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黒い鳥さんと一緒。  作者: 蛇真谷 駿一
修学旅行で一緒。
139/144

彼の二日目夜の話。2

大変、遅くなりました。


 ――ガラガラ


「……………………」

「……………………」


 夜羽の発言の後、一瞬静まり返った風呂場だったが、その後すぐに女湯の方に新たに人が増え、騒がしくなって夜羽の発言の詳しい意味を聞くことは出来なかった。


 俺と志戸塚は女湯の騒がしさを利用して露天風呂を出て、今、脱衣所を出たところだ。


 ちなみに、夜羽の発言の後も変わらず互いに無言のままだった。



「…………………………」


 ――――『ん。確かに――ワタシ、タツハ、なんか好き』…………か。


 夜羽が一体どういう意味で言ったのかわからない。

 そして、志戸塚はそれを聞いてどう思っているのかもわからない。


 ……ただ、何となくこう……モヤモヤする…………。



 一応、志戸塚には直接聞くこともできるが……。


 俺がそんなことを考えていると、意外なことに志戸塚から声がかかった。


「…………神尾、瞬…………」


「ぅお、どうした。声なんか出して」

「…………いや」


「あー……お前ももしかして実はさっきのこと気にしてるのか……?」

「………………と、言うか…………恐らく……」



「おおーい、二人とも! 遅かったなぁ! 今まで風呂だったんかー?」

「げ。藤森か。解放されたんだな。…………あー、それで……?」


「いや…………後でいい。また…………」

「あ、ああ」


 そう言って志戸塚はフラフラと藤森を無視して部屋に戻っていった。



「……む、無視された……ひどス」

「いつも通りだろ」





 まあ、俺も藤森の話を八割方聞き流してたが。

 ……しかし、志戸塚は、何が言いたかったんだろうか。










「何故だ……っ!! 何故俺は、こうも貧乏なのだ……!」

「藤森君は大富豪弱いですね」


「田中は強すぎだろ」


 夕食後部屋でトランプをすることになり、志戸塚も誘ってみたところ、珍しく参加してきた。

 しかし、あれ以降志戸塚はまったく口を開かず、目ですら会話をしようとはしてなかった。


 ちなみに、やったゲームはババ抜きと大富豪。

 ババ抜きではポーカーフェイスが得意な志戸塚と俺が勝ちを重ね、大富豪では商人魂なのかなんなのか、田中が圧倒していた。

 藤森はとことん弱かった。


 耐えかねたのか、藤森が倒れこんで口を開く。

「ダーッ! もうやめで! つーかーれーたー」

「負けに、ですか?」


「っせ!! ……あうー、誰かジュースぷりー」


 田中のからかいに軽く怒りながら、藤森が言う。

 確かに若干のどが渇いた気もする。


「普通は負けてたやつが買いに行くべきじゃ? てことで、俺スポーツドリンク」


「うっ! それもそうか……って、注文早!」

「それでは僕は炭酸飲料を」

「…………お茶」


 俺に続き、それぞれが欲しいものを注文しだした。


「えっ! 一人で行くのか? 寂しーんだけど」


 藤森が訳の分からんことを言い出したが、


「そか」

「ははは」

「………………」


 各自スルーで。


「ひでー!! えー……たなぽーん」

「はぁ、わかりましたよ」


「やりっ! オゴッチャルゼ!」



 ガチャッ!



 そう言って、二人は部屋を出た。




 そして必然的に、部屋には俺と志戸塚になった。



「……………………」

「……………………」


 やはりと言うべきか、二人きりになったら互いに無言になってしまう。



「………………少しいい……か」

「うお、おお」

 と思っていると、またも予想外に志戸塚から声をかけてきた。


「……最近気づいた…………僕は、動物に好かれやすい体質…………らしい」

「は? いきなりなんだ?」


 さっきの話の続きかと思ったら、全く別の話の様子。


「……さっきの事と、関係して…………………………いや、少々、メンドイが……ふぅ……長めに話す」

「え、あ、それはかまわんが、ほんとどうしたんだ……? 風呂でのことそんなに気にしてんのか?」


 もしかして結構、夜羽の事意識してる……のか……?

 そう言えば、夜羽とはよく声出して話すし……。



「どちらかと、言えば、気にしてるのは――」

「俺の方だ……って言いたいのか? まあ、間違いじゃないが……」


「まず、神尾……夜羽が僕に好意をもっているように言ったのは…………理由がある」

「理由って……わかってるのか?」


「……わかっている……だから、さっきの話」

「さっき? ……動物がどうこうってやつ?」


「そう…………」


 何が……言いたいんだ……?

 いや、まあ目で語りかけてくる分には結構話せるが、実際には話慣れてないけどさ。


 とりあえず、もう少し聞いてみるか。


「…………彼女は恐らく、人じゃない、んだろう……?」

「……え……?」


 …………今、何言った……?


「だから、彼女は、動物に好かれやすい体質らしい、僕に――――」

「ちょっ!! ちょっと待ってくれ!!」


「――――何を」


「何を……って――」





 何の前触れもなく志戸塚が放った一言に、俺は先ほどまでのモヤモヤも全て吹っ飛んでしまった。

読め、ましたでしょうか……?


正直ほんとに久しぶりなんで、かなり不安です。

何かあったらご一報お願いします。

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