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黒い鳥さんと一緒。  作者: 蛇真谷 駿一
修学旅行で一緒。
120/144

バス内の話。


 バスに乗り込み、ざっと周りを見渡すとみんなが周りと談笑する中、すでに志戸塚は眠りについていた。


 はえーよ。


 ちなみに藤森は復活済みで、恐らくは田中から購入したであろうパーティグッズを手に騒いでいた。


 後で俺も田中からハリセン買わなきゃ。



「ほら、神尾くんも早く椅子に座ってくださいの」

「ん、おー」


「皆さん! 一旦聞いてくださいの!」


 東城さんがバス備え付けのマイクを持ち、そういうとみんな一気に静まった。


 流石と言うべきかなんというか……。


「楽しみなのはわかりますけど、寝ている方や運転手さん、周りの車の迷惑にならないようにしてください!」


『はーい!』


「よろしいですの。では先生、出発前に一言ありましたらどうぞ」


 と言い、担任にマイクを手渡す。


 それを受け取った担任は、少し考えた後口を開いた。



「あー、今回はほとんど全てをお前たちに任せている。これは信頼の証でもあるので、節度を守って、しっかり楽しんでくれよー」



 担任の言葉に、藤森が勢いよく発言する。

「さっすが先生! 俺たちを信頼してくれてるんすね! 先生の思い……しっかり受け取りました!!」


 その言葉に担任は一瞬面倒くさそうな顔をして、そのあとすぐに、ニヤリと笑った。

「そうか藤森、うれしいことを言ってくれる。……おっと、忘れるところだった。藤森、実はお前だけにもう一つ渡すものがあったんだ。ちょっと来てくれないか?」


「え? 先生……なんかくれるのはうれしいけど、まずいっすよ、皆も見てるし、一人だけ特別扱いは」


 そう言いながら嬉しそうに担任に近づく藤森。


 ……俺とか東城さんとか、後、渡さんあたりは気づいているだろう。

 担任が何を渡すのか。



 そうこうしてる間に藤森が満面の笑みで担任の前までくる。


 そして……。




 ――ドサッ!!


 大量の紙の束(・・・)が藤森に手渡された。


「…………………………え? せ、先生……これは……?」


「だから、お前だけに渡すもの――お前への課題(・・)だ。安心しろ? 時間はたっぷりある。何せ……修学旅行中の自由時間。それの半分なんだからな」


 満面の笑みだった藤森から、一気に血の気が引いていく。


 ……あいつ、自分でテスト大丈夫だったって思ってたわけじゃないだろうに……。



「こうなることが分かった上で勉強してこなかったのはお前だからな? ……少年、これが絶望だ」


 担任、ネタに走るな。


「えー、藤森君が当然の結果を招いたところで、このあとは自由にしていてかまいませんので」


「ゆっぴー……ひどい……」

「ゆっぴー言わないでくださいの」



 と、藤森を憐れむように見ていると後ろから、

「ね、瞬君? お菓子食べる?」


 と、飯田から定番中の定番な言葉を言われた。


「………………もらうけど……」

「まなちゃん、そのセリフはテンプレすぎるわ」


 そしてツッコミは渡さんにとられた。


「? どゆこと?」

「あ、えっと……わかんなきゃいいや……」


 ……ツッコミは……わかってもらえなきゃ、虚しいからな……。


「渡さん、気にすんな。これがおかしい」

「えっ!? 瞬君、これって言い方ひどい! しかもおかしいって!?」


「……うん、そうだね」

「瞳ちゃんもこーてーした!!」


「「肯定な(ね)」」


「どうして息ぴったり!?」


 渡さんと即席でコンビを組み、飯田をからかっていると、東城さんと藤森が近づいてきた。


「神尾ー、ゆっぴーってばひどいんだぜー……」

「そうか、お前が悪い。ちゃんと謝ってこい」


「まだなんも言ってないんですけど!?」

「じゃあ、とりあえず自分が存在してしまったことを謝ってこい」


「神尾が一番ひどかった!!」



 つか、東城さんに言われるがままに座ったけども……。


 後ろに飯田と渡さん。隣は藤森。前に東城さんと志戸塚。

 なんか、疲れそうな席に誘い込まれた?


 東城さんの隣に志戸塚が座っていることに周りは結構驚いているが、本人はどこ吹く風で、眠っている。

 ……ご丁寧にも耳栓とアイマスクも付けてる。


「……失敗した、俺も志戸塚のようにしとけばよかった」

「もう遅いですのね。志戸塚君は、座る席をわたくしの隣に案内した時点で、すぐに寝る準備を始めてましたの」


「ゆっぴーが直接隣に呼んだのか……そりゃ面倒になって早々に寝るわな……」


 俺が志戸塚の今後の苦労について考えていると、


「ふははー神尾よ! 寝るなんて許さんぞー? この楽しい修学旅行を!」


 うるさいのに絡まれた。


「藤森、うるさい…………おーい、田中。ロープと猿ぐつわ、後手錠とか持ってないか?」


 俺は藤森のもう一つ隣の席にいる田中に声をかける。


「待て待て待て待て!! 何そのガチ拘束グッズ!? ……ってTPも出そうとすんな!! そもそもなんで持ってんの!?」


「……TPって……もしかして僕の事ですか?」

「ん? おう! 田中ポンだからTP」


「色々言いたいことはありますが、とりあえず神尾君にはこれを……」

「いや、だから渡すなよ!!」


「おまけでスタンガンもつけておきましたのでご自由にどうぞ」

「おお、ありがとう」


「え、冗談だろ? ってか、そんなおまけをつけるほどTPって名前はやだったか!? ……おい、神尾さんや? たなぽんさんや? どうして笑顔で何も言わないの……? え、ちょ、あぁーーっ!!」




 藤森を始末して、少し一息ついている。


 だが恐らく、目的地に着くまでの間、こう騒がしいのが続くんだろう。


 …………ふぅ、やはり面倒くさい。




「むー、瞬君楽しそうだね。……私をのけ者にしてー」

「今のを楽しそうとみるか、藤森の世話が大変そうとみるかは人それぞれだと思う」


 後ろから聞こえてくる声に、呆れながら答える。


「えっと、瞳ちゃんがなんか、ゆりかちゃんと話しに行っちゃって暇になっちゃったから、お話ししよう?」

「面倒くさ……いや、いいだろう」


「あれ? いつもと違う反応。うれしいけど……瞬君? 何……? その、ニヤリって顔……」



「じゃあ、話しついでに俺が教えたことをまだ覚えてるか、復習を兼ねて……」

「ごめんなさい! それだけは!!」


「まずは「わー! わー! わー!」……どんだけ勉強嫌いか」

「うぅ……だって、せっかくの修学旅行だし……」


 そう言いながらしょんぼりし始める飯田。


「……はぁ、面倒くさい。わかったわかった。面倒くさいが話しに付き合ってやるから。面倒くさいけど」


「さ、三回も言わなくてもいいのにぃ……。でも……えへへ、瞬君……ありがと!!」

 飯田は俺の言葉に満面の笑みで礼を言う。


「…………おー」




 この騒がしい車内で、目的地に着く短い時間、適当に色々駄弁りながら過ごした。





 ……しかし志戸塚、いくら耳栓してるとは言え、この中で眠り続けるのは……すごいな。

すこーし長くなりました?


登場人物が多いとどうしてもダラダラ書いてしまいます。

僕の悪い癖。


ちょっとだけ志戸塚がバスに乗り込んだ時の話も書きたい気もしなくもないです。

とりあえずやめときますが。



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