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黒い鳥さんと一緒。  作者: 蛇真谷 駿一
修学旅行で一緒。
138/144

彼女の二日目夜の話。

結局またこんなに遅くなってしまいました……。

「みんなーそろそろお風呂いこー?」


「む…………お風呂」

「ええ、いいですね。そうしましょうか、夜羽さん」

「今日は大浴場にする?」


 マナミの言葉に、ユリカとヒトミが答える。



 昨日はユリカと二人だったけど、今日はマナミとヒトミも一緒の部屋。


「……お風呂、そこにある」

「あ、夜羽ちゃんも昨日は個室だったんだね? ここは他にもおっきな大浴場があるらしいんだよ!」


「そうね、まなちゃん。『大』浴場って言うくらいなんだから、大きいわよね」

「? どういう意味?」


「……なんでもないわー……」

「? うん」


 意味を聞いてみたら、マナミとヒトミが話し始めてしまった。


「むぅ…………ユリカ……つまりは、どういう意味……?」

「つまりですね。ここのお部屋にあるお風呂とは別に、皆で一緒に入る用の大きなお風呂もあるんですの」


「皆…………シュンも……?」


 む……ワタシが少し恐る恐る聞いてみたら、ユリカが少し固まってしまった。

 よく見ると後ろで話してたマナミとヒトミも少し固まってた。


 …………? わからないけど、大事なこと。


「……ユリカ……?」

「……あ、えっと、男性と女性は別ですから、大丈夫ですのよ?」


「そ、そそそそうだよ。混浴じゃないよ!?」

「夜羽ちゃんの大浴場のイメージ、混浴って…………神尾君は一体家で何を言ってるんだ……」


 ん、とりあえず一緒じゃないみたい。

 ……ただヒトミがなんかシュンのこと言ってたみたいだけど、なんだろう……?





「おおーほんとにおっきいね。早速入ろ?」

「飯田さん、先に体を洗うなり、かけ湯をするなりがマナーですのよ?」


「あ、うん。そうだったね。ごめんなさい」

「む、先に体洗う?」


 前に教えてもらった通りにやる。




 洗い終わって、お風呂に入ろうとしたら、マナミに止められた。


「夜羽ちゃん! あっちに露天風呂あるって! いこ!?」

「む、むぅ……? ロテン?」



 ワタシは裸のままマナミに引っ張られた。




「ほわぁ……ここも広いねー」

「外に……お風呂……」


「夜羽さん、そういうのもありますのよ」

「そう……ん? ヒトミは?」


「渡さんは先に中のお風呂に入るそうですの」

「二人とも早く入りなよぅ」


「ん」

「ふぅ、わかりましたの」





 ――――ちゃぽん…………。



「ふぃー……いいお湯だねー」

「ん」

「そうですのね」


 ……………………。


 少しの間、静かになった。



「ねね夜羽ちゃん! お話しよ?」

「ん? ……ん」


 そしたら、マナミが少し焦ったように話しかけてきた。


「ふぅ、飯田さんは沈黙が耐えられないようですのね」


 ユリカの言葉を無視してマナミが話してくる。


「えっと、昨日今日で思ったんだけどさ。志戸塚君って夜羽ちゃんとはちゃんと話すよね? なんでだろ」

「む……それは、タツハの考えだから、わからない……」


「あ……そ、そうだよねー」


「飯田さん…………」

 む。ユリカが頭を押さえて息を吐いた。



「えー……っと……後はー…………ね、ねぇ夜羽ちゃん」

「ん?」




「えっと…………今日、なんか機嫌悪かったけど、どうしたの……?」


「む……?」


 機嫌……悪かった……?


 ワタシは、そうだったかと思い返していると、ユリカが少し焦ったように声を出した。



「飯田さん…………っ!!」

「あ、や、ごごめん……! でも、やっぱり気になって……」


 むぅ……やっぱりよくわからない。


 聞く。


「ねぇ…………」


「「はい!!」」


 二人そろって返事した。


「機嫌……悪かった……?」


「あ、自覚なかったんだ……」

「……だとしたら、深く追求すべきではないのではありませんの?」


「………………」


 ワタシが機嫌悪かったなら……何で?



 ん…………。



「……やっぱり、シュンとハクが一緒だったから…………?」


「「「!!?」」」


「ん……? どうかした?」

「あ、ううん……?」

「ええ……意外とはっきりおっしゃったことに驚いて……」


「……………………」


「ん、そう」




 ……………………。


 また、静かになった。



「……うん! そうだ! 話を戻そう! 志戸塚君が夜羽ちゃんとはちゃんと話すことは置いといて。夜羽ちゃん自身も結構、志戸塚君に話しかけるよね?」

「ん、タツハ。いいニンゲン」


「人間って! まあいいけど。瞬君とも仲いいけど、志戸塚君とも仲いいんだね?」

「ん……そう、なの……?」


「そう見えるけど? ね! ゆりかちゃん!」

「ええ、そうですのね。少なくとも飯田さんよりは数段仲が良さそうに見えますの」


「酷いっ!! 新事実! ゆりかちゃんは意外と毒舌!!」

「失礼な」


 ユリカとマナミが話してる間に少し考える。


 言われてみれば……他のニンゲンと比べると、最初からいいニンゲンだと思ってた気がする。








「ん。確かに――ワタシ、タツハ、なんか好き」





「「「……………………え…………?」」」

「…………………………」



 む、さっきまで話してたマナミとユリカが固まった。


 ……そしてまた、静かになった。








 ――――ちゃぽん…………。


 …………ふぅ、オフロあったかくて気持ちいい……。

 確かこういう時は「いいお湯」って言う。




「ん……いい、お湯……」

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