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黒い鳥さんと一緒。  作者: 蛇真谷 駿一
修学旅行で一緒。
130/144

修学旅行での彼の心境の話。

また徐々に遅れ始めるやもしれません……。


頑張りますけどね?

 一通り落ち着いた東城さんは、コホンと咳払いをして、話し出した。


「さて、飯田さんに渡さん。どこか見て回りたい場所や行きたい場所はありますの?」

「ふぇ? えっと……ゆりかちゃん、なんで私たちだけに聞くの……?」


「あら? 夜羽さんは急遽参加することになりましたので、行きたい場所なんてものは特にないと思いますけれど?」


「あ、ううん。そうじゃなくって「まなちゃん」……瞳ちゃん?」


 渡さんはちらりとこちらを見て、

「察しなさい」


 と言った。


 それに飯田も釣られるようにこちらを見て、

「……あ。えっと、そうだね……どこ行くか考えるとか……面倒くさいね、うん」

 納得されてしまった。



 俺と志戸塚は軽く目を合わせて、溜息を一つ。


「否定は出来ないが、どうもなんか釈然としないもんだな」

「………………………………」


 ちなみに夜羽は俺の隣でキョトンとしながら待っていた。



 と、三人が行き先について話し合っていると、志戸塚が動き出した。


 そして三人に近づいていき、


「? 志戸塚くん? どうかしましたの?」


「………………」


「え!? そ、そうですの……なんかごめんなさいでしたの」


 ……どうやら何かを東城さんに伝えたようだ。

 それにしても声を出すのが面倒ってのは生きてくのに厄介過ぎないだろうか。



「……え? え? 何? どういう事? なんで今ゆりちゃん謝ったの……?」


 状況を把握し切れてない渡さんは戸惑っていた。

 飯田はさすがに慣れてしまったのか、苦笑いで志戸塚を見ていた。


「瞳ちゃん。ゆりかちゃんは志戸塚君の伝えたいことを目で見てわかるんだって」

「何それエスパー!?」


「そんなことありませんの。やろうと思えばだれでもできますのよ」

「そんなわけな――」


「志戸塚、今何言ったんだ?」

「………………」


「へぇ、そんなことまで調べてるとか、意外と楽しみにしてたんだな」

「………………」


「ああ、お前本好きだからなぁ」


「――……あたしがおかしいのかな……」

「ううん、そんなことないよ。私も全くわかんないし……」




「一応神尾くんにも聞きますの。どこか行きたい場所はありますの……?」


「ああ、まあ…………いや、特にはなし」

「……何かありそうな感じでしたけれど?」


「いや、行きたいわけじゃないんだ。ただ……ちょっとな……」

「あの……大丈夫、ですの?」


「ああ」



 俺は東城さんから軽く目をそらし、ポケットに入れてあった手紙にそっと触れる。





 ――……あの時、俺の事を一番気にかけてくれてた人と、その家族。

 でも俺は自分のわがままを突き通した。


 あれ以降、会う機会はなかったが、何度も手紙は貰ってた。


 ただ、その手紙も返事は今までしてなかった。

 と言うより、出来なかった。


 何て書いたらいいかわからなかった。もしかしたら、変に気を使わせるんじゃないかと考えたから。

 ……いや、言い訳をいろいろ考えたところで、結局は単に面倒くさかっただけなのかもしれない。


 

 ただ、修学旅行の行き先がこの町になった時、反射的に面倒なことになりそうな気がした。


 会いに行くと決めたわけじゃないし、会えるとも限らないのにだ。


 その後、修学旅行までの間、色々考えて、貰った手紙を一つ持っていくことにした。



 修学旅行中に決心がついたら、手紙の住所に会いに行こうと。



 手紙の返事もしてないくせに調子の良い奴、とは自分でも思うけど、今なら相手に気を使わせないことができると思う。


 ……あの時と違って、一人じゃないわけだし――。


「シュン……?」


 東城さんとの話の最中に黙ってしまった俺を、夜羽が心配そうに見上げてくる。


 俺は、軽く頭に手を置き、

「大丈夫だ、何でもないよ。……東城さん、てことで俺はどこでもいいよ。……考えるの面倒くさいしな!」

 夜羽と東城さんに告げる。



 東城さんは、少し俺の顔を見つめた後、話を進めた。

「……では、特にほかに意見がなければ、志戸塚君の希望である町長さんに会いに役場まで行ってみますの」



 で、役場に向けて歩きだす。


「ね、シュン。そのちょーちょーさんって?」

「ん? この町の……偉い人かな? 志戸塚はこの町の昔話とかに興味があるらしくてな。でもこの町、昔話や伝承が有名なくせに、目立った図書館みたいのはないから、そういう本を多く保管してるらしい町長さんを訪ねたいんだと」


 夜羽は俺の話を聞き、後ろを歩く志戸塚に近づいて行った。


「ん、タツハは本が好きなの?」

「……そう……」


 相変わらず志戸塚は、夜羽相手だと結構話すんだよな。



 …………………………。



「神尾く……ん? どうしましたの……?」

「ん? 何がだ?」


「いえ、何か機嫌が悪そうでしたので」

「……え、俺が? 今そんな顔してたのか?」


「ええ……本当に大丈夫ですの?」

「あ、ああ、や、大丈夫だって……」





 ……? 俺が機嫌悪そうな顔? ……何でだ……?

読み直しや、感想などで、今頭の中にある話で進めて行っていいのか、若干悩み気味です。




……感想お待ちしております!!

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