テスト終わりと全校集会の話。
遅くなりました!
キーンコーンカーンコーン……。
「はい、手ー止めてー。裏返しにして前に回してねー」
やる気のなさげな先生は、前に送られてきた紙を予想外にテキパキ回収し、すぐに教室を出て行った。
そして少しの沈黙の後、誰が言ったか一言。
「……終わった……」
ガタガタッ!
その言葉に反応してか、ほぼ全員が安堵の息を吐き、机に突っ伏すなり、近くの友達同士でどうだったかを確認しあうなりしていた。
飯田は安心したように机に突っ伏してる側だ。
――ちなみに藤森は暗い雰囲気をまとい、別の意味で机に突っ伏していた。
ここしばらく飯田の勉強に付き合ってきただけあって、さすがに少し出来が気になるので、声をかけに行ってみる。
「よ、どうだった」
と、軽く声をかけると、
「あ、瞬くーん! すごいよ、いつもの数倍出来たよ! 多分!!」
ガバッと顔を上げ笑顔で言ってきた。
……が。
「……最後の力強い『多分』がなければ安心できたんだが」
「あぅ……だって、いつもがいつもだから、どれだけやってもちょっと不安で……」
「んー、まあ大丈夫だと思うがな」
「……うん! ありがと! そうだよね! 瞬君がわざわざ教えてくれたんだから!!」
なにその俺万能説。
別段何かしたわけでもないんだが。
「とりあえず、お疲れさん」
「うん!」
それだけ言って、俺は自分の席に戻る。
つもりだったが、間接的に俺に面倒を押し付けてきたやつを思い出したので、軽い仕返し程度の気持ちで話しかける。
「……久しぶり」
「……………………お疲れ」
挨拶とは全く違う返事を返した男――志戸塚だ。
「まったくだ。お前がいなかったせいで」
「…………………………」
「忠告したって……。関係ないだろ、どっちにしても」
「…………………………」
「確かにそうなんだけどさ……なんか釈然としない。……てか、そっちの家の用事って何だったんだ?」
「……………………………………………………」
「……ああ、まあ、なんだ。……そっちはそっちで大変だったんだな」
「…………………………」
「いや、そりゃまあそうだけど……つーかいい加減しゃべろ」
「…………………………」
「こっちが勝手に言いたいこと理解してくれるのは楽でいいって…………ものぐさすんな!」
「……………………はぁ」
「やっとしゃべったと思ったら溜息か!」
こいつ最近俺や東城さんと話すとき、こっちが志戸塚の言いたいことを勝手に理解するのをいいことにより一層言葉数を減らしやがる。
くそ、俺以上の面倒くさがりは面倒くさい……!
「……まあ、いいや……とりあえず、戻るわ」
「………………そ」
席に戻ると心なしか緊張した面持ちの東城さんが声をかけてきた。
「神尾くん……」
「おや、ゆっぴーテストはどうだった」
「それはいつも通りですの。それよりも……その」
「ん? ツッコミもなし……は、最近多めだけど、いつもに比べて、なんか緊張してないか?」
東城さんは軽く息を吐き、呆れたような目線を向けてきた。
「……神尾くん、この後何があるかお分かりですの?」
「後? …………全校集会か? 確かにあの校長どものノリに付き合うのは面倒だが」
「本当にお忘れですのね。他の皆はソワソワしてますのに」
「む?」
そう言われて周りを見渡すと、確かにさっきまでテストについて話してやつらもそうだが、突っ伏してたやつらも起きてて妙に浮ついてた。
聞こえてくる声に耳を傾けると、「どこかな……」だの「海外がいいかな」だの聞こえた。
……………………ああ。
「全校集会で修学旅行の行き先が決まるのか」
「ええ……そしてそのくじ引きが……」
「あー、引くの東城さんか。で、緊張してると」
「あ、当たり前じゃありませんの! わたくしはクラスの皆の期待を背負ってますのよ!」
「いや、そこまで気負わなくてもいいと思うが」
「そんなことありませ「おーい、そろそろ体育館に移動しとけよー」……コホン、とにかく行きましょうか」
ちょうど先生が呼びかけて話は終わったが、東城さん……責任感強いからな。
別にどこであろうとも東城さんに文句を言うやつはいないと思うんだがなぁ。
そして全校集会は始まり……。
「えー、コホン…………修学旅行に行きたいかぁぁぁああ!!!?」
『………………』
「声が聞こえんなぁ!! もう一度行くぞ!? 修学りょこ「校長先生、時間もありませんし、真面目に進めてください」………………はい」
ちなみに今のは校長と保険医の先生の会話。
みんなも校長のノリに対してはスルースキルを身に着けている。
代々この学校の校長はどうも面白い物好きの、変なやつがなりやすい。
それというのも、この学校の創設者は「校長は堅苦しく、長々と挨拶をしてるようなのはダメだ。ユーモアを持ち合わせた人格者。それこそ校長にふさわしい」と言ったようなのだが……。
「えーごめんなさい。怒られたのでまじめにやります! さて早速だが、修学旅行に向け、伝統のくじ引きを開始する。……準備はいいか? ヒィィィハァァァ!!」
「校長先生」
「はい、すみません。調子に乗りました」
……今ではおそらく校長になる基準の中に、ユーモア以外は入ってないんだと思う。
まあ、俺たちの世代の校長が飛びぬけているような気もするが。
そうこうしてる間に東城さんを含めた、各学年クラスの代表者がステージに上がった。
各々緊張した顔つきである。
その中でも東城さんが一番テンパってる。
「……大丈夫か?」
「あはは、だねー。ゆりちゃん、倒れそうだよ」
東城さんを見て、つい呟いてしまった独り言に、返事がきた。
隣席を見ると、渡さんが苦笑いでこちらを見てた。
「や、神尾君」
「渡さん……今更だけど、どういう順番で並んでるんだ、これ」
「適当だと思うよ」
いいのか、それで。
「それにしても、ゆりちゃんはほんとに大丈夫かな」
「無駄に責任感強いから、必要以上に気負ってるんだろう」
……どうなることやら。
「お、始まるね」
そして修学旅行の行き先を決めるくじ引きが……始まる。
更新遅れるわクオリティ落ちるわで最悪ですね! 自分! ほんと申し訳ないです!
最近忙しさが留まるところを知らないですね。
え? ゴールデンウィーク? ああ、知ってます知ってます。
あれですよね? この時期に連休があるっていう都市伝説。
ね?
……感想おまちしておりますよー。