彼の帰還の話。
本当に……大変遅くなりまして……申し訳ありません!
白姉と別れ、俺はそれなりに早足で戻った。
急いで戻るのは正直、面倒くさいが、大分待たせてしまってる自覚はあった。
――っと、いた。……てか、ずっとそこで待ってたのか。
目視できるあたりまで来たので、早足をやめ普通に歩いて向かう。
すると、どうも夜羽が最初に気づいたようだ。
「! ……シュン」
夜羽の呟きで、他のみんなも気づいたのか、一斉にこっちを向いた。
少しびっくりした……って、なんか増えてる……?
よく見ると、困り顔の志戸塚に絡んでいる藤森がいた。
どうやら、無事に合流できたらしい。
……多分偶然だろう。
「悪い、遅くなっ、だっふ……っ!」
とりあえず遅くなったことを謝ろうとした途中、腹部に衝撃が加わった。
「……夜、羽……さん……?」
夜羽嬢がタックルをしてきたのだ。
その後、ぐっと力を込めながら抱きしめてきた。
そして一瞬ざわめく周り。
……本格的になんなんだろうか。
と考えてたら、夜羽はゆっくり顔を上げ、
「……シュン、おかえり。……もう、どこにも、行かないで……」
そう、上目づかいで言ってきた。
「…………夜羽……」
俺は夜羽の頭をゆっくり一撫でして――。
「言わせた奴、名乗り出ろ」
ある程度の目星をつけ、他の連中に目を向けた。
一見して……。
東城さん、ポカーン。
渡さん、同じくポカーン。
飯田、わたわた。
志戸塚、シーン……。
藤森、ニヤニヤ。――こいつだ。
「よしわかった。藤森、後で少し顔貸せ」
「早速バレた! とりあえずヤです!」
「ははは、そんなの……通用するわけ、無いだろ?」
「いつもは絶対に見ることのないすっごくいい笑顔!!」
藤森への報復行為は後にまわすとして、とりあえず夜羽を戻すか。
「夜羽ー」
「ん……? シュン、喜んだ……? ショーシンのトッコーヤクになった……?」
「…………」
俺はもう一度夜羽を一撫でしながら、吹き込んだ張本人を見る。
「……おぉぅ、人の後ろに黒いオーラが見えるってのは漫画とかで読むけど、実際にはこんな感じなんだなぁ」
――――その、黒いオーラとやらにこの後お前は死ぬほど苦しめられるがな……。
「……げ、幻聴……かなぁ……? ……さて、遺言遺言っと」
「わかったって夜羽、もう別行動はしないから、いったん離れてくれ」
「ん」
小さく返事をして、ゆっくり離れる夜羽。
それでも、俺の隣にいることに変わりはないが。
まあこれで、一応ゆっくり話ができる。
見てた側もそう判断したのか、東城さんが声をかけてきた。
「神尾くん」
――お話の方……どうでしたの……?
声をかけてきたうえで目で語りかけてこないでいただきたいが。
「ん? ……ああ、別に大した話じゃ無かったよ。気にしないどいて」
――嘘だってバレてたけど、言いたくないなら別にいいってさ。だから、何も話してない。
「そう、ですの……」
「心配してくれてありがとう、ゆっぴー」
「ゆっぴーって言わないでくださいの!!!」
「うぉ!」
な、なんかめっちゃ怒られた……。
最近は容認してくれたように思ってたんだがなぁ。
夜羽にもしばらくは言わないように言っとくか。
てなことを考えていると、渡さんが東城さんをなだめながら話しかけてきた。
「はいはい、ゆりちゃん落ち着いてー。神尾君も気にしないでねー? 藤森君のせいで気が立ってるのよ」
……そうか、奴はまだ罪を重ねるか。
「なっ!! 渡さん! 何故話したー!!」
「え? ああ、そうだね。勝手に話すのはよくなかったね、謝るわ。……大変遺憾に思っております」
「謝ってる感がまるで無ぇ!?」
会話に入るのが途中で面倒くさ……会話に入りそこなったので、とりあえず少しの間、仲のいい二人の漫才を見てることにした。
なんか夜羽は夜羽で藤森を無視して今は東城さんと話してるし。
……それはそうと、もう一人騒がしいのがいるはずなんだが、まだ喋ってないな。
難産故にちゃんと書けてるか不安ですね。
感想お待ちしております!!