番外の話――公園七日間。月から水の話。
リクエストにあったお話……になってたらいいなって話です。
――月曜日、神尾瞬の場合。
はぁ……なんだって藤森に連れまわされなきゃならんのだ……。
おかげで少し遅くなった……。
あー夜羽のやつ怒ってなきゃいいけど。
「……まあ、仕方ないか」
そう呟いて公園を突っ切る。
「あー……冷蔵庫なんかあったか「どうもー常連さんー」………………さっさと帰らなきゃ夜羽が怒るな。うん、帰るか」
公園内を歩いていたら突然声をかけられた。
「ひどいですねー無視はしないでくださいー」
再びかかる声に、仕方なく後ろを向くと、いつも通りニコニコと笑顔のアイス屋の店員さんが立っていた。
……おかしいな。さっき見たときはいなかったように思ったのに……気づかなかっただけか?
「いえー気配を消してただけですー」
……………………。
「…………そうですか」
「ツッコミはしてくれないんですねー」
「いえ、ツッコミをしては負けのような気がしまして」
「そんなこと言うなんてひどいですー。しくしくー。お詫びとしてアイスを買うべきですねー」
「なんでそうなるん…………いえ、買いましょう。買わせてください。買えば一旦この場から離脱できるのであれば」
今日は疲れているのです。
「はいー毎度ありがとうございますー」
……まったく、出現が唐突すぎ……。
時間帯によってはいないときがあるからな……場所とかを変えてるのか?
……まあいい、さっさと帰ろう。
遅くなったが、意図しないお土産もあるし、許してくれるだろう。
――火曜日、夜羽の場合。
「アイス屋のテンイン……買いに来た」
「あらーいらっしゃいませー」
イチロウのとこに遊びに行くときに、前にイチロウが食べたいと言ってたのを思い出したから、買いに来た。
お金は前にシュンにもらった。
「早速準備しますねー?」
「む、でも今回はワタシのだけじゃない」
イチロウとシズカと……他にも何個か。
「はいー大丈夫ですよー。お土産ですよねー」
「ん、そう」
…………む、なんで知ってる?
「気にしないでくださいねー。お土産ならおすすめが一つありますよー。これは大人の男の人にだけなんですけどー?」
「む、イチロウはオトナ、オトコ。大丈夫」
「そうですかー。では常連さんはいつもどーりで、お土産さんはこちらをどうぞー『わかめアイス』ですー」
「ん、ありがとう。これ、お金」
「はいーありがとうございますー。これをプレゼントした後はちゃんとおすすめされたから買ったって言ってくださいねー? ある部分に効くかもしれないのでー」
「ん、わかった」
「あ、量ありますけどー、お一方で大丈夫ですー?」
「ん、大丈夫」
むぅ、溶けないうちに早くいかないと。
…………? そういえば、ある部分に効くってなんだろう?
イチロウは……知ってるのかな?
水曜日、飯田愛実の場合。
「あぅー今日は瞬君に迷惑かけっぱなしだったよぅ……なんかお詫びしたいな……」
公園を歩きながら軽く落ち込んじゃってると、ふとアイス屋さんが目に入ったの。
夜羽ちゃん……確か甘いもの好きだったし……うん、買ってこう!!
「すみませーん!!」
「はいーいらっしゃいませー」
「えっ……と……」
「お客様はもしかしなくても初めましてですねー」
「ぁ、はい。そうです!」
「うーん…………お土産あたりですかねー?」
「え!? なんでわかるんですか!?」
「常連さんだったらもう少し詳しくわかるんですけどねー」
すごぉい!!
あれだね! 接客業の鏡だね!!
「ありがとうございますー。ちなみにお土産を渡す方はどんな方ですか―?」
「……あれ、いま……気のせいかな? えっと、瞬君と夜羽ちゃんです!! ……って、ごめんなさい! 名前言ってもわかんないのに」
「いえいえー大丈夫ですよー。常連さんですからー。でしたらー……こちらですー」
「え!? あ……ありがとうございます。……そっか、二人ともここによく来るんだぁ。はい、これお金です」
「はいーありがとうございますー。大丈夫ですよー、あなたもこれで常連さんですー」
「はい! これからよろしくお願いしますね!」
私はそう言って瞬君の家に向かう。
「これであなたの事もよくわかることができますー」
「………………………………え!?」
い、急いで振り向いたけど気が付いたら販売車ごとすごく遠くに行ってた……。
もしかして……すごい人……?
てな感じです。
残りはまた後日。
先に本編をやるか、いっぺんに番外を放出するかは考えておきます。
感想お待ちしております!!