えてきたんだとおもう」


「ワタシが、変わったということ?」


「うん。でも、変わることはいいことだと私は思うよ?」

「…………」


 ワタシは自分が変わったのかどうかよくわかっていなかった。

 自分自身では変わっていないつもりでもあった。


 それ故に、ホタルの言葉が衝撃だった。

「……それじゃ、私達かえるね? ……ゆっくり考えてみるといいと思う」

「あ、……また」

「うん、また明日ね?」



 家に帰ってもワタシはしばらく悩み続けた。


「…………? なんかあったのか?」

 シュンは何が何だかわからないといった顔で話しかけてくれた。


 どうも最近忙しいのと、無謀にももう一つ掲載を始めてしまったのあり、もしかしたら、今後も若干遅れてしまうかもしれません。


 すみませんが、長い目で見守っていただけると幸いです……。


 それと、もう一つのほうも読んでいただけるとありがたいです。

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