少女の家にて、の話。
またかなり遅れました。
……また一週間……ギリギリ週一を保ってますね……。
ピッ!
私は使ってた携帯を一旦置き、
「……あれ……!? 今どういう流れになったっけ……?」
混乱した頭で声を出してた。
えっと……何か最後、すごい嬉しい事態になった気がする……。
「確か、瞬君から電話かかってきて……でも、夜羽ちゃんの調子が良くないから、今日はこれなくて……」
ちょっと残念だったけど、夜羽ちゃんの調子が悪いなら仕方ないよね。
「それで、瞬君がすごく謝ってきてくれて」
いつも面倒くさがる瞬君だけど、こういう約束とかは面倒くさがらないで、ちゃんと守ってくれる。
だからドタキャンになっちゃったことをすごく謝ってきてくれた。
「私が気にしてないって言ったら……そう、瞬君が『明日埋め合わせする』『何でも言ってくれ』って言って……」
むぅ、こう言ったらあれだけど、瞬君らしくない発言だね。
実際瞬君、自分で言った後、自分で驚いてたし。
「ほんとはあだ名のこととか、修学旅行のこととかをお願いしようかと思ったけど、一日って言ってたから……とっさに『瞬君の手作りお弁当が食べたい』みたいなこと私が言って……」
……そしたら……そしたら……?
――『何だ、そんなんでいいのか。そんなんだったら、明日だけとは言わずにテスト勉強の間作ってもいい』
「…………うわゎ……」
とっさに言ったことが簡単に採用されちゃったんだ。
しかも明日だけじゃなくて、テスト期間中毎日……。
「はわぁ……な、なんかこ、恋人みたい……」
……立場が逆かもしれないけど……。
「あ……おかーさん帰ってきたら、明日からしばらくお弁当いらないって言わなきゃ……!」
「ただいまー」
あ! 帰ってきた!
「今帰ったぞー」
あ、おとーさんも一緒か。
……とりあえず覚えてるうちにおかーさんに言っとかないと。
「おかーさん」
「なーにー?」
「あのさ、明日から少しの間お弁当いらない……んだけど」
そう言うとおかーさんは少し驚いた後に、ニヤリと笑い、
「……あら、ダイエット? 愛しの彼氏のためなのはわかるけど、無理な食事制限は良くないよ?」
と、とんでもない発言をした。
「ち、ちが「な、何ぃ!? ま、ままま愛実、彼氏がいるのか!?」いないよ! 違うからね!? おかーさんも変なこと言わないで!」
おとーさんがものすごく反応したけど、私はちゃんと否定したよ。
そしたらおとーさんもすぐに大人しくなった。
まったく、おかーさんも何てこと言うのさ。
瞬君が彼氏だなんて…………彼氏…………はぅ。
……は! ……ちょっと想像しちゃった。
その間にまたおかーさんが口を開いた。
「あらら、ごめん。勘違いだった。彼氏……にしたい人、だったっけ? 絶賛片思い中で」
「……ふぇあ!? ち、ちちちちちがう!? 瞬君はそうじゃないよ!?」
またおかーさんが爆弾を投下したから、今度もちゃんと否定した…………けど。
「ありゃ、こっちが当たりなの……残念。料理のことがあったからてっきりもうデキてるものかと」
「そ、そんな……愛実に好きな男が……。というかお母さん!? 料理のこととはなんだ!? もしかして前からその『瞬君』という男について知っていたのかい!?」
今度は私の否定を聞いてもらえなかった……な、なぜ……!?
てか、あれ!? 私おとーさんに瞬君のこと話してないよ!?
おかーさんにだって名前は教えてなかったと思うし……――ぁ。
わ、私今自分で瞬君の名前出した!
うっかり言っちゃった! これが噂のゆーどーじんもんだね!?
「見ろお母さん。あんなにワタワタしてる。うーむ、うちの娘はかわいいなぁ」
「バカ言ってないで、現実に戻してあげなさいな。話が進まないわ」
「む、そうだったな。早くうちの娘を誑かす、その『瞬君』とやらの話を聞かねばな」
「違うわよ。元々の話は明日から少しの間お弁当いらないことの理由よ。……と言うか、うちの娘を誑かすというより、あの子が彼を誑かそうと必死に見えるけど」
おとーさんに声をかけられても、頭が混乱したままだった私は、結局おかーさんのチョップで目が覚めた。
「――と、言うわけで、テスト勉強期間中はお弁当作らなくて大丈夫だよ」
たんこぶをさすりながら説明する私……。
その説明を聞いた二人は……。
「何というか……すごいわ」
「………………」
おかーさんは驚いたような声を出して、おとーさんは黙ったままだった。
「おかーさん、すごい……って何が?」
「いや、うちのバカ娘に勉強を教えることが出来るってことは、それなりに頭は良いってことだし」
「ちょ! バカむ「しかもお詫びとはいえ、お弁当まで作ってくれるって……すごい子じゃない」……えへへ、でしょ? 瞬君はすごいんだよー」
私のことじゃないけど、瞬君を褒められるのは嬉しいな。
おかーさんはそんな私を見て、一つため息をついて、
「……わかったわ。そう言うことなら、明日からしばらくは朝寝坊が出来そうね。でも、一通り行事が終わったらでいいから、一度連れてきなさいよ? しばらくは忙しいから挨拶できないけど、そこまで世話になっておいて、お礼が前にあなたが作ったおかず一品だなんて申し訳ないわ……」
そう漏らした。
……確かに。お願い事とはいえ、瞬君には迷惑かけっぱなしだね……。
「……わかった! 瞬君に断られなければ連れてくるね!」
……それよりも、さっきからずっと黙ってるおとーさんはどうしたんだろ?
「あー、愛実。とりあえず部屋で勉強でもしてなさい。教えてもらえなくなったからってサボってたらダメよ」
「え? あ、うん。わかった」
私はおかーさんの言うとおり部屋に向かう。
後ろで「やっぱりタブラかそうとしてるじゃないかー!」とか「あなたさっきの顔見てなかったの? 無駄よ無駄」とか聞こえるけど、何の話をしてるんだろ……?
電話後の飯田家の話でした。
ちなみに高嶺家の父もちゃんといます。
出てきてないだけです。
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