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黒い鳥さんと一緒。  作者: 蛇真谷 駿一
修学旅行で一緒。
143/144

彼女の二日目夜の話。3


「うーん、夜羽ちゃん物覚えいいねぇ……」

「そうですの。大富豪、七並べ、ポーカー。ルールは簡単とは言え、この短い間に全く知らないことを覚えるとは」


 ユリカとヒトミが褒めてくれた。


「ん、楽しかったから」

 ワタシがそう言うと、それはよかったと言いながら、二人が笑った。


 色々話しているうちに、ノド、渇いた。

 水を飲もうとしたら、ユリカが、

「ああ、夜羽さん。でしたらジュースでも買いに行きますの。わたくしもちょうどのどが渇いてましたので」

「ん……お金ない」

「ふふ、それくらいなら買ってあげますの」

 笑ってそう言った。


 それを聞いたヒトミが手を上げて言った。

「あ、じゃああたしもー!」

「いいですよ? 何がよろしいですの?」


「え、あ、冗談だよ……ツッコまれるもんだと思ってたわ……」

「あら、そうでしたの」


 ちっちゃく笑うユリカ。

 よくはわからないけど、多分ヒトミをからかってたんだと思う。

 それをヒトミもわかったのか、唸りながら言った。


「うぅぅぅ……炭酸オレンジで……」

 そう言って、ヒトミはお金をユリカに渡した。


「ふふ、はい確かにお金を預かりましたの。では行きましょう? 夜羽さん。どれがいいかは見て選んだ方がいいですし。……すみません渡さんは飯田さんが戻ってくるかもしれませんので、お待ちしててほしいですの」

「いいよ。いってら」


「ええ、行ってきますの」

「ん。行ってきます」



 近くのジドウハンバイキまで行く途中、ユリカはニコニコしながら話しかけてきた。


「ふふ、どうですか? 修学旅行に来てみて」

「ん。楽しい。みんな一緒。……それに、シュンもずっと一緒だし」


 ……これからもずっと一緒……なのは、ダメなのをわかってるから……ダメになるまでは一緒に居たい……。

 そんなことを思いながら言ったけど、ユリカにはわからなかったみたい。


「それはよかったですの。これから先も楽しいことはたくさんありますので、期待していてくださいの」

「……ん」



「それにしても、飯田さんはいつまで……っ!?」


 突然ユリカが言葉を止めて、立ち止まった。


「?」

「あれは……一体何をやっていらっしゃるのでしょう」


 ユリカが見てた方向を見ると…………マナミが壁に頭をつけて立っていた。

 何をしてるのだろ?


 よくわからなかったので、聞いてみることにした。


「マナミ……どうかした?」

 ワタシが聞くと、マナミはじっとわたしを見た後、焦って声を出した。


「ぁ……え!? あ、えっと……な、何でもない……よ! うん! わ、私ちょっと外の空気吸ってくるね!」

「え? ええ、わかりましたの……」


「……………………」


「じゃ、じゃあまたあとでね!」


 そう言ってマナミは走り去っていった。


「……………………」


「はぁ……なんなのでしょう? …………? 夜羽さん? どうされたのですか?」

「……ん………………大丈夫。何でも……ない」



 ――なんだろう……さっきの、マナミがワタシを見る目は……。


 ――……ワタシが昔見たニンゲンみたいに……。


 ――……ワタシを……。




「――……怖がってた、目……?」

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