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黒い鳥さんと一緒。  作者: 蛇真谷 駿一
修学旅行で一緒。
124/144

独りの男の驚きと少しの会話の話。

遅くなりました。


お久しぶりの志戸塚視点で。


 今日は色々と驚いた。


 まず最初に、何故かバスの席が委員長の隣になっていた。

 確か自由だったはずなのだが。


 視線で理由を尋ねると、

「あら、特上の面倒くさがりである志戸塚くんですので、喋らずにバスの中でも静かにお話しできるじゃありませんの」


 ……確かに委員長とは軽く目だけで会話みたいなことは出来るが……。


「委員長と呼ばないでくださいの」


 ……何故だかわからんが。


「? 何か不満がおありですの?」


 ……いや、不満と言うかなんというか。



 僕はパッと目を周りに向けた。

 …………予想通り、驚きと興味の目線をこちらに向けている。


 修学旅行の行き先決定の時に、声を出して以来何かあればこれだ。

 メンドイ。すっごいメンドイ。



 いいかい? 委員長。

「わたくしには名前がありますのよ?」


 ………………東城ゆりか。

「……どうしてフルネームなのかは置いときますが、なんでしょう?」


 僕は…………寝るから。

「何でですの!? 最初のわたくしの話聞いてませんでしたの!?」


 ………………………………。

「寝ましたの! 会話の最中に、しかも高速で寝ましたの!!」





 後で聞いたところによると、それから十分近く僕を起こそうと叫んだり揺らしたりしたそうだ。







 そして次に驚いたのが、神尾夜羽が修学旅行に来ていたことだ。

 どうも色々あるらしいが、僕には関係のない事でもある。


 そう思い、特に何があるでもなく歴史博物館の見学は無事終わった。

 神尾夜羽に関して色々神尾瞬が大変そうだったが、僕は、無事終わった。

 


 のだが、


「ん、タツハ。ひさしぶり」

「…………………………何故」


「む、タツハ。まずは挨拶」

「……………………久しぶり、神尾、夜羽」


 宿に戻り、自分に割り当てられた部屋に行こうとしたとき、話題の神尾夜羽に遭遇した。


 飯田愛実のように無理やり捕獲してこないだけいいのだが、タイミングがメンドイ。

 ちょうど全員が集まっていた時に声をかけられただけあって、周囲の驚いた顔が見なくてもわかる。


 それはそうだろう。

 話題の人物が、クラスで孤立型の僕に声をかけただけじゃなく、僕はそれに対して、答えたわけだから。


 珍しく声を出して。



「む? どうしたの?」

「…………………………いや」


 ……神尾瞬はどこだ。


 そう思い目線だけで探した。

 とにかく助けが欲しい。


「あー……夜羽、志戸塚は多分疲れてるんだ。後にしておけ」


 思いが通じたのか、神尾瞬が止めに入ってくれた。


「む? そうなの? タツハ、ゴメン」

 彼女は素直に頭を下げ、謝ってきた。


「……………………いや、大丈夫」

「ん、ありがと」



 そう言い、神尾夜羽はまたどこかに歩き出した。


 ……神尾瞬、助かった。感謝する。


「ああ、気にするな。だが多分これで終わりではないぞ」


 ……そんな気がするが、まあ頑張るよ。

 彼女はまだ話してても疲れない方だし。


「……そうか。まあ、夜羽はお前も結構信用してる方だと思うしな……じゃあ、後でな」

 ああ……部屋で。



 神尾瞬と別れ、急いで部屋へと向かう。


 今まで関わってこなかったから、僕に何かを尋ねてくる人間は少ないが、ここ最近の出来事で、どうもクラスの連中に興味を持たれている。


 何か声をかけられる前に、部屋に入らねば――。



「ねね! 志戸塚くん! いつの間に夜羽ちゃんと仲良くなったの?」

「それはわたくしも気になりますの」



 ああ、そうだった……僕は……運が悪いんだ。



 僕は自分の不運を呪いながら、ゆっくりと話しかけてきた二人の女子。

 飯田愛実と東城ゆりかに向きなおした。







 ……疲れてるから手短でいいなら話すけど。

 言っておくけど、前みたいに通訳お願いするから。



「またですの!? また声を出す気ゼロですの!? さっき夜羽さんとは声出して話してたじゃありませんの!!」


「ふぇ!? ゆりかちゃん、いきなりどうしたの!?」


感想お待ちしております!!

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