家での彼と彼女のそうだ、状況を整理しよう。の話。
帰宅するなり瞬は、倒れ込むように、ソファーに突っ伏した。
「ふー、なんか今日は疲れた……」
「ワタシはそれなりに楽しかった」
「……そっか。ならいいんだ。それより、一人になってからどんなことして過ごしたんだ? 高嶺さんとも何か話したんだろ?」
蛍にはさん付けはしないでいいと言われていた瞬だが、まだ慣れていないのと、本人がいないことで、つい、さんを付けてしまった。
「ホタルにはさん付けはいらないと言われてた」
「…………」
しかし、夜羽に注意され、沈黙してしまう。
「……いや、本人いないし」
「でも、つづけないと慣れるものも慣れない」
「…………」
その台詞は、夜羽に服を着させたり、動きの練習のときなどによく瞬が言う台詞。
もちろん、瞬がそれを聞かないわけにはいかない。
「……で、どんなこと話したんだ?」
正論には負けると判断した瞬は話を先へ進めた。
「……にげた。……いいけど。だいじょぶ。ホタルにワタシのことがばれるようなことは話してない」
「いや、それは別に……」
「?」
心底わからないと言った顔をする夜羽に、瞬はため息をつきつつ、
「友達との会話がどんなんだった? って聞いてるんだよ。楽しかったんだろ?」
「……一人なってからは、アイスクリームを買いに行った。……その時のテンインは、とてもいいニンゲンだった! ホタルとは、……イヌについて話したのと、一人で買い物できたこと話した。……楽しかった」
「そっか。よかったな?」
「……よかった」
それを聞いた瞬は満足げに笑い、
「あ、そういえば夜羽、歳聞かれたときすぐに答えてたけど、あんなもんいつ決めたんだ?」
気になっていたことを口に出した。
「ん、さっき。ホタルに歳を聞かれたとき。……だめだった?」
「いや、問題ないけど、意外と妥当な年齢だったから驚いただけ」
「ホタルが自分と同じぐらいに見えるって。だからホタルとおんなじで」
「なるほど……考えたなー」
素直に感心していると、夜羽が何かを聞きたそうにしている。
「?」
「…………シュンは一人になってから、何してた? イイダマナミと一緒にいた」
何故か半眼でこちらを見てくる夜羽に、瞬は戸惑いを感じながら答える。
「い、いや。たまたま夜羽とわかれた後に会って……てか、何か怒って、る……?」
「……別に」
「?? じゃ、飯にでもするか?」
「……ん」
状況をあまり把握できてない瞬。
空気はいまだ、妙に気まずいまま。
「ああ、そういえばケーキ買ってあったんだ。飯の後にでも食べるか?」
「……けー、き?」
その後、食事の後に出されたケーキに、夜羽はえらく感動し、夜羽の機嫌もその場の空気も一気に回復した。