副会長の客観的視点、の話。
大変、遅くなりました!!
ごめんなさい!
神尾君が幼馴染の立花さんに連れてかれて少し経った。
あたしとまなちゃんとゆりちゃんは、適当にお話をしながら、志戸塚君はどこから持ってきたのか、本を読んでいた。
そして夜羽ちゃんは――――。
「……夜羽ちゃん、瞬君たちが歩いてったほう見ながらずっと待ってるね?」
「そうですのね。どこかで座って待ちましょうと言っても、「いい。ここで待つ」の一点張りでしたし」
――そういうゆりちゃんも、時々心配そうな顔してチラチラ歩いてったほうを見てたり。
……そう言えばさっき神尾くんが連れてかれるときも、出来るだけ止めようとしてたみたいだし、なんかアイコンタクトをしてたような気も……。
おっとー? 最近のゆりちゃんの反応的に、神尾君には脈なしかな? とか考えてたけど……どうなんだろ?
新たなライバルになりそうな人物の登場で、意識しだしたとか……?
むむー……ここは不本意ながら、藤森君の到着を待つばかり。
…………って、誰も連絡してないからこれないんじゃ……いや、藤森君なら来るかも。うん。
……それにしても、対照的に……。
「うーん、瞬君と白ちゃん。何話してるんだろうねー?」
まっっっっったく危機感がない……まなちゃんてば。
まあ多分、神尾君が『白姉』って呼んでたから、家族みたいなものだと思っちゃってるんだろうけど……甘いよーまなちゃん。
実際に家族ではないんだし、遠い親戚の夜羽ちゃんだってライバルなんだから、幼馴染だって候補にはなるのよー!
……って言いたい!
「……さすがにそれは違反だもんなー」
――『見守る会』の。
「え? 何がですの?」
「え!? あ! や! 何でもないの! ただあんまり単独行動しすぎると違反かなーなんて」
「そうなんですのよ。神尾くんたら困ったものですの」
「まーまー、これは仕方ないって、ゆりかちゃん。それに誰が悪いわけでもないし」
「まあ、そうですけれど」
ゆりちゃんはそう言ってちょっとだけ不服そうな顔をしてた。
うーん、何を隠してるのかなー? …………今日の夜が本番だわ。
「それはそれとして「遅れて登場! 藤森宗一だぜ!!」……え? 藤森君?」
え、ほんとに来た。
「あ、藤森君、課題お疲れー。遅かったね?」
「いや、遅くもなるて! 誰もどこにいるか教えてくれないんだもの!」
「え!? ゆりかちゃん、ほんとに教えなかったの!?」
「ああ、そう言えば電源切ったままでしたの」
「まったく悪びれなし!? 他のみんなも連絡くれないし!」
「……あ、私、藤森君の番号知らないや……ゴメンね?」
「ああ、知らなかった飯田さんは仕方ない。うん」
「あ、あたしは知ってたけど、電話かけたくなかったや……ゴメンね?」
「ああ、かけたくなかったなら仕方な……くないよーっ!? いぢめか!」
「ゴメン、ほんとは番号知ってるの普通に忘れてた」
「それはそれでひでぇ!!」
「カツアゲ」
と、ここまで黙って神尾君たちを待ってた夜羽ちゃんが藤森君に声をかけた。
「おおぅ……よ、夜羽ちゃんや……それは誤解だと言ったはず――」
「うるさい」
「え……」
「うるさい」
「…………ご、ごめんなさい」
そして夜羽ちゃんは再び元の場所に戻った。
その様子を見ながら、若干涙目になった藤森君が私たちに近づいてきくる。
「…………な、なんで夜羽ちゃんはあんなにご機嫌斜め……?」
「……とりあえず説明するから、ちょっとこっち」
あたしは藤森君を引っ張って少し離れた場所で、状況を簡単に説明した。
「……マジか……そんな面白そうなことになってるのか」
「こう言ったらあれだけど、うん。面白いことになってきてる」
「今の各状況は、渡さんの主観だと、夜羽ちゃんはなんか嫉妬してるっぽくて、委員長もどっか気が気じゃない、という感じか」
「あくまであたしが見た限りだけどね」
「で、飯田さんは逆に何も気にしてないと」
「……それは間違いないわ」
あたしは暢気そうなまなちゃんを見て軽く頭を抱える。
そんなあたしを見てか、藤森君は軽い感じで、
「んじゃ、ま、見守る範囲を超えない程度に……引っ掻き回すか」
と言いのけた。
「え?」
少し驚いてる間に、まなちゃんとゆりちゃんの所に歩いていって、
「おーい、ゆっぴー」
夜羽ちゃんに怒られないくらいの声で話しかけた。
「藤森くん、ゆっぴー言わないでくださいの」
「はーい……にしても、ここ最近、神尾は委員長の事を大体ゆっぴーって呼んでるのに、全く注意しないよなー」
……そ、そういえば確かに神尾君がゆっぴーって呼んでも何も言ってなかった……かも。
……藤森君よく見てるなぁ。
「なっ!! そ、それは……」
「ま、別にいいけど」
「――っ! ……」
ゆりちゃんは何か言いたそうな顔をしながら、口を閉じてた。
その後藤森君はまなちゃんのとこに。
「あ、そうだ、飯田さん」
「ふぇ? なに?」
「幼馴染の女の子って、なんかこう……トキメクよね」
「………………え、それってどういう」
「俺の考えだけどさー。んじゃ、ちと夜羽ちゃんとも話してくるさー。じゃねー」
「ちょっ! 待って! 今のどういう意味!!?」
…………今のは、確かに……藤森君が自分の思考をさらしただけ……なんだけど…………あ、まなちゃんが何やら考え込みだした……。
今度は夜羽ちゃんのとこに恐る恐る歩く藤森君。
あれだけ嫌われてるっぽいのに、良く近づけるなぁ。
「おーい……か、神尾、夜羽……さん?」
「……何」
「いや、そんな睨まないでよ。誤解なんだって。後で神尾とか志戸塚に聞いてみてよ」
「………………」
「む、無視ですかー。それより、神尾の事だけどさ」
「……む……」
あ、今の今まで目も合わせなかったのに、藤森君の方向いた。
「――――――」
「………………本当……?」
藤森君が夜羽ちゃんに小さく囁いてた。
なんて言ったか聞こえなかったから、後で聞かないと。
「まあ、びっくりするとは思うけど、嫌な顔とかはしないと思うぜー?それに聞いた話だと、なんか重そうな話っぽいし、傷心には特効薬さ」
「ショー、シン? トッコーヤク? ……とにかく、やってみる」
「おうさ」
そう言ってフラフラとあたしの所に戻ってきた。
「どうよ、これくらいなら、おっけーだろう。夜羽ちゃんはちょっと外すとして」
「……うん。確かに、ゆりちゃんには事実しか言ってないし、まなちゃんには藤森君の考えしか伝えてないね……何気ない会話をしただけなのに、随分さっきまでと二人の表情が変わってるわー……」
さっきまで神尾君たちの事をあんまり気にしてなかったまなちゃんは、神尾君が戻ってくるのをそわそわしながら待ち始めたし、ゆりちゃんはゆりちゃんで何か悩みだした。
「我ながら、完璧な引っ掻き回しっぷりだと思う」
「……普通は褒めちゃダメなんだけど、ちょっとすごいと思ってしまったわ」
ちょっとだけ到着を待っただけのことはあるわ。
「……それはそうと、夜羽ちゃんには、なんて言ったの?」
「んー? それはまあ……神尾が戻ってくんのを待ってればわかるさね」
…………藤森君は、ただ見守るんじゃなくて、膠着したら少しだけ動かしたりする。
多分、逆に大きく進んだりしたら、少しだけ歯止めをかけたりもしそうな気もする。
……とりあえず、あたしはあたしで、しっかり見守ってみようかな。
結構、難産でした……。
何かごちゃごちゃしちゃったかもです。
藤森のせいです。
今後も遅れるかもしれませんが、今回みたいに遅れることのないようにしたいと思います!!
感想お待ちしております!!