彼女の初めての邂逅、飼い主と犬の話。
若干、各キャラが定まってない気がします。どうしたもんでしょうか……?
二段のアイスクリームを早々に平らげた夜羽は、道も気にせず、上機嫌で歩いていた。
「ん、テンインというのは悪い奴らばかりではなかった! あれはいいニンゲンだった!」
意気揚々と歩いていると、夜羽に大型犬が近寄ってきた。
「む、これはイヌ、と呼ばれるものだったはず。ニンゲンと共にいるイヌは愛想がいいと教わったぞ? どれ、少し触って」
「ワンワンッ!」
「う! 何故いきなり吠える。威嚇行動か!?」
「ワンワンワンッ!」
「お、おとなしくしろ。別に悪さするつもりなんてまったくない」
「ワンワンワンワンワンッ!!」
「……うっ。うぅ……な、何故ワタシはここまで……」
夜羽が若干、半泣きでいると女の子が走ってくる。
「シヤン! どうしたの? いきなり走り出して……ってコラッ! シヤン! 何、女の子を泣かしてるの! ほら、大人しくしなさい。……ふぅ、ごめんなさいね?」
「も、問題ない。それよりワタシは泣いてはいない」
「あ、うん。ごめん。私は高嶺蛍。中学三年生。蛍、って呼んでね? こっちはゴールデンレトリーバーのシヤン。あなたの名前は?」
「名前……夜羽」
名前を出すのに少し戸惑いを感じてしまったのは今まで名乗る、と言うことをすることがなかったせいだ。
「夜羽ちゃんね? よろしく。年は? なんか私と同じくらいに見えるけど?」
「トシ……今まで生きてきた年数? ……あなたは?」
「名前、蛍ね? 私は十五歳だよ?」
「じゃあワタシも十五歳」
「じゃあって……でも同じ中学じゃないよね? この辺の人じゃないの?」
「ん、ちがう」
そう、人、じゃない。
「旅行中か、親戚の家に遊びに来てるのかな? ……ま、いいか。とにかくごめんね? いつもはこの子吠えることなんてないのに」
「……もしかしたら、ワタシに何か感じたのかもしれない」
夜羽も自分の正体が人間にばれてはいけないのはわかっている。
だから、年齢を聞かれてもとっさには答えず、相手の年齢を聞いた。
自分と同じぐらいに見えると言うなら、その年齢に合わせた。
ただ、このシヤンという犬が何かを感じ取ったのなら、もしかしたら、ふとした事で人間にもばれてしまう事があるかもしれない。
夜羽は、若干の不安を感じ取っていた。
「え?」
「なんでもない。それよりホタル? なんかそのイヌ、さっきからずっとワタシを警戒しているよう。嫌われてる?」
「うーん。そんなことないと思うんだけど……。あ、大丈夫だよ。シヤンは人懐っこいから。すぐに慣れてくれるって」
「ん、ワタシも慣れてくれるといい。ワタシはイヌ、触ったことないから」
事実そうだった。
夜羽が元の姿で近寄っていっても、先ほどのように吠えられるか、警戒して近寄ってこないことばかりだった。
「そうなんだ。今時だと結構珍しいね? うん。そうだ! 私、夏休みの間はここにシヤンの散歩に来るんだ。もし時間あったら、会おう? 一緒にいる時間が増えれば、シヤンもきっと慣れてくれるよ」
「ん、むー。帰って相談してみる」
「わかった。じゃあ、私帰るね? 大体いつもこの時間にはここにいるから」
「ん……。あ! 待って!」
「ふぇ?」
「えと、ここ、どこら辺……?」
今まで気づかなかったが、夜羽がいる場所はいつもは行かない場所だった。
道も考えず歩き回ったせいで、自分がどこにいるのかわからなくなってしまったのだ。
「あー……迷子?」
こうして瞬の不安は当たってしまう。
犬さんは少しの獣の匂いに反応しただけ? です。