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黒い鳥さんと一緒。  作者: 蛇真谷 駿一
修学旅行で一緒。
140/144

番外編の話。――バレンタインの話。

本編書けし。

 ――――二月十二日。



「ッてなわけで、夜羽ちゃん! バレンタインは義理でいいんだ! 義理でいいからチョコをください!!」

「バレン……タイン……?」


 シュンのガッコウが終わった後、二人で散歩してたら、カツアゲに会って、話しかけられた。


 今シュンはコンビニで買い物してる。


「そう! あ、もしかして忘れてた? 本命はいい! 無理なのはわかってるから! でも義理なら! 義理チョコくらいならブフぁッ!!」


 ん、シュンが戻ってきた。

 カツアゲは蹴られた。


「事情はわからんが、むやみに夜羽に絡むな。教育上よろしくない気がする」

「ん、おかえり」

「おー」


「神尾ひどくね!? てか教育上て、過保護な親か!」

「ほっとけ。夜羽、とりあえず行くぞー。後、これと話したことは忘れることをお勧めする」


 と、言われた。


 けど……。


「むー………………」





 ――――二月十三日。



「え? バレンタインですの?」

「おっと、面白いイベントに目をつけたね」


「ん、そう。ギリとホンメイとチョコがあるのは聞いた」


 昨日の事をイチロウに聞こうとしたら、ユリカもいた。

 だから二人に聞くことにした。


「聞いたって……誰にですの?」

「カツアゲ」


「カツッ……ああ、藤森くんですの」

「ん」


 ユリカは一通り納得した後、考え出した。


「バレンタイン……うーん……えと、なんて説明したら……いいんですの……?」

「じゃあとりあえず僕が説明しようか」


「ん、よろしくイチロウ」


「うん。簡単に説明すると、女の子から好意を持っている男の子に、お菓子のチョコをプレゼントするのが、バレンタインだよ」

「日本での、ですのよ?」


 イチロウの説明にユリカが付け加える。


「わかってるって。あ、それでさっき言ってた本命とか義理っていうのは、本命がすごく好意を持ってる一人に向けて渡すチョコで、お世話になっているたくさんの人に少しだけ渡すのが義理かな?」


「…………むー……」


「えーっと夜羽ちゃんで言うと、いつもお世話になってて、一緒に居たいと思う人に、チョコレートをプレゼントするってとこかな」

「え、ちょ、それって一人しかいな」


「む……じゃあ、シュンにチョコ、あげる」


「やっぱりそうなるじゃないですの……矢島さんが何をしたいかがまるわかりですの……」

「はははー。あ、義理チョコは今回はやめておこうか」


 バレンタインの事を教えてもらったから、どこかでチョコ買う。


 ……お金、たりる……?



「あ、それでしたら夜羽さん、わたくしと一緒にこれからチョコを手作りしませんか? わたくしもやろうと思っていたところですし」

「つくる…………料理……?」


「そうですの。きっと神尾くんも喜ばれますの」



「ははは、そういう東城さんは誰にあげる予定で作るつもりだったのかな?」

「矢島さんうるさいですの!! 義理チョコあげませんのよ!!」


「おや、くれる予定だったんだね。ありがとう」

「あげませんけどね!!」



 イチロウとユリカがなんか話してたけど、ワタシは色々考えててほとんど聞いてなかった。


 ――料理……喜ぶ…………料理……そう言えば、続き教えてもらってない……。



「――羽さん? 夜羽さーん?」

「……む! 料理、する!」


「え、あ、そ、そうですの。わかりました。では行きましょうか?」

「ん!」



 そしてワタシはユリカの家についていった。







「夜羽さん!! 包丁を振り上げてはいけませんの!! ああ! そんな勢いで振り下ろしては……!!」






 ――――二月十四日。



 朝、ガッコウに行く前には渡せなかった。


 帰ってくるまで散歩に行くと、いつもの公園でアイス屋のテンインにあった。



「いらっしゃいませー」

「ん。……新しいの……」


「はいー。今日限定ですけどー」

「今日だけ?」


「はいーバレンタインですからー。『おねーさんからの友チョコアイス』が、一つ二百十四円ー。『おねーさんからの義理チョコアイス』が、一つ二千百四十円ー。『おねーさんからの本命(かも)チョコアイスケーキ』が一つ二万千四百円ですー。お値段は、全部二月十四日にかけてますー」


「…………かも……」

「ふふふふー、それでも買ってくださる常連さんはいらっしゃるんですよー?」


「そう」

「ふふふ、おひとついかがですかー?」


「んーん、そろそろシュンが帰ってくるからいい」

「そうですかーわかりましたー。あ、でしたらこれをもう一人の常連さんに渡しておいてもらえますかー?」


 そう言って、テンインから大きめの箱を貰った。


「? これは……?」

「いつもお二人にはお世話になってますのでーサービスですー」


「? そう」



 ワタシは箱を持って家に帰った。



「ぐずっ、お姉さん!! この『おねーさんからの本命(かも)チョコアイスケーキ』をください!」

「はいー、ありがとうございますー」



 む? アイス屋から泣いてるカツアゲの声がする……。

 …………ん、別にいい、かな。





「ただいま」

「おお、お帰り。散歩か」


 家に帰るとシュンがすでに帰ってきてた。

 シュンは洗濯物を畳んでる。


「ん、甘い匂い」

「ああ、学校で少しな」


「バレンタイン」

「……どこで聞いたかは、まあいいや。そうだよ……と言っても学校で飯田と東城さん、帰りに高嶺からもらったので三つだけだがな」


「……三つ」



「飯田は何か料理の練習で作ったものがチョコで、たまたまバレンタインデーと重なったから持ってきたって、しどろもどろに言ってた。別に疑ってないのにな」

「……そう」


「東城さんはほぼ全員分作ったのでーって言って配ってた。ただなんか俺にくれるときに『教えることはちゃんと教えてくださいの』って言われた……何でだろ」

「…………むぅ」


「高嶺はわざわざ作って待っててくれたっぽい。いろいろお世話になったからって。いい子だよな、相変わらず」

「………………」



「? 夜羽どうかしたのか?」

「……ん、別に」




「そっか……それはそうと……なんだその荷物」

「アイス屋のテンインからもらった。バレンタインでサービスって」


「…………そう、か」


 シュンは何とも言えないような顔をしてた。


「とりあえず開けて……お、これはチョコ……アイスケーキ……かな?」

「む? チョコアイスケーキ?」


「ああ、アイスで出来たケーキのチョコ味か。サービス品にしては凝ってるなぁ」

「ん『おねーさんからの本命(かも)チョコアイスケーキ』」


「へ?」

「『おねーさんからの本命(かも)チョコアイスケーキ』」


「…………あー商品名……?」

「ん。一つ二万千四百円」


「高っ!! 通常で買うとかなりなぼったくり……。さすがにこれはただじゃ貰いづらい……いや、それが目的なのか……?」


 シュンが頭を抱えて何か悩んでた。


 ――それよりも……ん。




「シュン、シュン」


「ん、おお……? どした」




「……む……ぅー…………バレン、タイン」

「……あ、チョコ……か? おぅ……ありがとう。うれしいわ……これもアイス屋さんで?」


「んーん」

「? じゃあ……」


「…………あけて」

「そうするか」


 シュンがゆっくりと紙を開いて箱を開けた。


「…………これは」

「ん……て、づくり」


「て、手作り!? いつの間に……! というか大丈夫だったのか!?」

「ん、ユリカに教えてもらった」


「東城さんのあのセリフはそれか!」


 頭をかきながら「明日謝っとかないと」って呟いてるシュン。



 ――……むぅ。


「……ね……それよりも、シュン――」


「お?」




「――…………はやく、たべて…………?」



「! お、おう……!」



 シュンがワタシが作ったチョコをゆっくりと食べる。


「……………………おい、しい?」

「……ああ、すごくおいしい」


「ほんと? シュン、喜んだ……?」

「もちろん。ありがとうな、夜羽」



「! ん!」











「それはそれとして、料理……大丈夫だったか?」

「ん、大丈夫。包丁は振り上げないのと振り下ろさないの覚えた」


「それは前に俺も教えなかっただろうか!? 東城さんほんとごめんなさい!!」

やってしまった。


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