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黒い鳥さんと一緒。  作者: 蛇真谷 駿一
修学旅行で一緒。
129/144

修学旅行二日目朝、だけどいつも通りの話。

本編再開!

 二日目、この日は夜の決められた時間までの丸一日、自由時間となっている。(藤森は別)


 とりあえず近くにいる同じ班のメンバーである東城さんに声をかけた。

「…………なあゆっぴー」

「なんですの?」


「丸一日自由って、どういう日程なんだ? てかそもそもこの修学旅行って何日あるんだ?」

「修学旅行始まって二日目にそんなことを聞かれるとは思いもよりませんでしたの!!」


 大げさなリアクションで驚かれた。


「なんだよ」

「しおりを見ないにもほどがありますの! と言うかまさか修学旅行が何日間あるかさえ知らないとは」


「色々読むの面倒くさくて」

「彼もそうでしたけど、あなたも大概ですの……」


 誰と比べてなんだろうか……と思ったけど、俺以外の面倒くさがりは一人しかいなかったわ。

 ちらっとその比べられた面倒くさがりを見るが、飯田に絡まれてたからスルーすることにした。


 ちなみにこの班のメンバーは、俺と志戸塚と藤森、飯田と東城さんと渡さん。

 と言った結構なコアなメンバーだ。


 決めたのは東城さんらしい。


 藤森はもちろん一人寂しくお勉強だ。さっき泣いてた気もする。

 今日の分の課題が終わり次第、途中から合流してくるらしい。



 そしてそれともう一人……じゃなくて一羽(・・)


「ん、シュン。家にあった紙に『四泊五日』って書いてあった」

 今俺が知りたがってた情報を教えてくれた、プラスワンゲストの夜羽だ。


「そうなのか」

「…………学校に通っているはずの人間の神尾くんが知らなくて、本来は部外者の夜羽さんが知っているというのは、どういうことなんでしょうね」


「それはさておき、なんか四泊五日って長くないか?」

「さておいてはダメなのですが、そうですね。本来わたくし達一年生は、三泊四日で二年生が四泊五日、三年生で五泊六日と言うことになってはいますが……」


「が?」

「が?」


 夜羽が俺の真似をしてリピートする。


 そんな俺たちを見て東城さんは、軽く沈みながら言う。

「………………毎年、近場を引き当ててしまった不憫なクラスは、通常より一日多くなってるんですの……」


「……あー、そっか。そりゃよかった。一日長くなるのか。うれしいわ」

 そうか、日にちの話は地雷だったのか。


 そんな東城さんを見て、何も知らない夜羽が声をかける。

「む? ユリカどうしたの?」

「……いえ、大丈夫ですの」


 そんな二人を見て、昨日の夜に俺がした、覚悟しておけ発言を思い出し、励ましついでにからかうことにした。


「夜羽、ちょっと……」

「む?」


 てててっと近寄ってきた夜羽に耳打ちをする。


「……………………ん、わかった。そう言えば、いい?」

「ああ」


 俺の言葉を聞き、また東城さんの元に駆け寄る夜羽。



 そして、



「ん……ゆっぴー、元気だして」


「……はい、ありが……っ! ゆっぴー!!?」


「ん、シュンの言うとおり、元気になった」

「ははは、だろ?」

「神尾くんの仕業ですのね!? びっくりしましたの!」


「はっはー、昨日覚悟しておくように言ったサー。夜羽、その呼び方の方が元気になるからそれでいこう」

「ん、わかった」


「やめてくださいですのー!!」

「え? でもここ最近俺がいくら『ゆっぴー』って呼んでも、特になんも言ってこないし」


「――――っ!! そ、それは!!」


 東城さんは顔を真っ赤にさせながら口をパクパクさせていた。

 それを見た夜羽がまたゆっぴーと呼び、当人はワタワタする。


 見てて結構面白い。



 しばらく観察していると、渡さんが近づいてきた。

「うーん、神尾君はゆりちゃんいじるの楽しそうだねぇ」

「あんなに反応が面白いのが悪い」


「あはは、それは確かに。それにしてもなんかからかい慣れてるね」

「あー……そりゃまあ、回数こなしてる……からか?」


 そんなことを話してると、後ろからボソッと「……いいな……」と言う声が聞こえた。


 それを聞いた渡さんが即座に反応し、くるっと回って、呟いた人間を見る。


「んん? まなちゃんは何に対して『いいな』と言ったのかな?」

「わわっ! 瞳ちゃん聞いてたの!?」


 飯田愛実である。

 先ほどまで絡まれていた志戸塚はちょっと離れた場所に立っていた。


「俺も聞いてた」

「ええ!? 瞬くんも!?」


 驚く飯田を見て、さらにからかい始める渡さん。


「聞いてたよー。それで? 何にいいなと思ったのかな? まなちゃん。……まさかと思うけど、いつもいつもからかわれてるゆりちゃんが羨ましいと……?」


 楽しそうだ。……今は暇だし、俺も乗っかるか。


「そそそそんなんじゃ……!」


「へー、そうだったのか。からかわれてる姿を見て羨ましがる……ふむ、つまり俺にからかわれたいと」

「ふぇぇ!? 私は、そんなぁ……!」


「ふんふん、なるほど、まなちゃんはMッ気があると」

「へぇぁ!? 違っ……瞳ちゃん!! 瞬君、違うからね!!」


「はははーわかってる。心配しなくても、時期を見てめちゃくちゃからかってやるとも。じゃ、そゆことでー」


 そう言って、俺はその場を離れる。


「みゃぁぁぁ!! 全然わかってないよぉ!! 瞬君待ってぇっ!!」



 適度にからかったし、オチとかトドメとかフォローとかは、渡さんがやるだろう。

 


 てかそろそろ出発しないと、時間がもったいない気もする。


 いい加減東城さんを元に戻さんと。




「…………………………」

「なあ、志戸塚。お前も見てないで、時間がもったいないことを東城さんに伝えてくれてもいいと思う」


「…………」

「『メンドイ』……ね。お前ならそう言うよな」


 さすがにこれは目を見なくてもわかる。



 ちなみに志戸塚は朝起きてからまだ一回も言葉を発してない。

以上、夜羽にゆっぴーと呼ばせたいと思っただけの話でした(笑)


あ、それとちょっとだけあとがき小話


 ――神尾瞬離脱後の二人の話。


「はぅぅ、瞬君行っちゃった……」

「大丈夫だよ、まなちゃん。神尾君は私と一緒になってまなちゃんをからかっただけだから」


「それはそれで複雑な……いつの間にそんなに仲良くなったの?」

「え? 即席でコンビ組んだだけよ。打ち合わせもしてないし」


「そっちの方がすごい!!」

「ありがと。…………それにしてもさぁ」


「? どしたの? 瞳ちゃん」



「いやいや、Mッ気って言葉、普通に知ってたね。反応から察するに、意味も。藤森君の言った通り、まなちゃんはちょっとエロい子なんだね」



「――っ!? ――っ!! やめて! その認識!!」



 終わり。



かんそうおまちしております!!


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