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黒い鳥さんと一緒。  作者: 蛇真谷 駿一
夏休みで一緒。
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彼の案内と彼女の冒険の話。

 一日間があきまして、すみません。

 次の日も夜羽は人間の姿のままだった。


「動きの練習する。置いてかれるの、や」


 どうやら、昨日待っていた間とても暇だったらしい。


 さすがに何度も言い聞かせたおかげで、今では何も言わなくても服を着てくれるようになった。

 それでも自分のサイズに合わない服を着ているせいか、あまりいい機嫌だとは言いがたい。


「じゃあ、そろそろ夜羽の服でも買いに行くか」

「また置いていくつもり?」

「いやいや。さすがに婦人服売り場に男一人で踏み入れる自信は無い」

「なんで?」

「いや、行けばわかる」

「?」




 結論から言うと、店についてから、服を買うまでは割とすぐ終わった。

 最初にまず夜羽には、店に入って俺以外の誰かから話しかけられたら、適当に返事をしてもらうよう言ってあった。


 これで妙なことを言って怪しまれることは無い。


 ただ、夜羽はまだ人の姿だと動きにくいようで、たまによろよろしていたので、そこは包帯していることと、予め「怪我をしているから気をつけてほしい」と店員さんに言っておく。


 これでいろいろ深く突っ込まれることも無い。


 そして、次は俺の話術で何とかするしかない。






 瞬は学校で、クラスメイトに自分から関りあうようなことはしない。だが、孤立するようなことは無い。

 適度な交流関係を築き、孤立するようなことがあれば、おそらく話しかけてくるクラスメイトはいるだろう。


 グループを作れといわれても、余りものになることはないだろう。


 ただそれは友達と呼べるものではない。


 卒業したら会うこともなくなるような薄い関係性。

 それでも学校で孤立してしまうほうが、自分にとって面倒なことになるのを理解している。


 瞬は人と会話が出来ないのではなく、普段は面倒なだけなのだ。






「怪我をして落ち込んでいる彼女に、いくつかプレゼントしたいのだが、彼女はファッションにはあまり興味がなく、大人しい性格で少し無口な子なので、コーディネートのほうをお任せしたいのですが」

「ま、おやさしい彼氏さんですね?」


 夜羽は言われたとおり、適当に首を縦に振った。


 その後も、夜羽は相槌を打つだけでよかった。

 と言うより夜羽は店員の勢いに押されているだけの様子だ。


 そして俺はその間、店員さんが選んだものを着た夜羽に感想を言い、買い物は終わった。

 終わってみたら結構な金額になって少し驚いたが、まあ気にするほどでもない。



「………………」

 ただ、夜羽はこれ以上ないといっていいほど疲れているようだった。

「だ、だいじょぶか?」

「……大丈夫に見えるなら、シュンはおかしい」


 すごい眼で睨まれてしまった。

 だいぶご立腹のようだ。


「でも、一人では入れそうにないってのはわかってもらったと思う」

「それはもう、十分すぎるほど」

「……どこかで休むか」


 夜羽は何も言わずにうなずいた。


 とりあえず近くにあったのは、自然公園だけ。

 この自然公園はかなりの大きさで、町の人の散歩の定番となっていた。


 と言う俺も暇なときは、よく中をふらつくこともあった。

 人ごみは嫌いだが、うまく探せば静かな場所は結構あるのだ。


 とりあえず、人通りの少ない木陰のベンチを探し出し、そこに座る。

 夜羽はよほど疲れていたのか、うつむいて黙ったままだ。



「(……さて、どうしたもんか)」

 と、少し遠くに眼を向けると、一台の車を見つけた。



「(ふむ、疲れたときには、というやつだな)」



 俺は即座に行動に移った。



 今後も更新ペースは落ちるかもしれませんが、見捨てないでいただけると幸いです。


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