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黒い鳥さんと一緒。  作者: 蛇真谷 駿一
修学旅行前で一緒。
113/144

お昼と乱入の話。

 …………気になる……なんかよくわからんが気になる。


 昼飯時、持ってきた弁当を飯田に渡し、ついでにからかって遊んでいたのだが、途中から妙な目線に気が付いた。


 最初は藤森かと思ったが、奴もこちらを気にはかけているが、全部が全部そういうわけでもないらしい。


 ……なんだこの生暖かい視線は……!


「瞬君?」

「ん、ああ……いや、なんでもない」


 …………考えるの面倒くさいから、無視しておこう。



 そう思い、弁当を食べ進んでいると、


「あら、お二人でお昼ですの? 珍しいですのね、神尾くんと飯田さんがいて藤森くんがいないのは」


 東城さんに声をかけられた。


「あ、ゆりかちゃん!」

「珍しい……言われてみればそうだな、……それでか? この視線は」


「視線? 何を言ってるのかわかりませんけど……あれ? 飯田さん、そのお弁当……」


「うん! 瞬君に作ってもらったやつなんだー。テストが終わるまで作ってくれるんだって! だから勉強頑張らなくちゃ!」

「それは……面倒くさがりの神尾くんにしてはまた、珍しいですの」


「……自覚してるよ。まあ、朝自分のほかにもう一つ作るだけだから、別段面倒でもないんだが」


「そうですの。……それにしても、飯田さん…………」

「うん? あ、えへへー、いいでしょ? 瞬君のおベント」


「………………」


 飯田が軽く自慢げに言うと、東城さんは何かを考えるように俺の弁当を見つめ、何故か教室内は静まっていき……。





「ごくり」



「誰ですの!? 今わたくしの視線に勝手に効果音つけたしましたの!!」


 突如聞こえた今の状況にピッタリな効果音に、東城さんは軽く顔を赤らめながら、犯人を捜した。


『藤森(君)です』


 そしてあっさり見つかった。


「なんだとぉ!? き、貴様ら何故裏切ったぁ!」


『さてね』


「おぉぉのぉぉれぇぇ!!」



「藤森くんは後で覚えていてくださいの。……それと神尾くん、別にわたくしは食べたいなんて思ってませんの!」

「そ、そうか……」


 東城さんの勢いに軽くたじろぐ。


 何をそんなにテンパっているのか。



「それに、わたくしのお弁当も、家のシェフが一生懸命作ってくれたものですから、神尾くんのものには負けませんのよ!」




「ドヤァ」


「……………………」


 そしてまたもピッタリな効果音。


「だれ『藤森(君)です』またですの!!? 少しそこに正座なさい!!」


「待てぃ!! 今のは! 今のは違『藤森(君)です』俺じゃな『藤森(君)です』…………お『藤森(君)です』ぬぅぅぅぅぁああ!!」



 ……………………。


「……ほれ、飯田。さっさと食って勉強するぞー」

「へぇ!? で、でも……」


 そう言って飯田はチラッと東城さんと涙目で正座させられている藤森を見る。


 が、俺はそれを許さぬ。


「見るな。うつるぞ」

「う、うつる? 何が?」


 言わなくともわかるだろう?


『馬鹿がだ(よ)』


 俺が言わずともクラスのほとんどが言ってくれた。



 …………てかお前ら全員こっちの話を聞いてたのか。


 ま、突っ込むのも面倒だし、いいやもう。






 こうしてテストの日までの時は流れる。




「…………きーさーまーらー……うーらーんーでーやーるー、うーらーんーでーやーるーとーもー……」



 ……うるさいな。

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